読書/コナン・ドイル 著 シャーロック・ホームズ 『グロリア・スコット号』(短編)
依頼主は温厚なインテリ青年。
青年いわく、ある日、父親と旧知の水夫がやってきて、居座った。父親は弱みを握られていて、存大な客を追い返せない。思い余った依頼主の青年は、水夫を追い返したが、あとで酷い目に遭わせると捨て台詞をはいて出ていく。
ホームズとワトソンが調査に乗り出そうとすると、依頼主の父親が心筋梗塞で急死した。青年は父親が書いた遺書を二人に見せる。それによると、青年の父親は昔、囚人で、囚人船によって海外の流刑地に向かっていた。
船には宣教師に変装した海賊が紛れ込んでいて、船員や囚人たちを篭絡。船長や警備兵を殺害して船を乗っ取る。だが青年の父親と同志の囚人の一部は、残虐行為を働く海賊にはついていけず、囚人船をボートで脱出。漂流しているところを通りかかった船に拾われ、オーストラリア・シドニーで降ろされる。彼らはその後、名前を変え、現地の鉱山で真面目に働き、ある程度の資産を築き、祖国イギリスに戻って来て、田舎に屋敷と土地を買って、一角の紳士になったというわけだ。
招かれざる客は、囚人船の生き残りの水夫で、成功し帰国した元囚人たちを脅して回っていたのだ。
ノート20211026