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「まぁ、いいけど。何にしても、今夜は協会生全員で、鍋パーティー開くからさ。遅れるなよ?」
ローランドはそう言い残すと、娯楽室から出て行った。
夕方、デイジーが食堂にやって来ると、寮生達が一足早くサンタの格好をして鍋パーティを開いていた。
「デイジー」
呼ぶ声の方を見ると、やカスミ達が、こちらに手を振っているのが見える。
食堂には、クリスマスツリーやイルミネーションの電球が飾り付けられていた。
気が早すぎるだろ、と思いながらデイジーは、皆がいるテーブルに座った。
テーブルには、牛肉やネギ、豆腐が煮えた鍋の他に、ローストチキン、アルコールフリーのシャンメリー、リースサラダなどが、所狭しと置かれている。
「デイジー!」ユリがキッチンの方からやって来た。
彼女は制服の上から、ピンクのエプロンを着ている。
「今日は一足早いクリスマスパーティーです」
「——みたいだな」
デイジーは当初、場の盛り上がりに辟易気味だったが、ユリのエプロン姿を見て、たまにはこういう馬鹿騒ぎも悪くないと感じた。
「あー、カスミ。私の牛肉取らないでよ!」
「へへーん。早い者勝ちや」
アンナとカスミが、鍋の具材で争奪戦を繰り広げている。
「まだ牛肉……沢山あるから」
トオルが二人を仲裁する。
「デ、デイジー……」
ユリが鍋の牛肉をスプーンですくい、デイジーに向けている。
「あ、あーんして下さい……」
「……う、うん」
頰を紅潮させながら、彼はスプーンに乗っている牛肉を口に入れた。
美味い。体の芯から温まる。
「これ、美味しいな」
「すき焼きっていう料理なんです。カスミに、レシピを教えてもらいました」
デイジーの隣に座っていたローランドが「ち、イチャラブしやがって。破裂しろよ」と呟いたが、デイジーは全力でスルーする。
ユリの隣に居るアンナが何か耳打ちしていた。
そうか。アンナの入れ知恵だな、とデイジーは気づく。
アンナとの密談が終わると、ユリは意を決したように立ち上がり、デイジーの手を掴みながら、引っ張る様に外に出て行った。
空からは、止めどなく雪が舞い落ち、敷地内は一面真っ白な銀世界になっている。
「デイジー、見てください。この雪だるま、お昼に私が作ったんですよ」
雪だるまは、どんぐりや枯れ葉で目と口が作られ、頭には赤いサンタの帽子が乗せられていた。「へぇ、可愛く出来てるじゃないか」
デイジーが雪だるまをしげしげと眺めていると、不意に後頭部を冷たい感触が走った。
ユリが、彼に向かって雪玉を投げつけてくる。
「ユリ。どうしたんだ?」




