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描画具現者の能力は、一見すると神がかったものに見えるが、実際はそうでも無かった。
彼らが描き、実体化させるモノには制限時間がある。
例えば、石・鉄・衣服や建物といった無機物は六時間ほどで、具現化したあと消えてしまう。
無機物でも、複雑な構造をしている車や重火器、戦闘機やミサイルなどは三時間ほど。
動植物などの有機物になると。実体化出来る時間は更に短く約六十分、人間となると三十分程が限度だった。
ただこれらの持続時間は、あくまでピクチャー協会が把握しているデータの平均であり、実際は各々の描画具現者の力量により大きく異なる。
また能力者が、いかに実体化させるモノの構造を理解しているか。紙に描くモノが正確で、細やかかなどといった知識や描画の上手さも、持続時間や実体化したモノの精度に影響する。
その為、ピクチャー協会では通常の学校と同じように、一般教科として国語、英語、数学などに加えて、デッサンの練習や描画を具現化させるイメージトレーニングも必修科目としていた。
「まぁ……でもジュリア先輩なら、もしかして出来るかもだけど」
アンナは、ヘーゼルにきらめく瞳を見開きながら呟く。
確かにピクチャーズの能力は、決して神がかったものでは無かったが、能力者の中には世界でも数えるほどだが『神がかった能力者』が存在した。
その描画具現者達は《《人間が空想するあらゆるモノ》》、現実には実在しないドラゴンやユニコーンといった存在を創り出し、自然現象である台風や竜巻などの天災をも引き起こす。
またある能力者は、この世に存在するあらゆる物質を通さない『障壁』を具現化し、自身の周囲に張りめぐらせ銃や爆弾、果ては核爆発の直撃をも弾き返した。
彼等にとって、物理法則という概念は存在しない。
常識を超えた力を持つ描画具現者達は、戦争の趨勢をも左右するといわれた。
ピクチャー協会では、彼らを特級能力者と階級づけていた。ユリやアンナ達は初級能力者で、いわば見習いの研修生である。
一年に一度ピクチャー協会が実施する描画能力認定試験を受け筆記と実技の得点が高く、最終面談で担当の試験管に認められた者は、初級の見習いから中級の能力者に昇格する事が出来た。
中級能力者になると、協会から一人前のピクチャーズと認められ、ブロンドで作られた、円形で真ん中に協会のシンボルである、紙とペンのデザインをあしらったペンダントが授与される。
「そうですね。ジュリアさんなら、有り得そうです」
ユリは微笑みながらアンナに相槌を打つ。
「でしょ?あぁ、私も早く中級に上がりたい!でもってジュリア先輩に認められる能力者になりたいよぉ〜!」




