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あきれた様子でロンはデイジーを見ていた。
「かもな。まぁ、今まで喋ったことも実は過去に読んだ本の中から引用したもので、俺の実体験でもなんでも無いから……。多分、軽く聴こえるかもしれないけど。ただ俺は本を読んでいた時、『あぁ、確かにそうなのかも知れない』って思ったんだ。でもロンの言う通り、そんなのは実際に自分が経験しないと分からないことだし、周りの人間を見て羨ましいって思う気持ちは抑えきれないのも良く分かるよ。だからこそ人は自分磨きをしたり、今より給料を貰えるように努力したりするんだろうしさ」
「……やっぱ、お前。だいぶ変わってるよ」
「違いない」
デイジーは自嘲気味に笑ってみせる。
何でこんな理屈を、熱を込めてベラベラ話しているのか自分でもよく解らなくなった。
そもそも『ユリに描画具現された俺』が何故、こんな思考や想いを巡らせることが出来るのだろうか。
描画具現者が実体化させた『人間』は総じて、そんなものなのか?
それとも彼女は俺を創りだす際、何か特別なイメージを加えていたのか。
ふと、デイジーは思い立ったようにロンに尋ねる。
「……ロンは自分のこと好きか?」
「好きか嫌いかで言えば嫌いだな。だからこそ、お前がさっき言ったように自分を磨いて好きになるように努力してるんだ。そういうデイジーはどうなんだ?」
「——俺は」
デイジーは途端に黙り込んだ。
不自然な沈黙が二人の間を包む。
ロンは、しばらく返答を待っていたが、面倒臭くなったのかデイジーに話題を振った。
「じゃあ俺も話を変えるけど、明日からチルア島で聖ロザル祭が始まるのはお前も知ってるよな?」
「あぁ、そういえば七月十五日から一週間、島全体規模でそんな祭りがあるってユリが言ってたな。明日の昼過ぎから、ジュリアさんがユリ達と一緒に花火大会に行くとか予定してるみたいで俺も誘われたよ」
「そこでさっ!!俺とデイジーでダブルデートを企画しようと思うんだ」
ロンは勢いよく椅子から立ち上がるとテーブルを叩いた。
「……ダブルデート?俺とロンがデートするのか?」




