残念、残念、ヒドインでした
「さて、次はここでの生活について話すね~」
生活、というかこの場所についてシュリが話してくれた
まずここは分かりやく言えば時間が止まったような状態らしい
なので老化はしない。そして食事や睡眠なども不要
ずっと修業とか出来るらしい
ただそれだと転生したさいその習慣が抜けなくなってしまうため意図的にそういった事をやる必要があると
また不要と言っても餓死して生き返るから不要であってもちろん空腹も感じるし、疲れもたまり過労死する
結局のところ普通に生活するのが1番だと
「あとは時間も分かりやすくするね」
そういいシュリが手を叩くと今までで真っ白にだった上空が夕方になった
さらに天候も適当につけてくれるらしい
もちろん四季もあると…どこか別の場所の天候とリンクさせて変化させてくれるそうだ
「で、君たちの住居だけど」
再び手を叩くと突如巨大な洋館が出現した。パッと見、30人ぐらいが一緒に生活出来るほどの大きさだった
「それと、今日は私が食事を用意してあげるけど明日からは自分達で用意してね」
食材の調達はしなくていいみたいだか料理は自分でしなくてはならなくなってしまった
シュリを先頭に洋館へと移動した
屋敷の中はとてもきれいでどこかの貴族が住んでいたように色々飾られていた。正直今まで普通の一般家庭に住んでいたオレとしてはしばらくはなれない生活をしないといけないなと思った
そしてランプやろうそくではなく電気もきちんときていたし、厨房もガスコンロだった
見た目中世だか屋敷内は現代的だった。しかしいくら電気が来ていてもテレビとか娯楽用品はなかった。まーテレビがあったところでテレビ局がないのでは映されるものがないのだが
しかしユズキ達女性陣は驚いていた。これは魔法なのかとか色々言っていたがシュリも説明がめんどうだったのか、そういう物としか説明せず無理やり納得させていた
そして1番驚いていたのが露天風呂。しかも温泉
これには目を輝かせて喜んでいた。ただ混浴だと言う事を知ったら3人ともこちらを見てきてなんだか睨んでいるようだった
(いや、べつに覗いたり、一緒に入ろうとか言わないから…)
屋敷の案内にはそれなりに時間がかかりすでに外は暗くなっていた。なのでそのまま食堂まで案内されて食事をすることになった
シュリが用意してくれた食事は見た目もそうだか味も絶品。どこかの高級レストランで食べているようだった。他のみんなもそんな感じで美味しそうに食べていた
食後はそのまま解散した
自室については各自好きな部屋を使ってくれて構わないからと言うシュリ。なので適当にお互いの部屋を決めて別れることにした
しかしなぜかお互い距離をあけて部屋を選んで自室へとしたのだった
(今日からここがオレの部屋か…)
部屋に入るなり部屋を見回す
大きさは10畳ぐらいありかなり広い。そこにはベッドと机、クローゼットもあった。だが部屋を飾る装飾はなく殺風景。ただ寝起きする為だからかと思ったがそれにしては広いなとも思ってしまった
そして色々疲れたのか眠気がしてきた
新しい世界に来たばかりでこれからの事を色々考えたかったが眠気には勝てず寝る事にしたのだった
どうやらそういったところはきちんとしているらしくベットで横になるとそのまま寝てしまった
朝、目が覚めるとお腹が空いた
取り敢え朝食を取ろうと食堂に行くが誰もおらずそしてただ食材があるだけで調理されている物がなかった。さらには誰かが先にきて料理をした形跡がなかったのである
(そういえば自分で何とかしないといけないんだっけ)
そして悩む
料理など学校の授業で作ったぐらいで作れる気がしない
さて、どうしようか悩んでいるとべつに自分で作らなくても誰かに頼べば良いことに気づき頼んでみる事にした
そして頼んでみる相手はユズキにすることにした
あの三人の中で最も料理が出来そうなのはユズキだったからである。見た目もそうだが仕草が女の子らしく、きっと女子力も高いだろうと思い、料理の腕前も高いだろうと。それにこちらから頼まなくても作ってくれたりしてくれるかもしれないと思ったからである
そんな感じでうかれ気味にユズキの部屋の前まできたが、いざ部屋の前まで来たら緊張してきた。よくよく考えれば朝から女の子の部屋を訪ねるのだ、健全な男の子なら緊張しない訳がない
声が裏返らないように気をつけて少し震える手で扉をノックして声をかける
「ユ、ユズキ、起きてる?」
が、反応がない
続けて何度か扉をノックしながら尋ねてみると突如扉が勢いよく開き
そして
「うるせぇぇボケぇぇ!!朝っぱらから何のようだ!?」
罵声が飛んできた
あまりの事に驚きそしてユズキを見と、ユズキは髪がボサボサでかなりつり目で怒っていた。服装はピチピチのTシャツにかな際どいショートパンツの格好だった
健全な男の子なら当然ピチピチのTシャツでただでさえ大きなお胸様がさらに主張され大変な事になっている事に目が釘付けで、またショートパンツからのびるナマ足に目も行くのも当たり前でユズキに見とれてドキドキしていると
「なんだテメェ?朝っぱらから発情しに来たのか?」
「ち、違う、確かに見とれていたけど違う要件で来たんだよ」
慌てて弁解するオレ
オレの様子にいまだ怒りは治まっていないユズキだったが用件を伝えてみる事にした。それは朝食を自分で用意しなくてならないが料理が出来ないので代わりに作って欲しいと頼みに来た事を説明する
が
「はぁ?私、料理出来ないけど?つーかあんたが私の分も作ってくれない?はいっ!?決定!?それじゃあ出来たら呼びに来て」
それだけ告げると部屋に戻るユズキ
「マジかよ…」
1人取り残され呆然としていよいよ困ってしまったオレ、期待とは違った展開になってしまってどうしようか悩んでしまった
そしてユズキの朝食まで用意しなくてはならなくなったのでダメ元で別の人、イリスに頼んでみる事にしたのだが
「イリス?起きてる?」
扉をノックして呼んでみるとすぐに部屋から出てきたが
「ふぁい?なんの御用ですか?」
イリスの格好はピンク色のネグリジェで髪をおろし眠そうに目を擦っていた。おまけでクマのぬいぐるみを抱えていた。まるでどこかのお嬢様のようだった
あまりのギャップと昨日とは違い女の子らしい格好に驚いたのだが用件を伝えてみる事にした
「いや、その、朝食を…作って…くれないかと…」
「私、今まででそういった事は使用人がやって下さっていただいていたので、申し訳ありませんが出来ません。それどころか出来ればやっていただきたいのですが…」
ダメ元で頼んでみるとむしろ頼まれてしまってしかも昨日とは違いかなり丁寧で低姿勢。これにはイヤとは言えず引き受ける事となり、オレの快諾に笑顔で部屋に戻るイリス
またしても呆然とした
「マジで…どうしよ……」
最後の砦、意外性を信じてノアの元に向かうとノアは昨日と同じ服できちんと起きていた。
しかし
「料理する必要…ある?」
ポリポリ野菜をそのまま食べるノア
「栄養…というか…お腹がふくれれば…何でもいいんじゃない?」
「わかった。オレが何とかするからそのまま食べるのはよしなさい」
ノアの行動を制して結局オレが全員の食事を用意することになった。ノアは確かに意外だったがとても喜ばしくない意外だった
結局3人ともダメでしかも3人の朝食まで用意しなくてはならなくなった
かなり気落ちして厨房に行くと色々探してみた。取り敢えずパンがあったのでそれをオーブンで焼いてみて、あとは卵でスクランブルエッグ、ソーセージを焼いてレタスをのせてみる。
するとそれらしい朝食の完成した。そしてとても作れそうになかったのでスープはあきらめてもらうことにした。
食堂に出来た朝食を並べ終えた頃、丁度3人が着替えて姿を表したのだがユズキは先程と違い昨日みたくかわいらしい格好でニコニコ笑顔。イリスもキリっとした表情。ノアは変わらずだったが…
「タケルさん。朝食の用意ありがとうございます」
「タケル、すまない。恩に着る」
「別にあのままでよかったのに」
3人それぞれ一言言って用意した朝食を食べ始めた。さすがに文句は言えないが何か言いたげにしていた。タケルも自分で作った朝食を食べて納得した
パンは焼きが足りず、スクランブルエッグはほぼ味がしない。ソーセージは少し焦げていて苦い。もちろんドレッシングとかはないのでレタスも味がない
無言のまま朝食を済ませるとシュリが現れて
「さてさて、今日から修業を始めるからね」
「あ~、その前にシュリさん。出来ればこれから食事の用意をお願い出来ませんか?誰も料理出来ないようなので」
オレを含め4人全員が料理が出来ずこれからの生活が不安でしょうがなく頼みのツナであるシュリに懇願したみたが
「う~ん、それはダメかな?ほら転生したら冒険する訳だし食事の用意ぐらい自分でなんとかしなきゃ」
シュリの言っていることは最もであり何も言い返せずうなだれる。が、せめての救いで
「書庫に料理の本とか一杯あるからそれで勉強してね」
それならなんとかなるかと思って何気なく女性陣3人を見たが3人共あたかも示し会わせたようにどこかを見ていた
「さ、さて、修業しなくちゃ」
「そ、そうだな…」
「行きましょ」
そのまま急いで朝食を済ませると我先に食堂を後にする3人。そんな3人をただ見つめるしかなかった
「あらら、どうやら食事当番は決まったみたいね」
とても楽しげなシュリの声を聞きながら天を仰ぎ落胆するしかなかった
(まずは料理の修業かよ…)
強くなるため修業しに来たのにいきなり出来ない状況、さい先悪い状況にこの先やっていけるか物凄く不安になり、さらにまずはやらなければいけない料理は苦労する事はもうわかっていたので、このままでは本当にいつになったら戦いの修業ができるのかわからなくなってしまった
正直、流れでオレが料理をしなくてはならなくなったことに何だかイヤな予感しかしなかったが女性陣のあの分かりきった拒絶にもう諦めて仕方がなく自分がやることに無理やり納得させたのである