いざ、エルフの国へ
「ここが別の世界ですか?」
「何でいるの?ユズキ?」
仮転生直後、突然ユズキが現れた
どうやらオレが仮転生で送られた直後神様に詰めより私も行かせろと言ったらしく、まっ、いっか~的なノリで送ってもらったらしい。あたりを見ながらなんだか楽しげな様子だった
(ねぇ…神様。そんなにオレをいじめて楽しい?)
シュリといい元世界の神様といい、どうしてあんなに楽観的なのか正直イラだった。ユズキがついてきた事に物凄く嫌な予感がしたのだ。そしてユズキが付いてきた理由だか……
こっちでもお世話してほしいと……
うん。殴りたくなった
笑顔で甘えるように言ってきたがいい迷惑だった。だがユズキは戦力になるなと思ったがユズキ達は世界に影響を与えるから連れていけないはずだということを思いだしてきて悩んでしまった。すると
「あ、そうそう、私、戦えないから守ってね」
意味がわからなかった。なので訪ねてみると神様に付いていくなら力を封印しないといけないと言われ、快諾。結果ユズキはオレと同じか、もしかしたらオレ以下の力した出せないのだという
(完全にお荷物だな……)
弱くなってもついてくるとかどんだけ人に家事させるんだよと思い、さい先不安しかない状況。取り敢えずいつまでもこうしていられないので目的の人物に会うため出発する事にした
お気楽に楽しげなユズキ。なんだか怒るのもバカバカしくさえ思えてきてすでに疲れてしまった
道中、何回か魔物に遭遇。戦う事となったがあまりにも弱かった。そしてユズキの弱さもわかった。本当にオレ以下の力しか出せずスキルとかも使えなかったのである、だけど幸い機動力はそのままなので魔物の攻撃はあたる気さしていなかった。むしろオレの方が危なっかし感じだった
そしていきなり魔物が大量発生した。さすがにこれは不味いと思って一旦逃げようか考えていたら助太刀してくれた人がいた。颯爽と登場して瞬く間に魔物を一掃。かなりの強さだったので戦いが終わっても息1つ切れていなかった。そして
「大丈夫でしたか?」
助けてくれたのは女性だったようで笑顔でこちらを心配してきた
「ありがとうございました。ところであなたは?」
「あっ、私はエルフのミーンと申します」
「はぁぁぁぁぁぁ!?!?」
あまりの事に絶叫してしまった。オレたちを助けてくれたのはエルフだった。しかしその体は鍛え抜かれていてまさにマッチョ。はっきりいってアマゾネスだったのだ。華奢とか無縁でむしろ憧れてしまうレベルでいい体をしていた
いい体をしていたと言ってもイヤらしい意味ではないぞ。純粋な意味だぞ
(あぁ…オレのエルフ像が………)
だがあまりの事実にかなり落胆した。しかし幸いエルフの国へ案内してくれると言ってくれたので同行をお願いした。ミーンが同行してくれてからも魔物に遭遇したがミーンがすべて捌いてくれた。そして苦労することなくエルフの国へ無事到着した
すると仕事があるからとミーンとは国の入り口の門のところでお礼をいいそのまま分かれた
エルフの国はかなりの大国だったらしく、家の数が半端なかった。そしてこういった場合大概エルフしかいないと思ったら人族、獣人、鬼人、妖怪と多種多様な種族が入り乱れていた
そして一安心なことにミーンがマッチョだっただけで他のエルフはオレの想像どうりで……いや、想像以上に美しく可愛らしかった
エルフが美人なのが想像出来たのはミーンもまた美人というより可愛らし人だったからである
……………マッチョだったけど
またエルフ自体もとても友好的でむしろ向こうから
「あっ、お二人さん、観光ですか?それなら安くしときますので案内人ほしくないですか?」
そんな感じでかなりの人数に話しかけられた。商売で言ってはいるがどちらかというと親切で言っている気がしていた
そしてある人物を説得、というか口説くので長期滞在が予想されるのでまずは拠点確保を優先する事にして宿屋の場所を聞くとさっさと向かうことにした
宿屋に着くと部屋を借りたわけだがその際神様からそれなりの資金を渡されていて2部屋借りようとしたのだがユズキが1部屋で構わないと、今さら別にする必要あるの?と言ってきたので結局1部屋にしたのだったが部屋に着くとそうそうベットに倒れこみ
「のどが渇いた、なんかもってきて」
いきなり頼み事をしてきたブラックユズキ
(こいつ、本気でただ世話してもらうために付いてきたのかよ…)
ユズキの態度にあきれ果ててしまった。部屋が一緒でも構わないと言った理由これかと思った。したしだ、それならば夜は楽しませてもらおうとしたのだが
「あ~私は構わないけど協定があるからリリィさんに報告するよ」
さすがにこれには驚いた。オレの知らぬ間に女性陣でなにやら約束事がされていたようで諦めて飲み物を取ってくると気分転換のために街をぶらつく事にしたのだった
街に出て思った事がある。それは平和だな~って事である。エルフだけが友好的だと思ったら街にいた全員が友好的だったのだ。しかも皆親切だった
ただ歩いているだけなのに「なにかお探しかい?」とか「兄さん、食べ物なら向こうに店がかたまってるよ」とか店先にいる店員が声をかけてくるのだ。しかも優しく笑顔なのだ
とにかくいいところだなと思ってしまった。しかしただぶらつくだけでは意味がない。オレはここにある人に会いに来たのだからその人の情報を集めなければと目的の人物について聞いて回った
するとあっさり情報が集まった。目的の人物はこの国ではとても有名でその事はここに来る前に神様から聞いてはいたが詳細を知って
(無理。そんなすごい人口説けない……)
オレはかなりハードルの高い相手を口説かなければならない事実を知り落胆しながら宿へと戻った
オレの口説かなければならない相手はどんな争いも瞬く間に納めてしまい、さらには本当にとてつもなく美人だと。しかも何人もの求婚を受けたのだがどういうわけか男の方がそれを取り下げていると言う
まったく。神様も無茶を言う………
何人もの求婚を受けていまだに未婚の相手をオレなんかが口説ける訳がなくどうしたものかと悩んでしまった。しかも口説かなければ元の所に帰れないのだから。果たしていつになったら帰れるのか心配になってしまった
そんなこんなで宿に戻ってきたのだが…………
「おい、ユズキさんやい。これはどういう事だ?」
部屋に入るとそこには物が溢れていた。おそらくユズキが買い物をしたのだろうがそれにしては物が多い…
「えっ?ほしくなっちゃって…」
「………金は?」
「んっ?もうないよ」
笑顔でとんでもないことを言われた
オレは何日か分の宿代を払ったら残りは二人で分けたのだ。それなのにユズキは渡されたその日にすべて使ってしまったようなのだ。しかも一切悪びれることもなくキョトンとしていた
「お前、明日からどうすんの?たぶんだけど相当帰るのに時間かかるんだぞ」
「ん~たぶん大丈夫じゃないかな?すぐに帰れると思うよ」
何を根拠にと思ったがユズキは自信たっぷりの様子だった。ちなみにユズキはオレがここに何しに来ているかは知っている。と言うか話した
話した時は、頑張ってね、と他人事のようにしていたが今は少しは協力的だが楽観的。何を言っても大丈夫だから、とか、明日には口説けてるよとか色々言ってはきている
なにを根拠にと思ったがどうやらユズキはオレの知らない情報を獲ているようだった
自信のないオレはユズキに口説ける理由を尋ねてみたが何やらはぐらかされているが自信たっぷり様子のユズキ
しかしだ
オレには口説ける自信がない
はっきり言って月とすっぽん。天と地の差。身分違いもはだはだしい
だって…
だって……
「お前……相手はこの国の女王だぞ」
「だから大丈夫だって」
ユズキの能天気ぶりにあきれ、そして諦めた
最悪二人で路銀を稼げばなんとかなると考えたからである
そのあとは何をするでもなく過ごし夕方近く食事をしに二人で街に出たのであるがまたしても驚く事があった
オレのイメージではエルフは野菜とかしか食べず、肉や魚とかは食べないものとばかり思っていたのだが普通に肉とか魚を食べていたのだから
まーオレの勝手なイメージだったのだが……
ちなみに食事代はオレの分のお金で出したのであるが食事中ユズキが珍しく真面目な顔になると
「明日、絶対口説いて帰りましょ」
なにやら決意に満ちていた。もうここにはいたくないといったオーラさえ出ていて不思議に思っていると
「ここの料理美味しくないです。タケルさんが作ってくれた方が美味しいです」
ユズキの言葉にちょっと嬉しくなり機嫌が良くなってしまった。なんせ今までユズキ達はオレの作る料理をろくに褒めたりしなかったのだから
「ですけど。食べないことには始まりません。仕方がないですけどいただきます」
そんな事を言ってはいるが美味しくないと言いつつおかわりまでしながらモリモリ食べているのだった
おい……ちょっと待て………お前美味しくないとかいってどんだけ食うんだ?
どうやらお世辞を言ってオレを機嫌よくしてたらふく食べさせてもらう魂胆だったようだ。気がつけばかなりの量を食べていた
まんまとはめられた………
オレは自分の安さにビックリした。ちょっと誉められただけでこんなにあっさり騙されるのかと。そして意図も容易くオレを騙したユズキが怖くなってしまった
最後にデザートまできちんと食べたユズキはご満悦
そして信じられない事が発覚……
神様に渡された資金
初日にて2/3消失
うん。ダメだこいつ……
改めてユズキ1人を現状のまま転生させてはいけない事を知ってしまった
宿屋に戻るとまたしてもベットに倒れるように寝転がるユズキ。ホントにこいつ何しについてきたんだよとユズキの役立たずっぷりにただはへこむしかなかった
取り敢えずは明日女王に会うことにしたのだがとにかく第一印象を良くしなければとなかなか寝つけずにいた。ユズキは案の定というかなんというか完全に熟睡しているのだった
(お気楽だな、おい……)