表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/27

オレ、このままでいいのか?

 

 さて、リリィが増えたことで戦闘系の修業がはかどるかと思ったのだがそんな事はなかった


 そしてリリィにはある事を期待したのだか無駄だった


 だって相手は魔王。家事が、出来るわけがなかったのだ


 そんなわけで世話をやく人数が増えただけの状態。修業に割く時間は単純に減ってしまったのだ


 そして嫁が出来た事でますます主夫らしくなってしまったと思う。それどころかどこに転生してもそばにはリリィがいるのだ。荒事はリリィに任せればいいか、とさえ思うようになってしまったのだ


 だってリリィ。超強いもん。適材適所だよ


 しかし姿は表さなかったが声だけでそうはいかないと神様が言ってきた


「あ~彼女は勝手についていくような感じだから転生しても魔王としての力やスキルがそのまま残る訳じゃないよ、最悪、本当にただの女の子になってしうかもしれないよ」


 はいはい、事はそんなにうまくいかないんですね、と諦める事にした


 しかし、はかどらないとは言っても実は別の理由があったりする


 それは家事スキルの確認をしていたからだ


 リリィと初めて会ったとき《食材召喚》を初めて使ったのがきっかけだった。それまでここでは使う必要がなかったので使わずにいたからだ。というか使い方がよくわからなかったりする


 しかし、リリィの時いざ使ってみたら思っていたより《食材召喚》で出てきた食材が多かったのである。そして調味料だったり調理道具は出てこなかったのだ


 幸いリリィは作ったものをすべて食べたので無駄にはならなかったが、いざ使おうとした時効果がわからないでは意味がない



 なので何が出来て何が出来ないのか?効果範囲は?それらをあらかじめ知っておいて損はないと考え試しているのである


 そしていくつかわかった事があった


 まず料理系のスキルは基本的に食材に対してしか発動しない。《食材鑑定》で肉、魚等を調べると普通に色々わかるが、人とか木、土、等、明らかに食材にならない物には発動しない


 さらに牛とか豚などは《食材鑑定》出来るが虫とかは出来なかった。ただ虫の中でも出来るのと出来ないのと分かれた


 つまりかなり曖昧


 正直使ってみないと発動するかわからない感じがしたがある定義を見つけた


 それは《食材鑑定》で鑑定出来た物は他の料理スキルも有効だと言うことがわかった


 なので流れ的にはまず《食材鑑定》を使い効果があれば他のスキルを使うといった感じである


 また他にもいくつか定義を見つけたのだった


 そんなこんなで家事スキルを調べたが…


 結論。無駄な作業だった


 すでにある程度お金が取れるレベルの料理が出来るオレにとってはスキルを使わなくてもなんとかなってしまうからだ。いまさら使っても意味がなかったりする


 そして掃除、洗濯のスキルはパッシブスキルばかりで、常に発動しているのであえて調べる必要がなかったのである。一応調べてはみたものの常に発動しているのでどういった効果があるかわからなかったのである


(こんなことなら普通に戦闘の修業しとけば良かったな…)


 かなりの日数で家事スキルを調べたのだか、それらがすべての無駄だったと知りかなりへこんだ


 家事スキルの調査をやめて戦闘の修業に時間を割くようになり、さらにはリリィがほぼ専属で指導してくれるのだスキルも少しずつだが獲得、成長していったのだ


 オレ的にはかなり頑張っているつもりでそこそこ戦えるんじゃね?とさ思うようになっていた


 しかしどうやら本当にオレには戦闘の才能がないらしく、リリィとシュリの指導する側から見ると本来ならすでにある程度戦えるレベルになっていておかしくないのだと言っていた


(なんだろ?オレ本当に専業主夫が天職なのか?)


 そんなオレだったのだが実は今は色々立場が変わった


 家事を普通以上にこなし、忙しなく世話をやくのだ前よりユズキ、イリス、ノアの3人はそれなりに好意をもつようになっていたのだ


 さらにはリリィの存在


 はじめは隠そうとしていたがいつの間にか普段からべったり、時には甘えたりしてくるのだ、はっきり夫婦とは言っていないが明らかにそれに近い関係だと聞かなくてもわかるぐらいだ


 そしてリリィは


「なぁ、旦那様、あの3人は旦那様の(めかけ)ではないのか?」


 違うと否定したが、どうやら本人たちにそれとなく聞いて回ったらしくブラックユズキは前よりイライラしている事が多くなり、ホワイトイリスは常に顔を赤くしておどおどした様子になっていた


 まーノアは全く変わらなかったが、前より色々話してくれるようにはなった


 正直居心地が悪かったりする


 しかしそれなりに一緒に生活していたのだから前ほどあの3人をほっといてさっさと転生したいとは思わなくなっていた


 むしろ出来れば一緒のところに転生したいとさえ思っていたりする


 ちなみに3人には家事をやってもらいたいのでそれなり交渉はしてみた。リリィが来る前までなら


「ヤだね、あんたがずっとやって、やらなきゃぶっ飛ばす!!」


「申し訳ありません。そういった事は苦手ですので、タケル様にお願いしたいです」


「別に…いいよ…」


 ブラックユズキは完全否定、ホワイトイリスには強く言えない、ノアは野菜を丸かじりしたみたいにホントに最低限しかせず心配になる


 それがリリィが来てからは


「ほら、胸好きなだけさわっていいからやれよ」


「その…タケル様ならいいので…その代わり家事をやっていただけませんか?」


「なんでもするよ?」


 どうやら3人ともリリィとの関係を誤解している節があり、そういった事をすればオレが家事をやると思い込んでしまったようだ


 しかし正直そんな関係になってもいいかなと思うぐらい3人は可愛く、美人なのである


 ぶっちゃけリリィがいなければたぶんそんな関係になっていたとは思う


 しかし今はリリィがいるし、出来れば同じところに転生したい気持ちは本当なので諦めず交渉はしている


 なぜなら3人は家事、というか内面を良くすればそんなにかからず転生出来てしまうのだから


 逆に言えば直さなければいつまでもここにいなくてはならないという意味でもあるのだが


 そんな感じで地道な日々、特に変わりばえはしなかった


 いや1つあった


 それは今まで夜になるといなくなっていたシュリが普通にいるようになっていたのだ


 しかも食事を要求してくるのだ。その上かなりお酒を飲むのでそのつまみも要求してくるのだ


 そして次第にそれはエスカレートしていき、ついにはユズキ達と同じように1部屋使いこの屋敷に住むようになってしまったのだ


 朝食に昼食、夕食、掃除、洗濯と生活のすべてをやらせやがる。部屋には大量のあきビンがあり一体どんだけ呑むんだと思ってしまった


 こっちとしては今さら1人増えたところでとは思ったがなんだか()に落ちずむしゃくしゃして殴りたくなった


 そしてこのアホ神、男の姿でよく一緒に風呂に入りたがるが、必ず抱きついて来てそのまま女の姿になりオレの反応を見て楽しむという遊びをしてくるので余計に腹がたった


「あの(ひと)は人をからかうのが好きだからね…だけどある程度好意を持った相手にしかしないから君に好意を持っているのは確かだよ」


 そんな風に神様が弁解してきたが、正直そんな愛情表現などいらない


 いい迷惑である


 燃えるゴミの日にでも出したいぐらいだ


 リリィもそんなシュリを見てヤキモチをやいているのでそちらのフォローも大変なのだから…


 そんな感じでここに来てすでに半年ぐらいたっていた


 しかしまだ半年


 神様のいうとうりなら調整がすむのは最低でも100年


 先は長いなと思ってしまうのは当然で、もし本当にそんなにまたされたら果たして自分はどうなってしまうのか考えてしまう


 現状のままだと戦士としてはそれなり名が残せるレベルで、家事が確実に名が残せてそれこそ家事の神、とか言われそうな…


 そんな事を想像して実際そうなる可能性が極めて高いことになんとも言えない気持ちになってしまった


 そんな風にこちらがへこんでいるとシュリがつまみを作ってと抱きついてきた


 いや…マジやめて……


 リリィがまたにらんでるから……


 普通に頼んでくれれば作るから……


 オレの悩みなど露知らず今日も今日とて女性陣は好き勝手楽しげにしていたのだった


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ