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自分のことを人に聞く

話を切り出す機会を伺いながら、私はスープを口に運んでいた。スープが器の半分ほどになるまでの間、彼はずっと私を見ていた。

礼儀正しい割に視線はずいぶん不躾だった。

何か言いたいことがあるのか。

私はとうとう彼の視線に耐えかねた。


「あの、何か?」

「いえ、食べ方が綺麗だったのでだったので...、味はいかがですか?」


彼は私の指摘に、はっとして私から目を逸らした。

スプーンでスープを飲んでいるだけでそんなにガン見されるなんて心外だ。


貴族としてマナーは厳しく教わったからマナーに問題があるとは思えない。

かなり厳しかった王妃教育の成果だろうか?

いやスープを飲むだけでそんな変わらないだろう。


そんなにガン見するほどではないだろうけれど?

彼は関心を寄せるところが不思議だ。


「とても美味しいですわ」

「口に合ったようでよかったです」


彼はほっとしたように笑った。

やはり見目がいい。

さっきまで真面目な顔をしていたのに、一瞬でほわっと柔らかい微笑みを浮かべた彼に胸がキュンとした。


食事が私の口に合っただけであんな可愛い顔をするなんて彼はきっと女性にものすごいモテるだろう。

顔が良くて、あんな不意打ちもできるだなんて。


そんな彼の仕草にキュンとしていて大事なことを忘れるところだった。


「あの、あなたはどのような方でしょうか?それからここは何処でしょう?」


私から名乗ろうか迷ったが止めた。

名乗った瞬間王宮に連れていかれたら嫌だし。

焦って早口にならないよう気をつけながらゆっくりとまず聞きたかった質問を二つ口にした。


「失礼しました。名乗り忘れておりました、私は海軍に所属しております、ワイアットと申します。ここは海軍の船の中です。」


海軍。

この国で海軍と言うと他国との貿易を行うための護衛のようなものだ。

一昔前は他国との海上戦闘で一役買っていたそうで、この国の海軍艦隊は無敵とまで謳われ、近隣の国の中でもこの国の海軍は有名だった。

今はもうどこの国とも戦争はしていない。


海軍の抑止力のお蔭もあり、最後にした海上戦闘などもう十年近く前だ。

それから戦争もなく平和である現在はもっぱら貿易船の護衛をしたり、海軍の船で貿易品を運んだりする仕事ばかりだ。

貿易航路に貿易品を狙った賊が出ることもわりとあるそうで、仕事は尽きない。




ちなみに、王宮騎士団との不仲は有名である。

海軍は比較的に平民の出の人間が多い。

そのため上品でなく貴族からは敬遠されている。


王宮近衛騎士団は下級貴族や騎士の家の者が多く所属している、規律のしっかりしたところだ。

直接的な戦闘が多い海軍は危険なため好まれない。


平民の出のものが王宮へ上がるには海軍で活躍しその過程でコネを作り、上の者に推薦してもらい王宮近衛騎士団に入るしか道しかない。

だから、王都で平民と貴族が関わることは全くと言っていいほど皆無だ。



「現在、貴女は我々海軍の保護下に置かれています。」


名乗ろうかどうか考えていたが彼は既に私のことを知っているのだろう。

保護。

ということは私は保護しなければならない立場だということなのか。


今の私の立場どのようなものなのだろうかと気になっていたがまずい立場なのだろうか。

捕まったら処刑だろうか。

逃げられるだろうか。

呆然としながら話を聞く私はそんな現実味のないことを思っていた。


「国王は貴女のことを王都から追放するつもりのようです。あくまで一時的な措置でしょう。貴方が王子に告発されてからそれの真偽が問われました。告発された内容が正しいという証言が少数ですが見られました。しかし肝心の証拠が全く見つからないようです。国王はそれを考慮し貴女の身を王都から離すつもりなのでしょう。」


証拠が見つかれば王都に戻れるということか。

それまで私は侯爵家に閉じ込められるのか。

まぁ、処刑よりだいぶましだ。


証拠を得られるまでは処刑の可能性は捨てきれないが取り敢えず良かった。屋敷からは出られるだろうか?

領内だったら大丈夫だろうか?

そこも確認しなくてはならない。

流石に屋敷にずっと閉じ込められるというのであれば少しは考えなくてはなるまい。


楽しみを増やすとか。

多分飽きるし。



「あなたはこれから北のマーフィー男爵が治めている土地で過ごしてもらいます。」

「、ッ!?」


思わず小さく声が漏れそうになった。かろうじて淑女として見苦しい態度はとらなかった!

だが、また続けて言われた彼の言葉に今度こそ声を出してしまった。

「私も騎士としてあなたと共に行きます。」

「えっ!?」



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