僕の受難
とりあえず投稿しましたが、また書き直しするかもしれませんm(._.)m
改めまして、皆様おはようございます。先ほど朝ご飯を食べ終えたばかりなのに、本日分の体力を一気に消耗しました僕こと福田 隆でございます。
そういうワケ(?)で食堂を利用する時は、メニューにある(金銭的にも)無難なものを選んでいたのに昨日の夕食後、リクエストで無理を言った(お願いしたのは僕ではない)のに、ちゃんと庶民的に見せかけた高級素材を惜しみなく使った(食べるのは僕だけではないから)豪華な朝食を用意してくれた厨房の方々には大変申し訳なく、今後の利用を躊躇ってしまうのは、仕方がないと思うのですが読者の皆様は、どう思いますか?
「この後の昼食も、ぜひお越しくださいませ。職員一同お待ちしております」
ホール担当の林間さんに笑顔で見送られ、ますます来づらくなるではないですか! 二人とも、どうしてくれるんですかっ! 大変申し訳ございませんが、今後は購買でパンでも買って屋上で食べることにします。そういえば屋上って開いてるのかな? あとで調べておこう。
「昼食は何がいい? あ、パスタとかは、どうかな? 本場イタリアのシェフが作るパスタ、美味しいよ。福田くんは、何が好き?」
ニッコリと微笑む柳橋くん。今は、その笑顔が恨めしい。どれだけ僕の精神をすり減らしたいんですか? というか、朝ご飯を一般的な庶民の食事だと思ったら大間違いですからねっ!
本来は、手のかからない卵かけご飯だけとか、身体にいいからと出掛ける前に納豆が出されるとか、賞味期限が迫ってるという理由で作られたごった煮や二、三日前の残り物とか。下手すると朝ご飯抜きもありますからね! その時は道中、食パンをかじるという裏技もありますが、それは寝坊をしなければいいだけなんだけどね。とりあえずマンガ的な本当にあった僕の話はどうでもいいか。あれ、櫻森くんがニヤリと笑ってるぞ?
「残念だったな。生徒会からの連絡で会議終了後、そのまま弁当を配布する話だったぞ?」
えっ? それは本当ですか? それが本当なら食堂を利用する後ろめたさが若干、少し、わずかに軽減されます。情報ありがとう、櫻森くん。
そうか、お弁当かぁ。久しぶりだな……って、まさか梅干しだけの日の丸とか、ちくわの磯辺揚げのない海苔弁当じゃないよね? 天下の櫻森学園で、それはありえないよねぇ。失礼いたしました。僕の希望としては、ハンバーグ弁当がいいなぁ。さらに追いチーズ付きなら文句は言いません……ち、違うっ! 弁当の話で現実逃避してはダメだ。今、僕は本来なら踏み入れてはならない、禁断の場所に向かっているのだからっ! 姉さんからのミッションを遂行するのならば、向かわねばならないのだけど。
「どうした、姫? 緊張しているのか?」
「……緊張しない方がおかしいでしょうが! 庶民で平凡以下の僕が……この僕がっ! どうして【姫】なんだよ! やっぱり他の人に「「ダメ」」」
はぁぁぁぁぁっ?
君たち、視力はいくつですか? この僕が【姫】に見えるのですか? 二人は馬と鹿ですか? これからは、君たち二人を馬森くんと鹿橋くんと呼ぶぞ。いいのか?
「もう決まったことだから諦めて。とりあえず任期は一年間だけだし、それに生徒会入りは、絶対にないから大丈夫だよ。安心して」
それは本当ですかっ! そ、そうだよね。僕みたいなのが生徒会入りなんて、ありえないよね? 【姫】に選ばれたから自意識過剰になってるのか? いかんいかん、自分の立場を忘れてはいけない。僕はーー
『柳橋は幼馴染みだから、今まで気づかなかった。こんなにも胸が苦しい……頼む、福田なんかに構うなよ。櫻森だけを見てくれ。愛しているんだっ!』
ーーを堪能するために此処に来たんだから。そのためには、この試練に打ち勝たなければ!
「そんなの当たり前だろう? 生徒会なんかに入ったら姫が襲わ……いや、それはさておき役員会が終わったら何か予定はあるか? もし時間があるならカフェで新作のケーキの試食を頼まれたんだが一緒に行かないか?」
し、新作のケーキですとっ! それは、もしや身内特権でしょうか? だってまだカフェでは販売してないものですよね? それを食べれるなんて……腐男子でありスイーツ男子としては見逃せませんなぁ!
「ああ、君が誰かさんをイメージして作らせたあのケーキが完成したんだね。僕もお邪魔してもいいかな?」
「え、何を言ってるの? 柳橋くんも一緒に行くんじゃないの?」
仲間外れは良くない、絶対っ! それに僕は当て馬でしょう? 柳橋くんが一緒に行くって言ってくれたんだから素直に喜ばないと。だけど何故か櫻森くん、死んだ魚の目をして遠くを見つめています。まさかこれって櫻森くんのツン、いやデレなのか?
「……不本意だが、仕方あるまい。三人で行くから姫、そんな猜疑心丸出しの顔でこっち見るなっ!」
そんな会話をしているうちに、とうとう着いてしまいました、魔の巣窟に。扉を開ければ、ほら扉の向こう側の人たちが二人に見とれておりますよ。桜森くんには【姫】と思われる方々から秋波を送られてます。一方、柳橋くんには【若】と思われる方々からの獲物を狙う……って言い方は姉さんぽいから止めよう! 改めて、かなり熱い視線を感じるのですが大丈夫でしょうか?
「ほら、姫。早く入って」
振り返った桜森くんに促されて、恐る恐る中を覗いてみたけど……ほらねっ! やっぱり僕を見て皆が呆れた顔してるよ! あ、でも一年の【若】さんと【姫】さんは、笑顔で手を振っております。それはバイバイ、さっさと帰れという意味ですか?
「ほら、早く入って」
柳橋くんに促されて仕方なく所定の席に向かうことにした。桜森くんは僕と同じクラスの【若】だから隣に座ることになるけど、柳橋くんはクラスが違うから離れてしまうので、ちょっと心細い。麗しい先輩たちの視線に戸惑いながら一歩一歩進んでいたんだけど途中で何かにつまずいた。
「うわあっ!」
前のめりになった身体は、そのまま床にダイビング。その拍子で無二の相棒が消えた。
「メ、メガネッ! 僕のメガネェ~ッ!」
今、僕はピントのズレたカメラで周りの景色を見ております。正直、色の識別しかできません! どこだよ、僕の相棒っ!
「ほら、ここだ」
桜森くんの声が聞こえて、床の上を手探りしていた両手を持ち上げると掌に何かをのせてきた。この感触は、まさしく僕の相棒ですっ!
「ありがとう、桜森くんっ!」
すぐに見つかったことに安堵し、桜森くんにお礼を言う。早速かけると視界が鮮明になった。良かった、レンズは割れてないし歪みもないようだ。高額出費が回避できて思わず頬が緩んでしまった。
「……姫、もしかしてワザと?」
んっ? 桜森くん、どうしたんですか? 不味いものでも食べたような、なんとも言えないような顔をして……はっ! もしかして、実は庶民の食事がお気に召さなかったんですか? 食堂で働いている方々のために我慢してたとか? どうしよう! 謝った方がいいよね?
お読みいただきありがとうございます!