その2
話によると、先輩たちが加わっての会報誌製作は青葉先輩が
「どうせなら一部の生徒たちだけの月一回の会報誌ではなく、隔週発行の新聞にして親衛隊の写真販売と同様に一般販売しない? それと1000部は売れると思うから部数も増やそう。あとは、ナンバリングしてプレミア感を出すよ!」
と言ったことで急遽、新聞になったとか。販売ということは、僕にも何割か頂く権利はありますよね? 本人非公認の販売なんですから、そこは時間をかけてじっくりと(取り分について)話し合いましょう! それを元手に僕は、新たなバイブルたちをお迎えすることができるので検討……いや、もう決定事項です!
しかし、この新聞製作計画の立案者が金澤先輩ではなく、まさかの青葉先輩とは驚きです。ちょっと意外です。しかも規律に厳しそうな和泉先輩が止めないとは。ん? 待てよ。今の会話の中で聞き逃してはいけないようなことを言ってなかったか?
「ちょっと待て。聞き流しそうになったけど新聞の発行は隔週、部数が限定1000部……って言わなかった? それ最初より増えてるじゃん! そんなに発行しても売れ残るでしょう! 勿体ないじゃん!」
部数が増えていることに僕が叫ぶと櫻森くん、渋谷くんは示しあわせたかのように同時に首を横に振った。しかも何、その振り終ったあとの呆れ顔は! ため息までつくなんてヒドくないですか?
「あのな【姫】、売れ残るワケないだろう。むしろ一番最初に作った会報誌は、幻の創刊号として今や争奪戦になっているんだぞ。しかもシリアルナンバーがついているから万が一、営利目的で複製を作ろうとしたら、どうなるかわからない……そんな馬鹿はいないから安心しろ」
「そうそう、櫻森くんの言うとおりだから。福田くんの(スッピン顔)写真は載せてないんだけど、君の情報を何がなんでも集めたい(特に広報部の)生徒たちが保存用を含めて二部ずつ、それ以外にも高等部に兄弟がいる中等部の子たち、そして中、高の学園関係者も購入してくれているんだよ。1000なんて足りないくらいだよ!」
渋谷くんの発言に目眩が起こりました。何ですか、その状況は!
「そんなに庶民の暮らしが気になりますか?! こんな僕なんかのくだらない情報よりも他に情報を集めるべき、これからの人生に必要不可欠な人物が星の数ほどいるでしょうが! はっ! もしかして僕のプライベートは、新聞のせいで駄々漏れだったりするのか? 僕の知らないところで、変な噂が独り歩きしているなんてないよね?」
華やかな芸能人や、ここにいるセレブな生徒さんたちは、こういうことに少しも動じないんだろうなあ。そういえば親衛隊による写真販売があるんだった。メンタルが強くないと生きていけない世界ですね。やはり僕には、そんな中で生きていくなんて到底できません。それに僕の腐教活動が新聞のせいで妨害されることが確定してるじゃないですか! ああ、周りの人たちの僕を見る目が怖い。腐男子オタクの排除、ダメ絶対!
「……それについては、細心の注意をはらっている……はず。櫻森くんや先輩たちがいるからね」
ハハハ、と乾いた笑いの渋谷くんに疑惑の眼差しを向けると彼は、それをサラリと受け流し、おそらく僕の新聞の会議をしている時の先輩、金澤先輩のモノマネしてくれた。
『我が金澤の暗部が日々福田の周辺をチェックするので安心するがいい。金澤財閥の威信にかけて福田の情報は、この学園の関係者のみ提供され、外部への持ち出しはできぬようになっている!』
と、胸を張って豪語していたそうですが、学園の関係者のみって……それもどうかと思いますが? だって教員や生徒だけではなく、その家族も僕のプライベートを新聞で知るってことですよね? それ、外部に持ち出してるってことになりませんか?
『福田の個人情報は、学園の生徒名簿に登録されているもの……名前、生年月日、家族構成、学歴のみだ。そしてあくまでも新聞は、日々過ごしている様子を記事にしているだけだ。別に暗部など必要ないだろう』
と、今度は櫻森くんが、その時の金澤先輩の発言に対して、和泉先輩が言ったことをモノマネしてくれました。補足ありがとうございます。金澤先輩よりも断然、信頼と安心感が違います。さすが和泉先輩ですね。ありがとうございます!
「まあ掲載する写真は眼鏡の福田くんを使用しているから、一部で不満もあるようだけど」
渋谷くん、それはどういう意味でしょうか? 眼鏡を外した自分の顔は、しかめっ面で可愛くもなんともないし、むしろ不快に思う人が続出しそうですが。
「まったく幼馴染みの彼と、てっちゃんの苦労も知らないで……まあ、仕方がないけどね」
ちょっと将来の義理の兄よ。そのジト目は何ですか? 姉さんの苦労って言いますが、僕の方が断然、相当姉さんのせいで苦労していますけど! 前から思っていましたが、鶴間さんは絶対Mの人ですね。あの姉さんの恋人なんですから、間違いないでしょう!




