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未定

 我が母校の校門前で僕に頭を下げる三人組。同じ学年の櫻森くんと渋谷くん。そして僕の姉、哲子さんの恋人である、もうすぐ三十路の女装男子の鶴間さん。別に怒っているワケではないのです。ただ何故に僕の新聞が作られたのかを知りたいと思っているだけなんです。


 そしたら櫻森くんが気まずそうに新聞発行にいたる経緯を説明してくれました。


「ほら、【姫】のスッピン顔はウチのクラスと一年の学級委員は知っているが、それ以外の生徒たちは眼鏡の【姫】しか知らないだろう? かといって全校生徒にスッピン顔を晒したら恐ろしいことになるし、一部で『実はどこかの国の資産家の隠し子で、あれは世を忍ぶ仮の姿ではないか?』と噂になっていたんだ」


 それに付け加えるように渋谷くんも「今のままでは、福田くんは孤立してしまうのでは?」と思ったらしく、僕のことを知ってもらえればと学級委員で会報誌を作ろうと思ったそうだ。


(悪意ある噂を払拭するため、ということらしいけど、何もコソコソ隠れてしなくてもいいんじゃないの!?)


「……櫻森くんに渋谷くん。ごめんね、余計なことを言ったよね。よく、てっちゃんからも『あんた、口が軽いから気をつけろ!』って怒られるんだよね。それからタッシー、黙っていてごめんね。てっちゃんに口止めされていたんだ。けど自分の知らないところで、芸能人でもないのにそんなことされていたら嫌だよね」


 そう言って反省している鶴間さん。まるで飼い主に怒られてシュンとしている小型犬のようです。しかも見えるはずのない獣耳がヘニャリと垂れているのが見えます。


「まあ、鶴間さんが決定打を放ってくれましたけど、僕もつい電話でペラベラ喋っていましたから、お互い様です」


 鶴間さんをフォローしているのかしてないのか分からないコメントをする渋谷くん。それに頷く櫻森くん。


「ちなみに、その新聞は今までどれだけ発行されて、どうやって配られるワケ? バックナンバーとかあるの? あるなら僕にも見せてよ!」


 一体、どんなことが書かれているのか知りたいじゃないですか。しかも姉さんが持っているということは、柳橋くん辺りが横流ししている可能性がある。後で家に帰ったら追求しなくては!


「……最初は一年の学級委員の有志で会報誌として発行しようとしたんだけど……そしたら福田くんのクラスの一部が仲間に入りたいって言いだして……ね、櫻森くん」


「どうやら俺が【姫】の写真を撮っていたのを見た奴らが俺の行動を探っていたようなんだ。で、そいつらが嗅ぎ付けてバレたんだ」


(……櫻森くん、いつの間に写真を撮っていたんですか? 全然、気がつきませんでした!)


「とりあえず最初は四つ切り画用紙程度の大きさの紙をカラーで、真ん中に切り込みを入れて作る冊子みたいなものだったんだ」


「それって、まさか手作業? えっ? 業者に頼んだの!? それって学校の経費じゃないよね? はあ!? 自分たちのポケットマネー!?」


 鶴間さんが驚いています。確かに学校の経費は使えませんね。だからといって印刷所に頼んで500部をポケットマネーで払っちゃうなんて、さすがセレブです。


(しかし何気に手が込んでませんか? それが創刊号になるんですね。自分のことをどういう風に書かれているのか、見てみたい気がするけど……今、まだあるのかな?)


「最初は学級委員全員と福田くんのクラスの一部だけだったんだよ? その冊子を体育祭についての会議があった日、ある人物が、よりにもよって生徒会室に落として、それを金澤先輩が拾っちゃって……で、先輩が」


 困った表情の渋谷くんに大体の予想がつきました。おそらく今、僕が思っていることですよね?


「青葉先輩たちも参加したいってことになってしまったんだ」


(やっぱりね! そうくると思ったよ!)


「……ちなみに、その会報誌を作るためには仲間が集まらないとできないよね? リモートやメールのやり取りをしていたの?」


 その鶴間さんの問いに渋谷くんが答えます。


「……夕食後に寮の第一談話室に集まって会議をしていました」


 第一談話室は寮の入り口近くにある教室くらいの広さがあります。ここで緊急の会議を開いたり、イベントができるスペースとして利用されています。確か予約制だった気がしますが。


「……マジですか。僕が部屋に帰った後に、君たちは新聞を作るために集まっていた、と」


 櫻森くんと柳橋くんにエスコートされて部屋に戻った僕が、その後ドラマで萌え、腐活ノートの記入に勤しんでいる間、君たちは新聞の製作をしていたんですね。なんてこった!

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