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休息

マンションの部屋に入るなり


「新しい、家です」


リュカはベッドの上で飛び跳ねる。


それを見てルヒトは軽くため息をつくと


「私はちょっと出てきますので、リュカ君は休んでください」


「ルヒトさんは、休まないんですか?」


リュカが聞く。


「私だって健全な男です。両手に美女を侍らせて、酒を飲みたい夜もあります」


「なるほど、キャバクラと言うやつですか……」


そう言って、リュカはメモとペンを片手に


「僕も行きた「却下です」


ルヒトは灰皿にタバコを押し付けると


「子供が行くところではありません」


リュカは、ふてくされていたがベッドに横になると眠ってしまった。


ドアに鍵をかけ、ルヒトは馴染みの飲み屋に向かう。


その途中の路地、ヘイムスクリングラ車のトラックが停車していた。


「回収完了ね」


「最近、増えてるな。まあ、腹は減らなくていいけど」


「せめて、吸血鬼化する人間の法則が分かったらいいのに」


ミリアムとアルカスの姿を見て


「遅くまで、お疲れ様です」


ルヒトは声を掛ける。


「あら、暇そうでいいわね」


「ルヒトさん、明日は非番ですか?」


「ええ、こちらでゆっくり出来るのは久しぶりですから」


お忙しいようですから失礼します、とルヒトは踵を返す。


「ねぇ、吸血鬼化に法則あるとしたら何だと思う?」


ミリアムに聞かれ


「おや、ミリアム先輩が私に相談とは明日は雪でも降りそうですね」


「う、うるさいわね」


聞く相手を間違えたわ、とミリアムは眉を寄せる。


「可能性なら、誰もが持ってるんじゃないんですか」


ルヒトは顎に手を当てると


「それが、死んだ後にアタリを引くかハズレを引くかの違いでしょう」


「へぇ、アタリを引いた奴が吸血鬼化するか」


面白い考えだな、とアルカス。


「……ひょっとして、あんたが中心に居るんじゃない?」


ミリアムは、怪訝そうな表情を向ける。


「私は、ただの下っ端ですから」


買いかぶりすぎですよ、とルヒトは去って行く。






















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