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霊廟
城の裏にある霊廟。
暗闇と埃っぽい空気が、不気味さを増す。
警戒して、狼耳と尻尾を立てているリュカに
「どうした? ビビったか」
茶化すように、ジルが言う。
「そ、そんなわけありませんよ。僕、人狼ですから」
強がって見せるリュカ見て
「ははは、お前面白いな」
弟いたらこんな感じだろうな、とジルが言う。
「王太子さんは、部屋で休まなくて大丈夫なんですか?」
病弱だって聞いてました、とリュカに問われ
「引きこもってばっかだと、退屈だろ」
無理しなきゃ平気だと、端末を操作しながらジルが言う。
「よし、完了」
霊廟に、人口の淡い光が灯る。
「これで、奥まで行けるだろ」
「……結構、手が入ってるんですね」
霊廟という神聖な場所には、人の手はあまり加えられてないと思っていた。
「リリスさんや、ヘイムスクリングラ社の社長は結構出入りしてるぜ。オレも同行したし」
その時、リュカにそっくりな人物を見た、とジルは言った。
(霊廟で、そっくりな人物って……僕って、死人?)
複雑な気持ちを抱えながら、リュカとジルは奥へと向った。




