吸血鬼を狩る者2
「どうして、私がルヒトに協力しなきゃいけないのよ」
文句を言いながらも、ミリアムは吸血鬼化した修道女を黒い炎で灰にする。
「仕方ねぇだろ、社長命令じゃ」
背後で、狼のアルカスが吸血鬼を仕留める。
人狼ネレイアは、麻酔銃で捕獲。
ベルナレッタの遺体と共に、ガーディアンに回収された。
様子の変だったリュカは、人間の姿に戻るなり眠ってしまった。
「私も、付き添います」
医療班の車に同乗するルヒトの後ろ姿を遠目に
「……やっぱり、中心じゃない」
ミリアムは呟いた。
城内、研究室。
「リュカ君に、アベル本人が使われてるってどういうことです」
ルヒトに問い詰められ
「新型だと、シェオル社長からも説明があったはずよ」
リリスは答える。
「だからって、本人を使うのは……危険なのではありませんか?」
「狼の憎しみは、吸血鬼を狩りつくすまで続くわ。今回、貴方の相棒にアベル本人を使うようにオーダーを入れたのは、シェオル社長よ」
ルヒトは眉を寄せ
「私が居れば、吸血鬼に接触できるからでしょう」
唇を噛みしめる。
「リュカは目が覚めるまで、研究室の方で休ませるわ。貴方も、ここで精密検査を受けるように」
リリスは深いため息をつくと
「吸血鬼は、カインの末裔に伝染する」




