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修道院の闇

「サラさんの傷は、人狼によるものでしょう」


ルヒトの言葉に


「人狼は、人間を襲いません!!」


リュカは、声を荒げて否定。


(吸血鬼は、容赦なく食べるくせに……)


人狼には、妙なこだわりがあるようだ。


「まあ、彼女が襲われたのは普通の人間の時でしょうから信じられないのも分かります。私の推測では、野犬と言うのは人狼だと思っています」


「それって、行方不明になったエージェントの相棒ですか?」


ルヒトは頷くと


「エージェントの方は院長として復活の儀式を執り行っていますし、人狼の方が無実とは言い難いのが現状です。リュカ君が言った、吸血鬼ではない何かが裏で手を引いてる確率は高いです」



「ルヒトさん、これからどうします?」


「昨日、ルシアさんが襲われた場所まで行ってみましょう」


二人は壁際に隠れながら、巡回中の修道女をやり過ごす。


「今日は、満月ですね……嫌な感じがします」


弱気なリュカを横目に


「人狼が満月を怖がるとは」


ルヒトは苦笑。


「吸血鬼の方が、満月には凶悪ですよ」


「ああ、つまり狩りにくいから嫌だと」


業務怠慢ですね、とルヒトは続ける。


リュカは頬を膨らませ


「もう、知りません」


拗ねてしまった。


現場は綺麗に片付けられ、これといった手掛かりは得られそうにない。


(同じ場所に現れるなんてヘマは、しないでしょうし……)


「リュカ君、そっちはどうです?」


「……」


「まだ、拗ねてるんですか?」


「あそこ、女の子の人狼が居る」


ルヒトはリュカの視線をたどり、向かいの建物の二階の部屋へ。


「誰も居ないようですが?」


「でも、さっきまでずっと見てましたよ」


(確か、あの部屋は院長の……)


「そこで何をしているの!」


巡回中の修道女に見つかり


「まずい、逃げますよ」


ルヒトは、リュカの腕を掴んで走り出す。



「ネレイア、友達が気になるか?」


人狼の少女ネレイアは振り返ると


「同族ではありますが、友達ではありません」


それに彼はワタシより後に作られた新型です、と続ける。


「なら、君よりもアベルに近い存在か。もしくは、本体を使ったか」


ベルナレッタの姿をしながらも、発せられるのは地を這うように低い声。


「グラスが(から)のようですが」


ネレイアに言われ


「ふむ、ここに来る前に調達した吸血鬼たちは……底をついてしまったな」


ベルナレッタは不適な笑みを浮かべる。


「そろそろ、次の段階へ移ろうか」













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