74.神様、少し婚活恋バナしてきました
今日のご飯作りは、形はちょっと違ってもお米だしいけるんじゃないかなと期待して炊いてみたら、てろんてろんになってしまった悲しいお米を見つめる作業から始まった。
始めちょろちょろ中ぱっぱ、赤子が泣いても蓋とるな。お婆ちゃんが教えてくれたお米を土鍋で炊くときの魔法の呪文だけど、何分辺りで中ぱっぱになるのかは分からなかった。水は、合宿の時の飯盒を習って掌が浸かるまでにしたけど、それじゃいけなかったのだろうか。
しばらくうんうん唸った結果、蒸かしたお芋を繋ぎ代わりに団子にした。団子万歳。団子は万能。
ふと思いついて箸に刺して直火で焼いてみる。確か、どっかの郷土料理でこんなのあったはずだ。お醤油とかお味噌塗って食べてた気がする。あれ? あれってこんにゃくだっけ? まあいいや、そのままでも美味しいはず! と意気込んで焼いてみたはいいものの、意外と味がしなかった。お芋自体の味が薄かったらしい。鳴門金時、紅あずま、彼らが恋しい。
味噌も醤油もないし、何塗ろうと考えながら卵焼き風オムレツを作る。お醤油欲しい。欲しいというか食べたい。そして、いつもの野菜スープの中では、さっき放り込んだ団子が膨張して鍋を占拠していた。そっと蓋をして見ないふりをしたら、それすら持ち上げてきて怖かった。
行き当たりばったりの夕食を、美味しかったとぺろりと平らげてくれたルーナに合掌する。ぶよぶよのお団子、ほんとごめん。
相変わらず洗い物は奪われて、渋々洗濯物を畳む。スカート引き千切りたい。
「歓迎会?」
「ここにきて二週間になるから、らしい。リリィの顔見せも兼ねたいそうだ」
「明日?」
「明日の夜」
じゃあ、夕食の支度は要らないのかな。
私はエマさんの家に行くとき以外、基本的に外には出ないから、どうも村の人達が焦れてきているらしい。
エマさんと話せるかもしれない。もう一人の協力者という人にも会えたらいいなと思う。村の人達と一緒に、屋根直したり狩りをしたり薪を割ったりと、色々しているルーナも会えていないというから、難しいかもしれないけど。そして、いい加減エマさんにちゃんと名乗りたい。
明日は気を引き締めて頑張ろう。この村に来て、ある意味初仕事だ。バイトで鍛えた営業スマイルの出番である。
そう気合を入れた私がいま一番頑張っている事は、何か一つでもルーナと勝負できる方法を探すことだ。毎晩奮闘して、今のところ完敗だ。完敗だと勝負にならない。平等の王者だと思っていたじゃんけんが通用しないとなると、何か勝負できるものがほしい。
今夜はくすぐりあいをしてみたけど、私が一人悶えるだけで、ルーナは無表情だった。でも、私はここに勝機を見たのである。だって、無表情。平然としてるんじゃなくて、無表情。絶対どこかは弱点だ!
ルーナだってくすぐったい所の一つや二つあるはずだと、それはもう張り切った。しかし、散々ベッドの上でくすぐり合って埃をたたせた後、私は気が付いてしまったのである。
ルーナの一つや二つの弱点を見つけ出す為に、私の十や二十の弱点がばれたのではないか。そして結局、ルーナの弱点は分からなかった上に、これ、勝負じゃなくてただのふざけあいだ、と。
「じゃあ、新しい家族、ギニアスとリリィの幸せを祈って、乾杯!」
村長さんの号令で、皆が高々と掲げた木のコップを打ち鳴らす。私は大変控えめに腕を上げて参加した。昨夜くすぐり、くすぐられすぎて、筋肉痛だ。しれっとしているルーナの筋肉が羨ましい。
最初は一緒に座っていたけれど、すぐにわっと人に揉まれて席が離れていく。この手慣れてる感が凄い。合図もないのに、あっという間に間に入ってくるのだ。
「さあ、今日は飲め飲め!」
「偶には男同士の話でもしよう!」
そう言って肩を組まれたはずのルーナの周りには、いつの間にか女の子が勢揃いしていた。凄い、年下から年上まで勢揃いだ。美人から可愛いまで、清楚系からアダルティまで完全制覇!
「はい、女の子はこっちね」
「私、酒は、飲酒不能よ」
「大丈夫よ、白酒だから」
村長さんの奥さんは、ふくよかな手でそっと私の手に温かいコップを持たせた。とろりとした白い液体の中に粒粒とした物が揺れている。くんくんと匂いを嗅いで納得した。これ、甘酒だ。ということは、ルーナのあれは日本酒みたいなものだろうか。
甘酒なら大丈夫かなと思うけど、万が一酔ったら困るから、ちょっとずつ口をつける。
下手に頑張るとぼろが出るのは分かっているので、ルーナと話し合った通り、あまり喋らない。とりあえず、参加することに意味があると思っておこう。
刈取りが終わった後の畑を使って、お祭りみたいにあちこちにランプが吊り下げられ、色とりどりの紐が夜風に揺れている。結構肌寒いけど、そのかわり星空が凄く綺麗だ。ただでさえ遮るものも汚すものもない所に、冬の始まりを感じさせる寒さ。澄みきった夜空は、見ていると焦点が合わなくなるくらい満天だ。
それを眺めていると、いつの間にか周りには若い男の人達がいた。ルーナの所にいる女性達と同じように、年下から年上まで勢揃いの上にイケメン揃いだ。親近感が湧く顔つきの人が一人もいないことに違和感がある。後、凄く疎外感を感じる!
「楽しんでる?」
頷く。それだけで笑い疲れた頬の下が引き攣る。こんな所まで筋肉痛になるまで笑い過ぎた。
「俺達も、やっとリリィと話せるって楽しみにしてたんだ。もう身体は平気?」
ずっと平気ですよ! と言ったら家に引きこもる理由が消え失せるから、とりあえず頷く。しまった、喋らない応対のレパートリーが少なすぎる。
いろいろ話しかけてくれるけど、基本的に、はい、いいえ、後は愛想笑いで誤魔化す。
「リリィって大人しいんだねぇ」
思わず噎せそうになる。凄い。喋らないだけで人生初の評価を頂いた。
「この村の女の子って強いからさ、新鮮で可愛いね」
コップを持った手で示された方向には、ぐいぐいルーナに迫る女性陣が見える。ルーナの腕を取って胸に押し付けるアダルティなお姉さんを見て、自分の胸を見下ろす。うん、判断に困る胸だった。
もう一度顔を上げたら、そのお姉さんは目が合うとうふんとウインクしてくれた。流れるようなウインクが素晴らしい。私はカルーラさんから禁止令が出ているウインク。一回だけ今のはよかったと絶賛されたウインクが、目に虫が入っただけだった時の空気が今でも忘れられない。
カルーラさん元気かなと夜空を見ていると、ぐいっと肩を引っ張られた。というより、肩を抱かれた。甘酒が――!
たぷんと揺れた甘酒が零れるかとはらはらしたけれど、とろみでなんとか器の中に戻ってくれた。よかった。洗濯しなくて済んで本当に良かった。ありがとう甘酒。気が利く甘酒で本当に良かった。
「ねえねえ、リリィはどんな男が好み?」
「あ、それ俺も聞きたい!」
「俺も俺も!」
ルーナの周りでは女性陣が同じ質問で迫っている。私は、静かに甘酒へと視線を落とす。この状況は昨日話し合ったからある程度の予想はついていた。
そう、ここは婚活会場!
外から来た人を身内に引き込む一番の方法が婚姻関係だから、ぐいぐい口説いてくるのだ。といっても、女性陣は本気に見える! ですよね! ルーナかっこいいですよね! そして私を口説いてくださる予定のイケメン達は目が笑ってない! 相手が私で大変申し訳ございません!
私の人生初モテ期は偽りのモテ期でした。でも、私には、一生分の恋愛運を使っても叶ったのが不思議でならないルーナがいるので、それでいい。
だから、私の返事はこうだ!
「兄の如く色男で、兄の如く強敵強面で、兄の如く優しさで、兄の如く素晴らしき男性よ!」
「お、お兄さん大好きなんだねぇ」
好きなタイプを詳しく言うと、濃紺の髪で水色の瞳をした身長高いイケメンで、物作るの好きでご飯の出来栄えに頓着しなくて、私と同じ春生まれのルーナです!
甘酒を持っていないほうの手をぐっと握り拳にして、全身全霊を込めて語った。ルーナ大好き!
「じゃ、じゃあさ、この中なら誰がいい?」
若干どころか盛大に引き攣った顔が、私の後ろを見て更に引き攣る。何だろうと振り向いたら、ルーナを取り囲んでいらっしゃった女性陣が凄い形相でこっちに飛び込んでくるところだった。
「な、なんだよ、お前ら!」
男性陣も驚いていたので、彼らの予定にもなかった行動のようだ。女性達は男性を押しのけて私の前後左右に陣取った。
「リリィ!」
「はい!」
「私達の中で誰が好み!?」
「はい!?」
モテ期!
「お前ら何やってんだよ! あっち行けって!」
若干垂れ目の男の人がルーナを示すけど、女性達は私の腕を掴んで離れようとしない。偽りのモテ期の次は、女性からのモテ期が!?
「だって、ギニアスさんに好みの女性を聞いたら、リリィと気が合う人って! リリィの好きな人って言うんだもん――!」
代理モテ期でした。
ルーナのほうを見ると、しれっとご飯を食べている。
女性陣の勢いに負けた男性陣は、肩を落としてルーナのほうに向かっていく。これにて婚活会場解散。これよりただの飲み会へと移行します。
ずいっと顔を寄せてきた女の子の顔にそばかす発見。リリィに会いたい。
「ねえ、リリィ」
え、どこ!?
思わずリリィを探しかけて、慌てて顔面を取り繕う。そうです、リリィは私でした。
「ギニアスさんの好みって分かる?」
飲み会へと移行しても、話す内容は恋バナで変わりはないらしい。女性陣の視線は、ちらちらとルーナに吸い寄せられていく。当然私も吸い寄せられている。イケメンの中でも輝くルーナは凄い。そんな吸引力の変わらないただ一人のルーナを見て、ちょっと考える。ルーナの好み。つまり、婚約者である私ということで宜しいか!
「馬鹿!」
「え」
「たわけ!」
「え」
「珍妙!」
どんどん曇っていく皆の顔に、私は頷いた。
どうです、私の婚約者趣味悪いでしょう! 寧ろ私が悪いでしょう! 本当にどうもすみません!
沈黙が流れる。どうしよう、この微妙な空気。ありとあらゆる意味で私の所為だということは分かるけど、打開する方法がちっとも分からない。いや、でも、まあ、ある意味恋敵との対決に打ち勝ったと思えばいいのだろうか。凄く微妙な空気だけど。
「あらぁ? どうしたの? 盛り下がっちゃった?」
間延びした声が聞こえて、星空に向いていた視線を下ろす。今の誰が言ったんだろう。
「ねえ、あたしも混ぜてぇ」
気のせいか、目の前に立つ男の人から聞こえてきた気がする。
「ねえってば」
男の人は、じれったそうに身体をくねらせて、無理やり隣に座ってきた。そばかす可愛い女の子がずれて、椅子から落ちそうになって口を尖らせる。
そして、気のせいじゃなかった。声はこの人から発せられている。
年上だろうか。痩せてひょろっとした身体をくねらせて引っ付いてきた人に、女性陣からブーイングが上がる。
「ちょっとヒンネ、ずるいわよ。リリィはいま私達と話してるのよ」
「そうよ、ヒンネはあっちでお父さん達と話してなさいよ」
ヒンネと呼ばれた男の人は、嫌よぉと嘆いて私にしなだれかかった。甘酒はご臨終です。そして、洗濯物が増えた私の心もご臨終です。
「あっちむさ苦しいんだもの。あたしもこっちがいいわぁ。あたしだって心は女よ!」
そう叫んで抱きついてきたヒンネさんを引き剥がそうと、女性陣が引っ張る。しかしヒンネさんは離さない。おっさん臭溢れる場所には戻らないわと断固として離れないので、必然的に私も一緒に揺すぶられる。目が回る上に、髪とか服がぐちゃぐちゃになってきた。これはアイロンフラグ。石を熱して鉄で挟み、このもさぁとしたスカートにかけるのかと思うと、手間が三倍、精神的負担は三十倍!
「しょ、少々待って! 何事か、ぶちぶちと申している! 服が破損した予感が!」
きゃいきゃいと甲高い叫び声と、きゃあきゃあと低い叫び声に揉まれていると、ひょいっと視線が上がる。
「妹は病み上がりだ。無理をさせないでくれ」
いつの間にか戻ってきたルーナに抱え上げられていた。やっと女性陣と女性? の紛争から逃れられて一息つく。一息ついて自分の姿を見下ろすと、結構な惨状だった。胸のボタンが引き千切れている。縫い付けるのかと思うと、精神的負担は四十倍!
もう、明日に回そう。
全てを諦めた私の惨状を見て眉を寄せたルーナは、私の身体を抱き直して抱きこんだ。
「リリィを休ませたいから、俺達はこれで失礼する」
私達の歓迎会をしてくれているのに、主役途中退場宣言!
そばかすの子がさっと青褪めて立ち上がった。
「リ、リリィ、ごめんなさい。私、調子に乗っちゃって、本当にごめんね」
「大丈夫、私が眠いのみよ」
へらりと笑うと、彼女はほっとしたように力を抜いて、もじもじと両手を擦り合わせる。
「あ、あの、また、お喋りしてくれる? あのね、私達、リリィとしたいこといっぱいあるの。綺麗なお花が咲く野原とか、案内したくって……あの、だからね!」
「うん、ありがとう」
ぱっと上がった顔に咲いた満面の笑顔の中で、ちらりと動いた視線の理由を考えてしまった自分が悲しい。こっそりと追った視線の先にいたのはライさん達だった。
「女共がはしゃいじまったな。悪いな、ギニアス、リリィ。皆、あんたらと話せるのを楽しみにしてたんだ。だから、許してやってくれ」
「ああ……リリィが動けるようになったら、仲良くしてやってほしい」
「おう! じゃあな、ゆっくり休めよ」
人の良さそうな笑顔が、耳当たりの良い言葉を、柔らかい声音で届けてくれる。だけど、彼らの笑わない瞳の笑顔に見送られるのが、ちょっとしんどい。でも、瞳の違和感に気付いてしまえるのは、ちゃんと、本当に笑ってくれる人達の笑顔を知っているからだと思えば、俯いてしまわないでいられる。
「ありがとうござりました! おやすみなさい!」
声を震わさずに言えたことを、リリィ達に感謝した。
ほとんどの村人があの場所に集まっているらしく、帰り道はしんっと静まり返っている。そんな中でもエマさんとマーカスさんがいなかったところを見ると、エマさんの監視はどんどんきつくなっているのかもしれない。
家について、ルーナがお風呂に水を入れてくれている間に、着替えを用意する。そして、自分の惨状を見下ろして溜息をついた。服どうしようかなと視線を下ろすと、何か違和感を感じて動きを止める。
「ん?」
何だか胸元がちくちくするのだ。草でも入ったかな、虫だと嫌だなと、ボタンが取れてしまった胸元を引っ張って中を覗きこむ。
「………………ルー、ギー! ギニアス――!」
ポケットのない服の中に放り込まれていた紙を落とさないよう上から大事に押さえ、お風呂場に特攻した。そして、小窓から飛び込んできたカナブンもどきと運命の邂逅を交わし、即座に回れ右する。ルーナを飛び越えてきたカナブンから逃げながら、私は、とてもユアンに会いたくなった。ユアンお元気ですか。私は今日も元気に廊下で転んで鼻血ぶー。
一人で慌てて一人で怪我をした私だけど、幸いにも、蹲る私を抱き上げようと覆いかぶさってくれたルーナに、紙の存在をこっそり教えることに成功したから結果良しだった。
罠の確認という名目で屋根裏の狸を追い払ったルーナと一緒に、どきどきしながら紙を開いたら読めなかった。この悲しみをどうしよう。
『ルーナ……異国の言葉で書いてある』
しょんぼりしながら紙を渡すと、最初は普通に眺めていたルーナが急にぐっと眉を顰めた。
『……グラースと同じ言葉だ』
『暗号でしたか』
成程。誰かに読まれても大丈夫なように暗号にして託されたのだろう。筆記体とは違う文字の崩し方に感心する。流石、皆あったまいい。
不謹慎だけどちょっとわくわくしてきた私に、ルーナは何とも言えない顔で首を振った。
『多分これ……ただの悪筆だぞ』
切ない。
紙には、毎年この時期には酷い嵐が来ること。その嵐の後に騒動を起こすので、村が騒がしくなったら荷物を持って家で待っていてほしいこと、もし家の外にいたら墓場で合流してほしいこと。そして、服を破ってごめんと書かれていた。
そのまま渡されてわたわたするより、思い切って放り込んでもらってよかったのかもしれない。
問題は、放り込んでくれた人が誰かということだ。十中八九、あの人だとは思うけど。
だって、あの人だけ笑っていない眼が真剣だった。周りと連携するように交わされる視線はなく、私だけを見ていた見た目は男、中身は女性の例のヒンネさん。例のも何も、ヒンネさんは一人しかいないけど。
ちょっと色々びっくりしてそれどころじゃなかったけれど、あの人だと思う。村の人達は独特の雰囲気がある。でも、あの人はモーリーさんと似ていた。何がどう似ていたと聞かれると全く似ていないと答えるけど、なんというか、雰囲気だ。一体感がない感じがした。いい意味で。
ルーナも言っていた。この村の人達には独特の雰囲気があると。
だから、モーリーさんが私達を信じてくれたように、私達も逃亡の仲間としてモーリーさんを信じられるのだ。
しゃがんで手紙を燃やしているルーナの背中を突っつく。硬い。服を指で摘まんで引っ張ったら、その小さな動きに合わせて揺れてくれる。楽しくなって、全部の指を使って背中を突っついていたら、背を向けたまま私の両手を掴んできた。肩を越えさせたと思ったら、その両手を掴んだまま、背負い投げするみたいに屈んで私を乗せて立ち上がる。持ち上げられて浮いた足を折り曲げて、地面に着かないよう遊ぶ。
『アリスちゃん達に会いたいね』
『ああ、そうだな。帰ったら、またアリスと飲みたいな』
ちょっと待って。私一回目の飲み会知らない。腕相撲対決もしたらしいけどそれも見たことない。ボードゲームをやっているのはちょこちょこ見たことがある。
よく考えたら、私は親友と飲んだこともなければ、ボードゲームをしたこともない。まあ、したところで結果は見えているけども!
それにしても、折り紙やお喋りはいっぱいしたけど、これではまるでルーナのほうがアリスちゃんの親友だ。
『私、帰ったらアリスちゃんと飲んで、腕相撲して、たわけの嵐を頂いてチョップされるんだ!』
『……カズキがいいなら別にいいけどな』
でも、二十歳の年齢制限どうしよう。この世界に来てからの時間でも、春になったら誕生日かな。だったらお酒飲めるかな!
『ルーナ、ルーナ!』
『ん?』
『二十歳になったらお酒飲めるから、私とも飲んで!』
『ああ、そうか。それは楽しみ……酒癖悪かったなぁ』
ティエンに騙されて一気飲みしたお酒の酒癖が悪かったのは、回数に入れないで頂けると嬉しいです。




