chapterⅠ † 出会いは春の終わり
時は、魔法時代
科学は捨てられ、魔法が世界に残った。と、思われていた。
世界の一部には科学を捨てきれず、魔法を手に取らなかった。その中にはもちろん私は居なかった。まだ、その時は――……
私は魔法派から追放された。
ただ…科学に少しだけ興味があっただけなのに、魔法派は私を追い出した。「科学は必要ない」と言って。
そしてもうひとつの理由は王女様の気まぐれ。暇だったから魔法派から追い出した。
私は…どこに行けばいいの?
そう思いながら誰も居ない暗く、静かな森を歩いていた。
「おい、これ食えそうじゃねぇか?」
「きゃっ!」
どこからか聞こえた一言で体が軽く浮かせる。と、同時に気の抜けた声が出てしまう。
もしかして魔道士? ……逃げないと。
「てめぇ…何やってんだよ?」
手遅れでした。
声をかけた少年は私の肩に掌を置き、呼び止めてた。男の人の声で、同じ人だと思う。
「ごめんなさいッ! もう2度とここに来ないから、殺さないでッ」
魔法派が最後に私に言った言葉は、「もう2度と魔道士に姿を見せるな。今度見せたら殺してやる」。これも王女様の気まぐれ。私を見て遊んでる。
この人たちが魔法派だったら、私の命は無い。しかも、魔法派であるという可能性は非常に高い。科学派は世界に一箇所しか居なくて、どこに住んでるかも私にはわからない。
「何、言ってんだ? 殺してほしいならサッくと殺してやるから安心しろ」
「逆に安心できないと思うよ? 怖がらせちゃいけないな」
先ほどの男が出てきた草むらと、同じところから出てきては、「ハハハ」と今でも笑いそうなほど笑顔を向けて、違う男が出てきた。
「俺は一切悪くねぇ! びびったあいつが悪いんだ!」
「ご、ごめんなさいッ」
彼に睨まれ即刻誤ってしまう。殺される――…。それか王女様に突き出される。
「そ、それでは私はこれで」
彼達からすぐに逃げられるように距離をある程度とる。たとえ彼らが魔法派であっても、科学派であっても居場所は作れない。
魔法派は科学派と嫌うように、科学派も魔法派を嫌っている。そのため、彼らがどちらであっても同じようなことになる。
「待て。お前まさか…」
「めっそうもございません! スパイだなんて私には出来ませんからッ」
「……何も言ってねぇよ」
不良らしき彼は呆れたように口を開く。
その彼とまた更に距離置きに彼から遠ざかる。しかし、不良の彼から遠ざかっていたばかりに、後ろに居た爽やかな彼の近くに行っていることになっていた。 もろろんそんなこと私は知らなくて。
「きゃッ」
急に体が宙に浮き、お腹のあたりに硬いものがあたる。爽やかな彼が軽々と担ぎ上げた。
「少し俺と話そ」
「わ、私は貴方達に話すことなんてありませんッ! 情報がほしいなら魔法塔か科学塔に行って下さい!」
魔法塔とは、魔法派や魔道士たちの個人情報が全て記憶されている。それだけでなく、どんな魔術があるか、誰がどんな魔法を使うかまで、細かく記憶されている。
それに対して科学塔は、魔法塔と同じ役割をしているが、違うところは記憶しているのは魔法ではなく、天文学や生物学。科学に関する情報が少し残らず機械によって記憶されている。
「俺たち魔法とか魔道士に興味ないんだよね~」
「えッもしかして科学派?」
魔法派じゃ…ない。ここに、居たんだ。科学者が、科学派が!
担ぎ上げられていたが、何故だか彼はそっとおろしてくれた。そして笑顔で私に尋ねた。
「そう言うと君は魔法派なのかな?」
「えと…魔法派ですけど、正確に言えば魔道士で…」
カシャっ
「えっ」
不良の男がどこからか出した銃を私の胸に向ける。魔法派は科学派を嫌っている。それは先ほど言ったとおりで、科学派も同じ。
魔法派を…魔道士を毛嫌いしている―――
「じゃあお前死ねよ」
先ほどよりも低い声。怖い、怖い怖い。
「い、いやッ」
「やめろ、未来!」
「きゃっ」
不良の彼を止めながら右手で私を投げ飛ばす。その力があまりにも強く飛ばされた先にあった木に頭を強打してしまった。ああもうやだ。こうなるなら自殺しとけばよかった。
追伸 科学派の人は力がさぞかし強かったです。
はい、ふざけてますねっ
ホントすみません。。。