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chapterⅠ † 私は、なに?


 迷いながら歩いて二時間。

 意外にも時計塔は近かった。もっと遠くにあるとずっと思ってた。

 黒い黒い建物の中で、一つだけ真っ白な塔。高く、高く、どの建物よりも高い場所が最上階だった。科学はやはり魔法とは違う。何処にでもありそうな石で積み上げられた壁は、少しも隙間がない。多分地道な計算で出来てる。


「ちょっとお嬢さん」

「あっ私?」


 白い髪に、白い服の老婆。真っ黒いローブに深く身を包んだ私とは、見事に対照的な人。そんな人が私に用なんて、だから老人は嫌い。


「アルバード博士と会いに来たのかい?」

「い、いえ……」


 アルバードはここに居ることになってるんだ。時計塔なんていう息苦しい場所に10年も長い間閉じ込められているんだ。


「博士はコールドスリープ中だよ。立ち入り禁止さ」

「コールドスリープ?」

「眠ってるんだよ。博士は悪くないのに、処罰は100年の眠りなのさ」


 100年間眠ることが出来るのか。あっでも目覚めた時老いぼれになってすぐに死ぬか。そうじゃなくても多分あの人なら、変わり果てた世界を見てショック死するか。

 変ることを恐れていた人間だから、それはきっと耐えられない。


「私には、関係ないから」

「………」


 不機嫌そうな目で私を見て、息を深く吸い込んだ。そしてあろうことか大声でこう叫んだ。


「魔女だぁぁああ!!」

「!?」


 歩いていた人々が一瞬にして私を見る。老婆に顔を見られた。これじゃあもう科学派に入れない。野次馬に知られてはいけない。こいつのせいで無駄に注目をあびた。

 すぐさまナイフで老婆の首を飛ばす。ぐちゃりと嫌な感触がナイフと伝って感じる。目が見開いたままの頭はゴトッと、地面に落ち、胴体もそれについていくように倒れた。

 甲高く響いた悲鳴と、赤く染まって体を最後まで見ないで、返り血のついたローブを、更に深く被って塔の階段を駆け上る。逃げ道がもうこれしかなかった。


「捕まえろ! 密入国だ!」

「牢獄にぶちこめ!」


 その牢屋は私が管理しているんですけど。

 後ろを見ずにひたすら階段をのぼる。前から来た正義感振りかざした住民を銃で撃ちながら、魔法で速度を上げていく。もう魔女ってバレたから使っても支障は無い。

 荒い息を整えながら、見えなくなった領民を確認して、ローブだけを燃やす。こうすれば見つからない。後は展望台にきている人たちに混じって、歩く。


「どこに行った!」

「黒いローブのやつだ! 遠くには行ってない!」


 背中でその会話を聞きながらくすりと笑う。今の服は白。黒なんて少しも使ってない。もうバレない。顔についた血をさり気無くふき取る。そして12時の文字の近くの柵で出来た展望台に上がっていく。

 下を見下ろせば赤い花が咲いていて、周りには色とりどりの小さな花が咲いている。ああ、またやっちゃったな。

 今だ聞こえる叫び声と、更に広がっていく赤い花。だんだん人も集まってきて、大事になり始めてる。まぁ魔女を見た人だからね。


「おや? ここに魔道士がいるではないか」


 真後ろで、小さなでもはっきりと聞こえる声で言った。確かに私に向かって。盲点をついたはずなのに、こんなに早くばれた。焦りを隠して、声の主に向き合う。


「っ―――なん、で」


 動物の耳。長い尻尾。トラ型のアニマル派。もう会うことの無いはずの昔の知人。浮かべていた作り笑いがすっと引く。


「シリ、ウス…………」

「久しいな、ミラ」


 6年前と同じ姿で、はじめて会ったときと同じ笑みを浮かべて言う。よかったことに周りには誰一人居なくて、私が魔道士ってことも聞かれていない。まさに不幸中の幸い?


「下は騒ぎになっている。魔女がこの塔の管理人を殺したからな」

「あの人、管理人だったんだ。知らなかったよ」


 知ろうともしてないけど。随分暇な人間だこと。いっそ死ねばいいのに。あ、もう死んだか。恐怖を隠すためにどうでもいいことを考える。会いたくなかったのに。


命令だ(・・・)。この薬を飲め」


 持ち出したのは真紅のような赤い液体が入った、小さな小瓶。手の平に簡単収まるくらいの小ささ。そのくらいの量であっても私には飲めない。


「断る。知ってて言ってるんでしょ」

「知ってて飲ませる気だったんだ」


 小瓶を開けて、薬を口に流し込む。落ちた蓋が無残に割れるのを聞きながら、とっさに逃げていた。正しくは、逃げようとしていた。

 だってここは、逃げ道が一つしかなくて、シリウスの隣を通らないといけないから。捕まるなんて、当たり前すぎたのかもしれない。


「離してッ!」


 さすがトラ。力だけは異常に強い。爪が食い込んで、少し血が出る。

 そしてそのまま自分のほうに向かせて、唇を合わせる。流れ込んできた液体の味が口にすぐ広がる。思わずそれを飲み込んでしまった。飲んだら、いけないのに。

 唇が離れたと同時に目眩が押し寄せる。ガシャンと柵に寄りかかって、大きくむせた。


「おっとここまで反応が出るのか。想定外だったな」

「っむかつく………ッ!」

「それはそれは嬉しい。また、会おう」


 浮遊感を感じた。伸ばした手は空を掴んでいて、何も手にはしていなかった。

 突き落とされた、そう理解できたのは、落とされて少ししたとき。このまま落ちて死ぬ? それとも骨折だけですむ? ああもうどっちでもいいや。


 だって私は、いらない子だもの。



ぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐだぐ………


とてつもなくぐだぐだぐだぐだぐだ……


あっそーいや前らへん編集しました。

なんかもう見ただけで消したくなるね、うん。


いつもはホント消去ボタンを押しそうになるので、全く持ってみません。(←ここ重要)


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