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卵焼き

作者: キシロ
掲載日:2026/03/23

ベタで、色々な他作品をリスペクトして真似ている部分も多いですがぜひ読んでみてください。

『かずとくんちのたまごやきは、あまかった!』

『優希は甘い方が好きか?』

『ううん、ぼくはパパがつくるしょっぱいたまごやきがせかいでいちばんすき!』

ピピピピ

アラームの音で目を覚ます。夢を見ていた、いつかも覚えていない昔のことを。着替えてリビングに降りていくといつもどうりテーブルに弁当と朝ごはんが用意されていた。ちゃっちゃと食べて母さんのいる仏壇に手をあててすぐに家を出た。

父は夜7時過ぎに帰ってきて夕飯を作ったり他の家事をしている。だが最近は帰ってくるのが遅く夕飯を一緒に食べていない。それどころかろくに会話すらできていない。

『ねえパパ、授業参観があってね僕、発表するんだ』

『ごめんね父さんその日は仕事があっていくことできないや、次は必ずいくから』

『ねえ父さん、体育祭でね親子二人三脚てのがあるんだ父さん来てくれる?』

『ごめん父さん今仕事が忙しくてね、』

『なあ親父、来週大事な大会があるんだ、応援に、、うっ酒くさ』

『あー、来週はまるまる無理だ、休み取れるほど余裕な、』

『酒飲んでる時間はあるのにか、』

『....』

『ふざけんなよいつもいつも仕事仕事って俺と仕事どっちが大切なんだよ、お前は!』

そのまま返事を聞かずに自分の部屋に帰ってしまった、多分聞くのが怖かったんだと思う。仕事の方が大切と。

結局父は応援に来ることなかった。その日以降父と会話をした覚えはない。

大会からちょうど5ヶ月過ぎた日父は突然死んだ。仕事の疲労による死だそうだ。涙は出てこなかった。ある日父の部屋に日記があるそれは母さんが死んだ日からずっとあった。


・優希はずっと泣いていた、だからずっと俺はこの子を抱きしめて頭を撫でた。ずっとずっと。俺が泣くのは一人になってからでいい。

・料理を作り始めたまともに作れたのは卵焼きくらいだった。でもそれを優希はおいしいと言って食べてくれた。こんなに嬉しいことはない。

・俺の作る卵焼きは世界で一番らしい。とても嬉しかった。優希のために大切な俺たちの宝物のためにこれからも二人で頑張って生きていこうと思う。

・授業参観の発表は家族への感謝だったらしい。無理してでも行ってあげるべきだった。

・最近優希と話せていないがしっかり自分の作ったご飯を食べていてくれている。それだけで心の励みだった。

・優希の部屋のゴミ箱に私立大学のパンフレットがあった。いろいろマーカーなどもしてあり多分行きたいのだろう。だかうちのお金を心配して、

・ただがむしゃらに仕事をした。優希が小さい時は時間も金もなく我慢させていた。せめて大学くらい好きに行かせたい。

・喧嘩してしまった。家族と仕事どっちが大切か。そんなのもちろん家族、優希だ。

・大学に行けるだけのお金が貯まった。もう終わっていいのかなこれで。優希のために頑張れたかな。優希はしっかご飯食べれるかな。お風呂にはしっかり入るかな。毎日しっかり寝て、朝起きれるかな。彼女はできるかな。新しく家族はできるかな。幸せかな。......愛してる優希、ずっとずっと愛してる。


夜から読み始め、読み終えた時には日が昇っていた。

『父さん、朝ごはん作ったよ。俺の大好きな卵焼きを。』

父が最初に作ったような不格好でとても人には見せられないような朝ごはんだった。

『なんだこの卵焼き甘すぎ』

涙が溢れ出てあたり一面をびちょびちょにした。

もう一口食べた時少し父の卵焼きの味を感じた。

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