表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/80

初めての


 今言われたことを要約すると。浮気はしません。女性にだらしない人だと妾さんが居たりするからね。数は少ないけれど第二夫人とかをお迎えするご当主も居るし。クレイスくんがそんなタイプじゃないのは分かっていたけれど、やっぱり言葉にされると嬉しい。

 それから、もし二度目の転生、私にとっては三度目の人生があるのなら次も一緒に居てくれる、と。そんなことあるのか分からないしどうやって叶えるのかも想像できないけれど、そうなったらいいな、と思う。

 つまり、そのくらい私のことが好きだと。だから。


「ぎゅーってしてちゅーしたい、ってこと? ほっぺとかじゃなくて、その、本当の、キス……?」


「したい。いつもキスしたいのを我慢している」


 へー、キスのこと粘膜接触とか接吻とか言わないんだ。そんな表現されたらちょっと嫌だったから安心安心……、いや安心じゃない。


「……嫌ならば我慢しよう。無理とは言ったが……、ルルを傷つけてしまったり嫌われたりすることの方が辛い。こんなことを口走ってしまったが、嫌いにならないでほしい」


「えっ、ちょっと、死にそうな顔しないでっ」


 結婚まで唇へのキスをしないっていうのもクレイスくんが作った謎ルールだ。私は彼にそういう理念があるならばとそれに準じていただけで、好きな人とキスをするというのは、正直、その、吝かではなかったりする。そもそも、なぜそんなに切羽詰まるまで我慢していたのか。


「前世では交際中にキス、する人たちとか普通でしたし……こっちでだって別におかしなことではないでしょう」


「だからといって、ルルがそれを受け入れられるかは別だろう」


「駄目とも嫌とも言ってませんっ!」


 そりゃあ緊張はある。この綺麗なお顔が私のお顔に近付いて、唇と唇をくっつけるんでしょ? 平静で居ろと言う方が無理だ。


「嫌じゃないならする」


「え、ちょっ……」


 言葉を続ける間もなく、身体をすっぽりと包み込まれた。繋いでいた手を離されてしまったのがちょっぴり寂しいけれど、それ以上に身体全体からクレイスくんの存在を感じて温かい。


「……キスするの? 本当に? ファーストキスなんだけど」


「俺もだ。好きだ、ルル。……ルル」


 耳元で名前を連呼するな。擽ったい。ぞわぞわドキドキして思考に白くモヤが掛かり始めてしまう。……ぼんやりした意識の中でやり返しても良いんじゃないかと囁く声がした。

 クレイスくんの服の裾を掴んで、少し背伸びして。その耳元に唇を近付ける。


「わたし、だって、好きです、よっ……」


「お前は、だから……、恋愛に関しての情緒をもう少し育てた方が良い。こんなことをされたら、……いや、俺が我慢すれば良いだけなんだが……」


 先程から指しているのが恋愛に関しての情緒ならば、そんなものが育っているわけがない。だって初恋なんだから。仕方のないことなのに、なんでちょっと怒られてるの。反論しようとすると、頬を包まれて上を向かされた。揺れる紅い瞳が私を見つめている。


「……やっぱり、めちゃくちゃ格好良いですよねクレイスくんって。良いんですか、その綺麗なお顔が初めてちゅーするのが私で」


「ルル以上に可愛い子なんて居ないだろう。ルル、好きだ」


「好きだbotやめてください。恥ずかしい」


「知らないが、好きだ」


 この人の話を聞かない感じ。いつものクレイスくんなのに。普段の私たちからしたら信じられない程の真面目な空気が流れて、段々と顔と顔との距離が無くなってくる。ああ、やっぱり格好良いな。ずっと見ていたいけど、えっと……目を瞑るのが暗黙の了解なんだよね?

 目を瞑って数秒、暗転した世界の中で唇に柔らかい感触が触れ、すぐにそれは離れていった。

 薄目を開けると、至近距離で視線がかち合う。


「可愛い……。もう一度、いや。何度でもしたい。ルルが許してくれる限り」


「爆発四散します」


 今でも結構限界なのだ。何回もされたらその刺激で肉片になって息絶えてしまうかもしれない。……でも、微笑むクレイスくんを見るとこうも思うのだ。


「もっと笑ってくれますか? もっと嬉しいって思ってくれる? 私とのキスをそんな風に思ってくれるなら、嬉しいし……今、してもらって私は幸せでした」


「嬉しいし、幸せに決まっているだろう。……今は理性と闘っている最中だから、ルルはもうあまり口を開かないでくれ」


 穏やかな口調で『黙れ』と言われてしまった。鼻と鼻が擦れ合うような位置のままだけれど、もう一度、はしなくて良いのかな。我慢をしてくれているのかな。恥ずかしいし爆ぜてしまいそうだけれど、そのお顔が嬉しそうに笑ってくれるのなら。

 もう一度する? と聞きたいけれど、口を開くなと言われた。だけど、解決方法はある。

 目を固く閉じてから顔の位置を動かすと、唇に先程と同じ感触が訪れた。どうやらきちんと狙いは定められたらしい。


「……っ、ルル!」


 あれ、なんだか怒っている?


「だ、駄目でしたか? あっ、黙ってなきゃいけなかった? 難しいなもうクレイスくんは!」


「……っ、違う。大声を上げたのはすまない。驚いたんだ。……いや、でもルルも悪い。男には理性と本能というものがあって、あまり積極的にされると、」


「私が可愛すぎて襲っちゃいたくなるってこと?」


「…………そうだ」


 あら素直。この素直さもクレイスくんの良いところだよね。うん。

 ……いや、でも流石にこの状況でこれ以上は宜しくないかな。以前この場所に足を運んだ時にあんなにお説教したんだから。


「可愛く生まれてきた私が悪いですね。ごめんなさい。クレイスくんの理性が優勢なときにまたいちゃいちゃしましょう」


「……鍛えておく」


 理性ってそんなHPとか攻撃値みたいに鍛えて強くなるものなんだろうか。クレイスくんがそう言うなら強化も出来るものなのかもしれない。



 読んでくださってありがとうございます!


 昨日は更新が間に合わず。



 ちなみにこの人たちは襲うとかそういう単語を使ってもいっぱいキスすることくらいに考えてます。知識がないわけではないけれど、それ以上はまだまだ遠い話だと。


 あと少しですが、これからも宜しくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ