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口論の内容


 久々にユリーシア様のお説教をくらってしまった。パパーズと突拍子もない約束をしてきた私はもちろん、黙っていたクレイスくんも怒られた。

 シュシュちゃんが自分も知っていたのだから同罪だと言ってくれたけれど、私が勝手にしたことだから彼女は関係ないと必死で伝えたら理解を示してもらえた。私を心配してくれてこそだから仕方ないけれど、いつになくこっぴどく叱られたのでシュシュちゃんが無事で幸いである。


「私がお料理したいって言ったのがきっかけなのに……」


「そんなことないよ。私が持ち出した話だから。文化交流会、お茶会みたいなお料理は出せなくなっちゃうけどライブ中に片手で摘めるようなお菓子をお願いね」


 帰りの馬車に揺られながら、シュシュちゃんは浮かない顔だ。自分だけお説教を逃れてしまったという罪悪感からだろう。


「うん、怒られなかったかわり……じゃないけど。すっごい頑張る。芋けんぴと……、何にしようかな。なにかリクエストある?」


 なんで芋けんぴなんだろう。確かに紙とかに包めば食べ易いかもしれないが。


「和食ではないんだけど、たまにジャンキーなもの食べたくなるよね」


「あ、分かるかも。ハンバーガーとかコーラとかね、恋しくなっちゃうよねー」


 推しと会えなくなった以外に大した未練もないのだが、食文化についてはちょっぴり不満である。なにせ飽食の時代を生きた日本人だ。舌は肥えてしまっている。


「まあ、その辺もいつかはシュシュちゃんが解決してくれるでしょ?」


「任せて。……って言いたいけど、できる範囲でね」


 ここで全部オイラに任せろ! とか言わず自分に出来る範囲を示すところがシュシュちゃんの可愛いところだ。

 それにしても、楽しい。ユリーシア様やクレイスくんと過ごすのも好きなのだが、やはり転生者同士にしかわからない感覚というものがある。


 お喋りも盛り上がってきたところで、あと数分もすればウィゼル男爵家だという場所まで差し掛かったのだが──、窓の隙間から、見覚えのある赤毛の女性が見えた。隣には、やはりナントカ伯爵小僧の姿。昨日ともまた違う、おかしな雰囲気だ。何かを言い争っているような。

 シュシュちゃんも彼らに気づいたようで、『どうする?』という視線がこちらに送られてきている。いや、でも他人の事情に首を突っ込みすぎるのもな……と、通り過ぎようとしたのだが、小僧が腕を振りかぶったのだ。すんでのところで思い直したのか、その腕を引っ込めたのだが──、下手をしたら、リリィさんは殴られていたんじゃないのか。


「ごめんなさい、止めていただけますか!?」


 二人が居た場所からは少し離れてしまっていたけれど、御者さんにお願いして降ろしてもらった。

 淑女たるもの走ったりしてはいけないのだけれど、そこはまあ元日本人二人だ。人前で全力疾走すること自体に抵抗はない。


「だから! お前のような下賤な……おまけに醜いものと交際などするわけがないだろう!」


 駆けつけた先で耳にしたのは、あまりにも汚い言葉だった。下賤な、というのはリリィさんが平民だからだろうか。女子に向かって醜いなんて言葉を投げつけるのも酷い。シュシュちゃんみたいな美少女と比べれば華やかさでは劣るかもしれないけれど、素朴な愛嬌を持っているのに。選民思想ガチガチだ。やっぱり小僧とは仲良くなれそうにない。


「で、でもっ、フォンス様。私に与えられた仕事を放り出してしまえば、悪女たちの計画は進められないだろうと。貴方に協力するわたしは身も心も美しいと……、愛してくださると約束したではないですか!」


 リリィさんが語る内容もなかなかである。悪女たち、って私とユリーシア様のこと? 初対面ではあんなに彼女の素晴らしさを語っていた上、私に対しても特に悪感情を持っているようには見えなかった。だというのに、何故。


「おまけに頭も悪いのか! 俺が懇意にしている令嬢を貶めるあの悪女どもの話を聞き、協力すると言ったのは貴様だ。その心意気を多少は評価したが、それを俺に愛されているなどと勘違いするとは!」


 ああ、なるほどね。なんとなく話が見えてきた。なぜ二人の面識があるかまでは分からないが、小僧がリリィさんに何か吹き込んだ。それを真に受けた彼女が私達に協力など出来ないと仕事を投げ出したと。

 どんな事情があろうとお仕事を投げ出したリリィさんも褒められたものではない。

 けれど小僧は……、あんな態度を取っておいて勘違いしたほうが悪いとか、頭が悪いだとか醜いだとかは酷すぎる。うざいやつ、とは思っても他人だしユリーシア様に言い掛かりさえつけないならばどうでも良いと思っていた部分もあったけれど……、正直、大嫌いだ。

 とはいえシュシュちゃんのお友達だ。一緒に出ていくわけにはいかない。私が止めてくるから待っていて、と声をかけようとしたら、隣で怒りに震えていた。


「……っ、許せない」


 そう言って、私を置いていくかの勢いで進んでいってしまったので慌てて追いかけたのだった。

 


 読んでくださってありがとうございます!


 たくさん書いて楽しみながら上達したい! と思っているので、隔日投稿とは言ってもなるべくなら毎日投稿を……と志していたのですが、昨日は貧血が酷すぎてこの作品の執筆を開始してから初めて一文字も書かない一日を過ごしてしまいました。


 寝たら元気になりましたので、改めてたくさん書きたいです!


 これからも宜しくお願いいたします。

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