アイドルになりましょう
あれから私達の目的を説明したのだが、ユリーシア様はきょとんとしながらも最後まで話を聞いてくれた。
「……シュシュさんに夢中になっている皆様がわたくしに冷たく当たるのをやめさせるために、アイドルになってこちらに振り向かせる……ということ?」
「そうです。簡単にいえば推し変させてやろうということですね」
「おしへん……??」
ユリーシア様カラーの缶バつけまくった痛バで登校するくらいにしてやりたい。まずは缶バッヂ作るところからだが。
「わたくし皆様のあの態度は改めてほしいと思っていても洗脳したいとは考えていなくってよ?」
「洗脳じゃない。あのちっこい変な女よりユリーシアの方が魅力的だってところを見せるだけだ」
おやおやまあまあ。クレイスくんってば立派なシスコンである。けれど推しがいるということは良いことだ。彼には彼の役割があるのだから後で立派に育てなければ。
「ちっこい変な女……、クレイス、貴方はここ最近もシュシュさんたちと一緒に居たと思うのだけれど彼女を特別に想っているのではないの?」
「冗談は止めてくれ。急に友人達が変わったから様子を見ていただけだ。ユリーシアやルルシアの方が女子としての魅力もある」
なるほど偵察。だから今日あの無礼な集団の中から現れたのか。大体の観察は終わったからもうあのグループと一緒に行動はしないってことなのかな。これからはユリーシア様のアイドルレッスンに付き合う気なのだろうし。
「貴方ね……簡単に身内以外の女子を褒めると勘違いされ……って、あら?少しも照れてないわね」
「だって私が魅力的なのは事実ですもの!」
「ルルシアは問題ないから言った」
クレイスくん。この短時間で私という人物をよく理解してくれたものである。褒められるのはもちろん嬉しいがイコール私に気があるなんて早とちりはしない。私が可愛くて魅力的なのはただの事実なんだから。
「あなたたちが急に仲良くなった理由が分かるというものね。……で、アイドルというものになれば良いの? あの独特な歌やダンスを出来るかはよくわからないけれど、最近の学校生活には辟易していたの。学業に支障がない範囲ならお父様も何も言わないでしょうし、良い気晴らしになりそうだからやってみるわ」
やった。流石公爵令嬢ユリーシア様、話が早い。うだうだ悩む時間が勿体ないということをわかって即決してくれたのだろう。
「ではでは、スケジュールを調整しましょう。まずはお披露目……デビュー日です。ユリーシア様にはあの日の私と同じ曲を覚えて舞台に立っていただきます。舞台装置は当時のものが我が家に残っていますから我が家でパーティーを開催するのが良いですわね」
いくら公爵様がご令嬢の趣味に寛容とはいえ、さすがにアイドルライブなんてまだ誰も理解しえないものを開催は出来ないだろう。その点我が家なら両親の許可を取れた前例があるので問題ないはずだ。
通称物の怪パーティーと呼ばれているのを知っているからか、ユリーシア様のお顔が少し曇る。
あの時は失敗してしまったけれど、今度は大丈夫。
「あの日の私よりもっともっと可愛くて世界一魅力的な女の子にして差し上げますわ!!」
だから信じて。
だって、私の本分は自分がアイドルになることじゃない。
素敵な女の子をもっともっと輝かせて、誰もが目を離せないアイドルに育てることだもの!!!




