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パパとご対面


 そろそろ集まってのレッスンも再開しよう、ということで私達はエール公爵邸に集まっていた。他人の事情をべらべらと話すのは憚られたけれど、失踪の件もあったので沼地でリリィさんと小僧を見かけたことを二人にも報告した。

 時間が経ってユリーシア様もシュシュちゃんも大分安定してきたようで、驚きはしていたがこの話を聞いてもそんなに悪い影響は及ぼしていないようだった。

 そして、そろそろお暇しようとなった玄関ホールで。

 私とシュシュちゃんは、とんでもない美丈夫と対峙していた。金髪紅眼、クレイスくんより更に背が高い。鍛えているのか骨格も逞しい。

 以前にも一度お会いしたことがあるが、その存在感は相変わらずだ。自然と背筋も伸びてしまう。

 シュシュちゃんはあまりの大物登場に、緊張で固まってしまっている。

 が、私が一番驚いたことといえば──、眼前の人物に、クレイスくんが向けた言葉である。


「…………パパ」


 うん。そうだよね、パパだよね。知ってた。でもクレイスくんがお父様をパパって呼ぶタイプには思えなくて度肝を抜かれたんだけれど、何故かその単語を発した本人が苦虫を二百匹くらい噛み潰して呑み込んだかのような顔をしている。

 ものすごく気になるけれど、でも、まずは挨拶しなければ。上位の方を前に無言で棒立ちなんてとんでもなく無礼だ。


「ご無沙汰しております、エール公爵様。公子様と公女様にはいつも良くしていただいておりますわ」


 頭を下げながら、シュシュちゃんに視線を送る。続いてくれれば良いから、というアイコンタクトだ。


「おは、お初にお目にかかります。シュシュ・ウィゼルですっ。グラシュー侯爵令嬢同様、お二人には仲良くしてもらってます!」


 辿々しい挨拶だけれど、エール公爵様は寛容なお方だ。咎められることはないだろう。


「ああ、こんにちは。可愛らしいお嬢さんたち、そんなに緊張しなくて良いから頭を上げてくれ。ウィゼル嬢は初めましてだね。ユリーシアとクレイスのパパだよ」


「…………クソジジイ」


 クレイスくんがぽつりと呟く。そういえば前からジジイって呼んでたよね? なにその統一性の無さ。


「ふふっ……、あははっ! おかえりなさい。パパ──、いいえ。お父様」


 ユリーシア様が、笑いを堪えきれないというようにお腹を抱えて声をあげる。どうやらクレイスくんの奇妙な言動の理由を知っているらしい。

 いや、まあクレイスくんはいつも珍妙だけどね。


「クレイス。パパって呼ばなくて良いのかい? 私は構わないけれどね」


「……っ、パパ! こちらの、ルルシア・グラシュー令嬢が、お……僕が、十年想ってきた女性です。彼女以外と結ばれるとか、そんなことは考えられないから……ユリーシアのお下がりを押し付けるのはやめてください! ルルシアは、俺がもらう。気持ちも確かめ合った! 絶対に、ルルシアのことは他の男に譲れない。幼い頃からの約束だろう。最低でも一ヶ月間、パパと呼んで綺麗な言葉で喋れば人生で一度、どんな望みでも叶えてくれると!」


「……ふふっ。あはははは!!」


 普段のお姿から想像出来ないくらい大胆にユリーシア様が大声をあげて笑っている。


 私とシュシュちゃんはもはや何に驚いて良いのかすら分からず目をひん剥いて立ち尽くすしかなかった。


「グラシュー嬢がクレイスのことを嫌がってないなら良いけれど……、大丈夫かな。家格が上の者に迫られて断れなかったとか、そんなことはないかい?」


 公爵様が屈んで私に視線を合わせてくれる。

 視界の端に映るクレイスくんが心配そうにこちらを見つめてきているけれど、そんな私ではないことは承知のはずだ。

 とはいえ、皆の前で言うのはちょっと恥ずかしい。


「好き、です。クレイスくんのこと」


「うんうん。どこが好き?」


 えっ、続けるの?


「おい、ジ……パパ」


 制止に入ろうとしたクレイスくんの腕を、ユリーシア様が掴んで止めている。ちなみに、笑いを堪えるように震えたままだ。


「いつも助けてくれるし、優しいし……格好良いし、正直私には勿体ないです。……でも、一番は……私が昔失敗して嫌な思い出になってしまっていたことを大丈夫だって肯定してくれて、素敵な記憶に書き換えてくれました。クレイスくんに救われたんです。だから、えっと、私もクレイスくんと、お付き合いしたいですっ……!」


「そうか。ということは、あの変な部屋を見ても受け入れてもらえたのかな。良かったな、クレイス」


 やや自我を取り戻したシュシュちゃんが、小声で『変な部屋ってなに?』と聞いてくるので『なんか……私の祭壇みたいなやつ』と答えたのだが、微妙な表情を浮かべて再度黙ってしまった。


「ねえ、お父様。侯爵家なら家格も釣り合っているのだし、何よりこんなに想い合っているのよ。クレイスも約束を守るでしょうし……こんなに良い話はないんじゃなくって?」


 ユリーシア様とシュシュちゃんに直接報告はしていなかったのだけれど、私達二人の態度で察していたようである。恐らく、クレイスくんのエスコートを私がより素直に受け入れるようになったためだ。



 読んでくださってありがとうございます!


 恐らく昔二次創作BLを書いていた時にそういう書き方をしてしまっていたからなんですが、改行しすぎ癖が出ていたなと反省しております。ちょっとずつ直していきたいです。

 前までの分も時間がある時に手直ししたい所存。


 これからも宜しくお願いいたします!


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