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『朗読者と照合』

作者: 成城速記部

 仲の悪い朗読者と照合がいました。朗読者が読みミスをしますと、速記者が困りますから、照合は、読みミスがないか、細かい発音まで注意して聞いています。必然的に朗読者が読みミスではないと思っているところを読みミスとして指摘するので、朗読者は照合が嫌いなのです。照合のほうは、自分の仕事をしっかりやっているだけなのに、滑舌よく朗読する努力をするでもなく、毎回同じようなところでミスを出す朗読者を、好きにはなれませんでした。

 この二人が、渡し船のような小さな船に乗ることがありました。朗読者はへさきに、照合はとものほうに乗りました。いつものくせです。船を部屋に見立てて、前に朗読者、後ろに照合が陣取ったわけです。とものほうに乗った照合が、船頭に、こういう船が沈むときには、どっちから沈むものか尋ねますと、船頭は、大抵へさきのほうから沈むと答えましたので、照合は、朗読者が溺れ死ぬところを見てから溺れ死ぬなら、それでもいいと思いました。



教訓:照合は、なぜか照合者とは言わない。


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