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矛盾しかない僕の旅  作者: ジンエイ
第I章 憂鬱な悪夢
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第一話 死。そして絶望

 部屋の隅にいる...生きてるか死んでるかもわからない生物がそこにポツン...と座っていた。

 その生物は、僕。東郷千尋だ。

 僕は、何かしら部屋から出られないような心の闇を抱えてしまった...。こうなってもう、半年だったか...それくらいは経つ。

 自分は中学2年生なのだが、不登校というのが現状だ。

 きっかけはきっと、あの時からなのだろう




 僕が中学一年生になって二学期に入り半分が経った。

 本当に中学一年生になってから半分になった時くらいから体調不良が3週間に一回、同じような腹痛が起きるようになっていた。

 最初はそれだけで良かったんだ。ある時、親友の1人がこう言ったのだ

「お前、そういえば、テストのある週はずっと休むよな」

 そう、実は気づいていなかったのだが、自分の学校は3週間に一回、中間、検定、期末と言った大きいテストがあるのだが、体調不良とテストの週が被っていたのだ。そう、本当に偶然だった。

 けれど「そうだね」などで収まるはずもなく、サボりと言われるようになってしまっていた。

 もちろん、偶然だったのだが、否定をしたところで信じてもらえるはずもなく、その日から自分には『仮病を使いテストをサボるサボり魔』というレッテルが貼られた。

 

 その日からだった。


 次第に体調不良が続く日がだんだんと短いペースで起き始めて、腹痛以外に頭痛、吐き気などが加わり...、学校へ行くのが不本意ながらも“憂鬱”になっていく。

 友達が全員が全員そう思っているはずもないが、一度生まれた憂鬱からは逃げられず、そう思っているのではないかという妄想までが始まっていき、周りの視線が自分へ当たっているのではないかと言う疑心暗鬼と、自分の学校の行きづらさがましていき...、ついには...、


 

       学校へ行くのをやめた。




 最初のうちは親と話していたのだが、親もサボっているのではないか...と考えていくようにもなり、部屋から出るのをやめ、今に至る。

 ダサいと思うだろ?かっこ悪いと思うだろ?

 全部、全部全部、全部全部全部僕が悪いのだ。

 あの時、もっと親を信じていれば。あの時、友人や周りの目線などを決めつけていなければ。自分があの時こうしていれば...。

 その後悔の念が毎日毎日自分の頭の中で渦巻いている。

 その、毎日が憂鬱で、つまらない日々をここ半年ずっとしている...。

 起きて、食べて、寝て。起きて、食べて、寝て。起きて、食べて、寝て。それの繰り返しだ。

 こんな毎日から抜け出したかった。

 こんな嫌な自分から抜け出したかった。

 けれど、人生は残酷で時間が進むにつれ、その堀はどんどん深くなっていくだけ。

 そうして次第に、無理だと言う考えに至っていく。

 いや...一つあった。

 それは...自殺。これなら、こんな毎日から抜け出せるし、もう、こんな後悔の念なんて感じなくてもいい。

 死は救済なんて、言うつもりはないが、今の自分のはまさしくそう感じられた。

 その手があったか...、と考えていた自分は、数ヶ月ぶりに笑みが出た。けれど、その笑みは前とは違う。心から出た思わずの笑みではなく、面白いからの笑みでもない。とても...乾いた笑みだった。

 きっともう...あの時のような笑い方は...もうできない。

 自分に今残っている感情は、後悔と憂鬱と虚しさだけだった。

 昔の僕がみたら...呆れるだろうな。

 いや、きっともう、誰から見ても呆られることだろう。もうこの世に僕を必要としてくれる存在は、もういない。 

 誰も興味を持たなければ、期待も向けない。

 何からも必要とされない僕と言う存在はもう、いない方がいいのだろう。

 そうして...僕は立ち上がる。

 実に...数ヶ月ぶりの立ち上がり。

 今の僕はとても細く、ほぼ骨だけで筋肉があるのかさえもわからない。体には少し埃がついている。

 前はもっと運動をしていたのに、もうそんな見る影もないな...。

 おっと、そんなことを気にしてる暇はない。長くて細い、そしてなるべく頑丈そうな紐が欲しい...。

 あ、ちょうどいいところに...。

 これで僕はようやく解放される...!

 そうして...部屋の天井に紐をぐるぐる巻きにガムテープをつけたり、セロテープをつけて...。

 

「さようなら。僕の大好きだった世界」


 そしてこの日、僕は死んだ...。






 ____________暗い。

 周りには光の一つも、色も、何もない。

 永遠に暗闇が続いてる。

 どこまでも、どこまでも...。暗い暗い...世界が...。

 不意に...何か一筋の光が見え始める。その光はだんだん大きくなっていき、気付いたらそこは、知らない場所。

 その場所は全てが真っ白な教会のような神聖さを感じる場所。なぜ、こんな場所にも来たかも理解できず、困惑状態だった。


『こんにちは。初めましてですね』


 困惑している僕の元に一つの声がした。

 それと同時に目の前に金髪で髪が長く、とても美しい女性が目の前に現れた。

「うぉわっ...!?」

 そんな声を上げてしまう自分。その声を上げると同時に自分はいつの間にか体があることに気づく。

 こんなわけもわからないことが連続で起こると頭が痛くなりそうな錯覚さえ起きそうである。

 そんな自分を置いて行き、話を続けようとする存在が目の前にはいる

『急に驚かせてすいません。私の起源神・トレィル。それが私の名前です』

 起源神...。

 この世界の始まりを作ったとでも言うから。

 そんな疑問が自分の頭を渦を巻くように、ぐるぐるなっている。けど、そんな状態なのに一番最初に聞くための質問は自然と決まっていた。

「...僕はどうなったんですか?」

 自分は多分...記憶あっているのならば...

『首を吊って死んでいますね』

 記憶が失っているわけではない。 

 安心していいのかわからないが、死んだと言うことに少しだけ安心してしまった。けれど、その安心していたのも束の間...


『なので、あなたには転生してもらいます。あ、幸せにならないと()()()()()()をつけてね』


 その言葉を聞いた瞬間。考えることを放棄するほど衝撃的だった。

 今の自分には精神をやって死んだと言う経歴をさっき作ったばっかである。

 そんな経歴の人間に幸せになれ、と言われているのだ。無理、不可能、理不尽、そう言う言葉がどんどん頭の中へと入ってくる。

 そんな自分をよそに神様は話を続ける。

『あなたは何がなんでも幸せになってもらいましょう。そのためにその呪いをつけ、しかも異世界というあなたのような年代の人の誰かが憧れているようなおまけ付きです。どうですか?素晴らしいでしょ?』

 神様のその言葉を聞いて頭を抱え込んでしまう。

 死にたいと言う気持ちがまた心の中でどんどん溢れていく。

 せっかく死んで楽になったと思ったのにこの仕打ちは最悪だ。

 今度は打って変わって絶望という文字が頭の中にいる。先程までは救世主と思っていたのに、今では目の前の神様が悪魔に見えてくる。

『言ってませんでしたね。次の世界は能力と機械が混合する世界なので、楽しんで』

「何が楽しめるんだよ」

 その言葉を吐いた瞬間、周りの色と光がだんだんとなくなって行き、また暗くなっていく。

 最後に見えたのは...先ほどの優しそうな顔とは違って不敵な笑みを浮かべる神様の顔だった。



 今度は、急にだった。

 前いた世界とは全く違うには明らかにわかる。いや、わかってしまう。なぜか...それは単純に、前いた世界とは見た目が違ったから。

 今度のこれからの僕のあるけどない居場所はここだと。

 その瞬間、膝から崩れ落ちる。

 もう一回死ぬかなどを考えてしまう。けれども、さっき言ってた話が正しいならば...僕は死ねない。

 死にたいのに死ねない。居場所はあるのにない。

 そうか...ここの世界にはあるのにないという矛盾が発生している。

 僕はこれからどうしたらいいのだろう?

 この...何も知らない、頼れる相手もいない、絶望しかない状態でどう生きていけばいいのだろう。

 なあ...。わかる奴がいるなら教えてくれよ...。


 

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