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0話 フラれ耐性の始まり


「失せな! このスケベ野郎!!」

「わざとじゃなくて、偶然が偶然を呼んだだけのアクシデントで~」

「言い訳野郎!! 離れろ、ボケ!」

「話し合いを持ちたいなぁと」

「てめぇみたいな野郎なんか、絶対に好きになるわけない!!」

「――あぃたぁっ!?」


 名も知らぬ女子からの一撃が見事に命中。一瞬くらくらするような衝撃が、オレの脳みそを揺らした。

 黒髪ロングでいかにも清楚なお嬢様に見える子なのに、口は悪いは手は早すぎるわ。


 告白もしてないのに、ものの数秒でフラれてしまった。

 教室を出て行く時に彼女がつまずきそうになったから、助けてあげただけなのに。


 何故こうなった……。 


 ◇◇


 高校生活がスタートして数日。

 いよいよクラスが決まって教室に着いてしまったオレ、八潮(やしお)しゅん。


 教室に入って、カバンから荷物を取り出す。

 こういう時、初めが肝心だと中学のダチから教わって来た。そしてまさに今! 自分から「おはよう」と言えば「おはよう」と返してくれることを期待して、いざ!


 元女子高、そして共学成りたてな高校でアウェー感半端無いけど、ここは自分から行くべきだ。何も言わずに黙っていると挨拶を返してくれるなんて、そんなのは男でも女でもいるわけがない。


 残念なことにオレはパッとしない男だ。

 それは認めている。それでも中学の頃に培ったいい人体質を貫けば、きっといいことが起きるに決まっているのだ。


 さぁ、いざ勇気を振り絞って――。


 しかし……圧倒的多数な女子が固まって楽しそうに話している空気。こんなのに耐えられるほどの耐性はまだ備わっていない。


 思わず心の中で、「あぁ、早く授業が始まって欲しい」などと願ってしまったじゃないか。

 そんな願いも空しく、希少な男子として自己紹介が終わっていた。


『――というわけで、皆さん。アプリのダウンロードを済ませるように!』


 はっ? アプリだって? 何のアプリなのか全然聞こえて来なかったぞ。

 しかし悲しいことに、女性担任に声すらかけられないぼっち男子。


 何のアプリか分からないまま、オリエンテーションの時間がやって来た。

 オリエンは体育館でやるらしく、ぞろぞろと教室から出て行く。


 いやいや、置いてかないで。

 女子たちの素早さに負けじと、オレは急いで教室から出ようとした。


 その時だった。

 長身な女子が、何かに引っかかってつまずきそうになっている。


 これはお近づきになるチャンス……ではなくて、助けるチャンス。

 オレは勢い任せに、長身女子の側面に待ち伏せて受け止める姿勢を取った。


 それなのに、


『――きゃぅっ!?』


 おや、可愛い声が。そう思っていたら、次の瞬間には蹴り飛ばされていた。


「んはっ!? な、何事が……」

「てめぇ、ふざけんなよ! このスケベ野郎が!!」


 何故、こうなった……。



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