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〈閑話〉 母は気づく

また閑話になってしまった……。1話挟んですぐ閑話って……。とりあえずこの後は、鑑定する時までは閑話ない……はず。あったとしても時間は進むようには努力します。

しばらくして、閉じていた瞳をゆっくりと開ける。顔をあげて娘2人が寝ていることを確認して、ベッドから降りる。


「フロメリ様、一緒に眠られないのですか?」

「えぇ、ちょっと考え事があって」


そのまま眠りにつくつもりだったが、フローラの欲しいモノが無かった事が未だに頭から離れなくて、つくにつけなかった。


あの子が生まれた時、それは奇跡だと本当に思っている。


あの子の心臓が動いたと分かった時、安堵と疲れで直ぐに気を失った。そして、目を覚ましたら、私のベッドの横に娘2人が柵の付いたベッドでスヤスヤと眠っていた。


メリーもフローラもまるで何も無かったかのように元気そうで、見ているだけで涙が出てきた。


2人を抱き寄せて、この小さな2つの人生を守っていこうと、胸に秘めた。


そして、2人を育ててる中でフローラに変わった事があった。


まず、生後2ヶ月辺から、泣く回数が急に減り、泣くのはお腹が空いたとき、オムツを変えるとき、旦那がヒゲでジョリジョリしてきた時だけになった。


いや、旦那のは忘れよう。必要な時しか泣かなくなった時は何かの病気なのか、また心臓が止まるのではないかと不安になった。


けど、そんな事は杞憂であるかのように、すくすくと育っていくフローラ。


そのことを、ただあまり手の掛からない娘程度しか旦那は思っていたが、息子を育てた私とクラリナから見たら少し異常であった。


それに、これまでメリーは、年相応の反応や要求などしていたが、フローラは行動や会話が、大人と錯覚する程のなのだ。


中に悪魔か何かが入り込んでいるのではないか。そう思っている時期もあったが、悪意も感じないし、フローラが寝ている時にこっそり、光魔法には劣るが回復魔法による浄化を試したが無反応だった。


その結果に安堵しながら、賢くて早熟な子と私の中で結論付けた。浄化魔法を掛けたことはクラリナにも話してあり、彼女も私と同じ結論らしい。


だが、そうは言っても持論だが子どもは親に甘える義務があると私は思っている。


今年こそは、欲しいモノを聞いて買って上げるのだ!


「ねぇ、メリアナ、メリアル。フローラの欲しいモノは本当にわからないの? ほら、何かやりたいこと口ずさんだりしなかった?」

「いえ、フローラお嬢様に、そういうことを今までに何回か聞いてきましたが、本を読みたい、妹と遊びたいぐらいです」

「2つ目のはいつものことね。にしても本を読みたい……てことは、あの子は本が好きってこと? それなら書庫で読んだ本の系統を教えて。それに沿ったモノを買おうと思うわ」

「フローラ様に常にメリー様が付いてくるのは奥様も知っておられますよね」

「えぇ、それは勿論。この屋敷にいる者でそれを知らない人が絶対にいないと言えるほどの事だからね」 

「それで、フローラ様は読みたい本の系統ですがわからないのです」

「え? どういうこと?メリーがいるから分からないってこと?けど最近はいつも通っているし、フローラが読んで欲しいとねだる本の1つや2つあるでしょう?」

「それが、フローラ様が持ってくる本がどれもメリー様の為の本ばかりだからです。初めて書庫に来たとき、フローラ様は何か本を手に取ろうとしてましたが、メリー様が『読む本は全部お姉様が決めて』と言うとその本を取るのをやめて、童話や伝説について書いた本を持ってきました。そして、ずっとメリー様が興味を示すような本ばかり持って来るようになりました」

「じゃあ、その最初に言ったフローラが取ろうとしてた本は?それに、持って来た本が全てメリーの為のモノとは限らないでしょう?」

「残念ながらフローラお嬢様が取ろうとしてた本は分かりません。それと、持って来た本は全て何かの物語ってことだけですね」

「ん〜………あ、なら今日読んでいた魔法の本は?あれはフローラが持ってきたモノじゃないの?」

「確かに、今日読んだ本はフローラ様が読みたい本であってます。もしかしたら魔法に興味があるのかもしれません」

「なら、起きた後に聞いておきましょう。それと、いつも2人のことありがとうね。」

「いえ、フローラ様達の為に読み聞かせをするのが最近の楽しみになる程ですので。それに感謝するべきなのは私達の方なので」

「最近ではメリーお嬢様が、沢山本を読んだおかげか、少しだけですけど文字を読めるようになりましたし」

「あら! そうなの? 今年の誕生日の後から文字を教えるつもりだったけど、メリーは賢いわ………ね………?」


そこでふと、私は何かを疑問に思った。


いや、何かに疑問を持ったというよりは、引っ掛かるっていうか違和感がある感じだ。


「奥様、どうなされましたか?」

「あ、いえ、なんでもないわ。ちょっとフローラに贈るプレゼントで魔法の本なら何がいいか考えてただけよ」

「そうでしたか。あ、もうすぐで朝食を取る時間ですので、これで失礼します」


そう言ってメリアナ達は部屋を静かに出ていった。


ふぅ、にしても私は何に違和感を感じてるのかしら?特に彼女達の言葉に嘘があるとは思えないし……。


引っ掛かったのはメリーが文字を少し読めるようになったという発言辺なのは確かだ。


メリーが文字を覚え始めたのが予定より早くなっただけで、それもたかが3日。そんな事で違和感を感じるはずがない。


なら、何に違和感を感じてる? そもそもメリーに対して?違う。会話の中でメリーに違和感を感じるモノはない。てことはフローラ? けどあの子に対しては少し子どもっぽさが無いぐらいだけど……。


フローラについての会話を思いだす。

(フローラが魔法に興味を持ったこと?)違う。

(フローラがメリーの為に物語の本ばかり読むこと?)違……う?

ここで少し疑問を感じた。


この内容に違和感が?いえ、それでもない。けど、その辺りの会話の中にきっと……。 


だけど、それらしいものが思い出せない。


フローラがメリーの為に本をメリアナ達に持っていく。ここに違和感があるのは確かなのに。


ん?フローラが本を持っていく(・・・・・)


別にフローラが本を持っていく事に何かあるの?あ、そういうことじゃない!そもそもフローラは何故本を持っていく?それは持っていく本を決めたから。


じゃあその本はどうやって決めた?本のタイトルを読めたから(・・・・・)……っ!


そうよ!フローラが本を読み始めたのは最近、それも文字を一切習ったこともないのに。あの子は文字が読めていた。


メリアナ達が読み聞かせしてるのは2人が文字を読めないから。だけどフローラは文字が読めたから、本を選んでメリーに物語を聞かせていた。


そうすると、フローラは文字を学んだ事があることになる。だが、そんな機会はメリアナ達が付いてる為、無いはずだ。


フローラが文字を読めるということは、少なくとも文字を一度は学ばなければならない。


そして、私は知っている。知ってるはずのない事を知っていて、年相応のことさえしないような子どもが何なのか。


悪魔憑き、そう言われている。実際に悪魔が取り憑いていて、子どもの内はボロを出さない限り気づくことができない。大人になると、殺人、詐欺等をバレない限り続けるようになる。


中には悪霊だったという事例もあるため最近は悪憑きと称されている。


だが、一番問題なのは取り憑いた時間が長ければ長い程悪魔は魂に癒着する。そして、浄化するときに魂をも浄化で削られる。


大抵の悪魔は、子どもに憑いて大人になるまで待つということをせず、大人の心の隙をついて入り込み直ぐに犯罪に走ろうとする。


その為、浄化する際は取り憑いている期間が短い事が多く特に問題は無い。


しかし、子どもは別だ。子どもの場合は心だけでなく意識も何もかもを乗っとる事ができる。そして、変化が起きるのは性格が変わるくらいで、大人になるまでは子どもの演技をする。


なのでその場合浄化したら魂はほぼ削れて無くなり死に至る。


けど、取り憑いているとしても、浄化魔法は特に効果を示さなかった。


悪魔や悪霊などの類いでは無いにしても、フローラの中に何かがいるのだ。私の知らない何かが。


私は眠る娘の顔を見る。


気持ち良さそうに眠るフローラ。でつい、頭を撫でようとしてしまう程可愛い寝顔をしている。


その顔を見て、数分前の私なら撫でたのだろうが、今は違う。


今目の前にいるのはフローラではあるが、中にいるのはフローラではない。


何かが起きてからでは遅いと思い、部屋の外の廊下で偶然掃除をしていたメイドに、フローラ達を見ているように頼み、私は旦那にこのことを伝える為に、急いだ。


まだ、領地へは行ってないはずだ。多分クリアの部屋にいるだろう。


私はクリアの部屋に進むにつれ心音が大きくなるのを確かに感じながら…。

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