〈閑話〉朝食の後の会話
とりあえず私が閑話を挟む時は一種の時間稼ぎでもあったりしますね。失踪だけはしたくないので稀にというより頻繁にこういうの起きると思いますが、ご了承下さい。
あっ、それでもストーリーには関係性を持たせるような努力は勿論いたしますよ?
私の名前はフロメリ、アビルノ家の第一婦人で、今目の前ではちょうど、朝食を食べ終えた私の娘達が食堂から出ていく所を見送っている。
その姿を見ていて、ふと思い出した。
「あっ、あの子達の誕生日プレゼント何が欲しいか聞いていなかったわ」
「誕生日まで後3日もあるのよ。お昼頃に聞けばまだ間に合うわよ。それと、今年はソフィーちゃんが来るからその子の分も用意しないといけないわね」
「でも、そこはあのバカップルから贈られて来ると思うわよ」
「その件についてだが、3人に贈る物は決まっていてな。《状態異常耐性》のついた指輪を贈るつもりなんだ。」
「そうなのね。けどそれってある意味護身用でしょう? あの3人の欲しいモノって訳でもないし、やっぱり欲しいモノを聞いてそれも贈るべきよ」
「けど、家の娘達のは直ぐに聞けるけどソフィーちゃんの分は用意できるの? 会うのは当日だし、欲しいモノを聞いても遠慮とかしないかしら」
「大丈夫だ。そう言うと思ってソフィアナの欲しいのモノは事前に貰っている。だから、後は娘2人の分だけだ」
「あらそうなの?なら早めに聞いた方がいいわね。確かあの子達は書庫によくいるし、そこに行けば会えるかしら」
「確かに、2人共最近書庫で本を読むことが増えたわね。息子達が3歳の頃は屋敷を走り回ったり、いたずらとかして、メイド達を困らせてたっけ。」
「そう思うと、あの子達勉強熱心だし、もしかしたら将来初の女性宰相とかになったりして」
「けど、結局それにつける賢さがあろうとスキル次第では就けなくなっちゃうわよ」
「スキル至上主義だからな。それに私達の子だからといってスキルが受け継がれたりするわけでもない。息子2人は魔法3属性と、近接戦闘のスキルの才能があったが、あの子達もそうだとは限らない」
「まぁ、誕生日の鑑定の結果がどうなろうとあの子達への愛は変わらないし、スキルだけが全てではないわ」
「それもそうね。さて、そろそろクリアが起きる頃かしら。寂しくて泣いちゃう前に会いに行くとするわ」
そう言って、クラリナは食堂を後にした。
さて、私も娘2人に会いに行きましょうか。
「あなた、私も娘2人に会いに行ってくるわ。ついでにあの子達の欲しいモノ聞けるといいけど」
「あぁ。娘2人の欲しいモノが聞けたら俺に伝えてくれ。直ぐに用意する。準備が早いことに越したことはないからな」
「分かったわ。けどメリーのは聞けてもフローラの分はどうなるかわからいわよ。あの子去年何一つ欲しいモノ無いなんて言ってたし」
去年の誕生日、メリアナ達に二人の欲しいモノを聞いて来てもらった。
そして、メリーはぬいぐるみを欲しがったけど、フローラは何も欲しいモノは無いって言われた時は驚くしか無かったわ。
息子二人でさえいくつかは欲しいモノを言ったりワガママを言ってたのに、あの子だけは何一つそんなことを言わないのよ。
最近は遠慮を知っているかのようで、フローラと話していると大人と話しているような……いや、それは無いわよね。あの子はまだもうすぐ4歳の子どもよ。
それに、今までは、欲しいモノというより、欲しいという感情がまだイマイチ分かってなかっただけよ。今年はきっと何か欲しいモノを言ってくれるはずだわ。
「フローラに関しては、せめて我慢とかはしてないかだけ気にしてればいい。子どもの内はやりたい事を自由にしてもらうことが一番だからな。それさえしてなければ、すぐに何かこちらにお願いとかするだろう。私は街を見回って今後の事を考えるとする」
「あら、折角の休みなのですからクリアに会いに行ってあげたらどうなの」
「ふむ、そうだな先にそうした後からでも良いか。よし。クリアの部屋に向かうぞ」
そう言って旦那は席を立ち、部屋を出ていった。
さてと、確か書庫に行くとか言ってたしきっとそこにいるでしょう。今年はフローラの欲しいモノも聞ければいいわね。
そんな事を思いながら私も食堂を後にするのだった。