家族での朝食
食堂の扉を開けると、お父様とお母様達が席についてこちらを待っていた。
「お待たせしました。お父様、フロメリお母様、クラリナお義母様おはようございます」
「おはようございます」
とメリーも後から挨拶をする。
「あぁ、おはよう二人共。もうすぐ朝食が運ばれて来る頃だから早くすわりなさい」
「「は〜い」」
と二人一緒に返事をしながらいつもの席に座る。
そして、運ばれた朝食を食べているとフロメリお母様が
「二人共、三日後の誕生日に、あなた達の才能を調べます」
「さいのう? 朝おねえーさまたちがはなしてたこと?」
とメリーが首を傾げながら聞き返す。
そこで私達の後ろの壁際で立ってたメリアナ達がそのことについて詳しく話したことを伝える。
それにフロメリお母様は頷きながら
「えぇ、そうよ。そして、5歳に開かれるデビュタントで、『私の娘は、これ程才能あるスキルを伸ばしました』とか、『家の息子は、こんなにも沢山のスキルを持っている』って自慢するのよ」
ふむ、デビュタントか、…けど前世での本でよく目にするけど、詳しくは知らないな。
「そうなんだ。けど、デビュタントって何? 私聞いたことない」
「わたしも〜」
とメリーが同意する。
するとクラリナお義母様が
「デビュタントはね、王都で毎年開催される、5歳になる貴族の子ども達の社交デビューとなる催しのことよ」
と答えてくれた。なるほど、てことはそこで、子どもをある意味値踏みして関わりを今後持つかどうか決める場所でもあるのか。
うん、まぁ私スキルレベル全て10だから特に心配はないけど、私を求めて言い寄って来る人の数がヤバいことになるのが目に見えるな。
いや、それよりもメリーが私のスキルに対して嫉妬や劣等感を持ってしまわないかが心配だ。
私の持っている隠蔽スキルは鑑定からは見えなくできるが、魔道具に対しては効果が無いからな。
もし、妹にそんな感情を抱かれ続ける生活なんて私生きていけないよ!あれだ!私が魔道具で鑑定される時にぶっ壊せばいいんだ!
よし、そうと決まれば、どうすれば私が壊したとバレずに、故障に見せかけるかの作戦をこの後練ろう。
そんなことを考えているとお父様が、
「実は、その三日後の誕生日にソフィアナも一緒に参加することとなった。」
ん?ソフィアナって誰?そんなことを思う暇なくクラリナお義母様が
「あら、ソフィーちゃんが家に来るの?てことはあのバカップルも来るのね。冒険者の時以来中々談笑する機会がなかっものね。嬉しいわ」
「いや、クラリナあの二人は王都への出張で2週間領地を離れるらしいんだ。その仕事でソフィアナを連れていけなくて、誕生日を祝ってやれないから我が家に招いて一緒に祝うことになったんだ」
「あら、そうなの。二人に会えないのは残念だけどソフィーちゃんが来てくれるだけでも嬉しいわ。家の子もだけどあの子も可愛いもの」
ストーップ、ストーップ。私が知らないことで話が進んでついていけませーん。
「あの、そのソフィアナってのは誰ですか?」
と、口を挟んでしまったが話から置いてけぼりにされるのは困る。
「ん、済まない。二人には話したことは無かったな。ソフィアナというのは、我が領地の南隣にあるクロリダル領地の領主の次女でな、クラリナが冒険者時代に依頼で貴族の臨時家庭教師を2回受けてその教えた相手が偶然にもその二人だったんだ。。そして、領地もたまたま隣ということで互いに助け合いながら働いている仲だ。」
とお父様が答えてくれた。
「そうなんだ。ソフィアナちゃんってどういう子なの?」
「そこは、お楽しみってことで。少なくとも悪い子じゃないわよ」
と、クラリナお義母様が意地悪そうに微笑む。
「分かった。メリー仲良くなれるといいね」
とメリーに言葉をかけると元気よく
「ハイ!おねぇーさま!」
手を上げながら答えてくれた。うん。可愛い。最高。
その後は、メリーが私と遊んで楽しかったとか、お父様が内緒で少しお高いお酒を買ったのがバレて、お母様お二人に怒られたりと、賑やかな朝食となった。
朝食を食べ終わり、私はこの世界の魔法について学びたいと思い、書庫に向かって歩いた。
向かう間は、妹が私の後ろをペンギンのようにテトテトついて来るので、その光景を、私と専属メイド二人で頬を緩ませていた。