リバージ大会 2 予選終了
私は開会式が終わった後は実況席に着いて、参加者達のリバージをしてる内容を実況と解説をする。
試合の内容はドローンみたいな魔道具で撮っている映像を実況席のテーブルに置いてるテレビみたいな画面で全ての試合を見る事が出来る。
余談だがこのドローンみたいな魔道具を開発した人はその魔道具で女湯を盗撮したことにより、牢屋行になったらしい。
同じ転生者として恥ずかしいよ……けど便利だからその点は礼を言っとく。
私はドローンの魔道具を操縦して、メリーを探す。
ちなみに操縦は現代風のリモコンなので、慣れれば土魔法で複数の腕を作って5、6台は操縦出来るみたいだが、私は出来そうにもなかった。
参加者には私の屋敷で働いてる人や、領地の町を散策してる時に見覚えのある顔の人、ソフィーとメリーが対局してる姿も映って……ん? ソフィー?
いろんな角度から確認するが、髪の色が違うけど、そこには紛れもないソフィー本人が対局を行っているのが分かる……それに服が浴衣というのもあり凄く目立つ。
え? ソフィーもしかしてサプライズでこの大会に来てくれた感じかな? 髪の色を魔法かカツラのどちらかで変えてるし、驚かそうとか考えてるんだろうな〜。
そんな事を思いつつ、複数組の対戦の状況を解説しつつ、白熱してるところを探し、見つけ次第その試合を決着が着くまで実況する。
それにしても一組10人って多くない? けど今回の参加人数を考えるなら妥当か?
私は、せめて将棋ならこの手は悪手、良手の区別をつけられるけど、リバージはホントにさっぱりなので正直解説もしにくいのでこの時間は結構地獄だ。
2、3時間後には予選の全ての対局が終わり、お昼を知らせる鐘が鳴ったので、区切りとして丁度いいということで、お昼休憩をしながらそれぞれの予選グループの上位2名のトーナメント表を作ることにする。
ちなみにメリーはシーナ、ソフィーはセツという偽名で参加している。初めて町を一緒に散策した時と同じ名前なので、その名前を見るだけでなんだか頬が緩んでしまう。
二人共決勝トーナメント進出おめでとうという言葉を掛けに行きたいが、それで何かトラブルが起きる可能性もあるので、心にしまっておく。
アレクスさんとシフィアさん、それにメリアナと一緒に雑談を交わしながらお昼を食べる。ちなみにアレクスさん達も決勝トーナメントにあがっている。
対局を見た感じ、打つ手をある程度決めている感じがするので、定石を作ってきたんだろう……多分。
さてと、クジで決勝トーナメントの割当を決めて、それを大きな紙に書いて、貼り出す。
アレクスさんとソフィーが1回戦で当たるので見所かな? 1回戦で勝てばメリーは2回戦でシードのシフィアさんと当たる
事になるな……他の人は興味ないかな……。
さて、そろそろ休憩時間も終わるし、決勝トーナメントの内容解説をする為にステージへ向かうか。
私はその内容を何一つ覚えてない事に気づかずステージへと向かう……恥をかくのは火を見るより明らかである。
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フローラが作ったこのリバージという遊びの大会があるという事を知り、私はそれを聞いた日から毎日隙間時間を見つけてはリバージをメイド達と何度もやって練習した。
更に、領地の町にあるギルドで、お父様に頼み、開催させた賞金ありの小さなリバージ大会を何度も開き、それに私は身分を隠して何度も参加した。
こうして私はリバージの練習を積み、この大会へとやってきた。
参加者の中に一瞬白く長い髪が見えた気がしたけどもしかしてメリーも参加してるのかな?
私は探しに行くか迷ったが対戦をしてたらいつかは見つけられるだろうと判断して、参加受け付けへと向かう。
予選の相手が決まり、対戦相手となる9人の顔を見るが、知り合いは特に……いや、フローラ達の屋敷で働いてるメイドさんがいる。
それにそのメイドさんはこちらに近づき、私に小さな声で「ここでは身分なんて無いのですから手加減は致しませんよ」と耳打ちをした。
えっ? なんでバレたの? 髪の色は私の創造魔法で変えてるし、服も私が好きな、東の国の平民の服を選んだはず……まさかこの方相手を見抜く事に優れてるのですか? 早くもこの予選で私にとっての壁が現れましたがこちらも負ける気はありませんからね!!
単純に顔を知ってる人なら直ぐにバレるような変装である事の自覚がないソフィーは闘争心を燃やしてる目でメイドの人を見つめる。
そして、メイドとソフィーは8連勝をし、予選最後の一戦で戦うことになった。
ソフィーは対局開始時からずっと笑顔で楽しそうにこちらの打つ手を見て、打ち返す様子を見て、これが強者の余裕なのかと、少し怖じけながらもその余裕が命取りだと一生懸命次の手を考える。
ちなみに、メイドの女性は子供好きで、ソフィーが表情をコロコロ変えながら一生懸命打ってる姿に、可愛いなとニヤけるのを我慢してるだけである。
リバージに関しては半年前から、孤児院によく顔を出していて、子供達の相手に何度もなっていて、結構腕前は上達してたりする。
そうして迎えた対局終了、結果は3枚差でメイドの女性が勝った。
ソフィーは決勝の勝ち抜けには上がれたが悔しく、それでも全力を尽くせた達成感を感じ、互いに握手を交わす。
ソフィーは次の勝ち上がり戦で、当たったら勝つのは私だという言葉を胸に秘めながらお昼を食べにカリリナと泊まってる屋敷に向かうのであった。




