誕生日 今後の私
「え〜と、その……」
流石にこの結果はこの結果で何を言えばいいのか分からなくなる。
お父様は深刻そうな顔をしているし、フロメリお母様は「私が、私が」と涙目になりながら呟き始め、クラリナお義母様は驚いた顔のまま固まっている。
メリー達はこの結果がどれ程深刻なのか知らないのでキョトンとしている。メリアナ達はクラリナお義母様と同じく驚いたままだ。
そういや魔道具を持って来たメイドはどうしてるかと見てみると口をパクパクしながらそれに手を当てていた。
このままの空気では不味いと思ったのだろう。お父様が口をひらく。
「だ、大丈夫だフローラ。別にこの様な結果だろうと誰もお前を軽蔑したりするわけじゃない。それにスキルだけが全てでは無いからな。そう落ち込むことでもない」
「そ、そうよ。気にすることではないわ。あっ、ねぇクリアナ。鑑定でフローラのこと見てくれない?映ってないスキルで今後活かせそうながあるか見て欲しいの」
「分かったわ。じゃあフローラこっち向いてね。その方が鑑定結果が正確になるから」
「は、はい」
言われた通りにクラリナお義母様の方に向く。
けど、私隠蔽スキルでスキルによる鑑定は相手が格上じゃない限り見えないよ?
前の世界だと平均ステータス差で見える見えないが決まってたけどこの世界だとスキルレベルかな? だとしたら平均10だし、数もあるから見えないかも。
そんな事を思いながら鑑定結果を待っているがクラリナお義母様は口を開けたまま動かない状態でいる。
うん、まぁそうでしょうね。だって見えないってことは完全に私スキル1つも持ってない無能になるもんね。
「ねぇ、クラリナ、どうしたの? 固まってるわよ」
「あ……その、フローラの鑑定の結果だけど何も見えなかったの。ホントに何一つ」
「う、嘘よ! あり得ないわ! 貴族なら普通《礼儀作法》のスキルを持っているはずよ!」
「えぇ。アナタの言うとおりよ。けど今その話をフローラの前ですべきではないわ」
「そう……ね。ごめんねフローラ。色々と不安がらせて。後の事は私達が全てやっておくから3人で一緒に町に行ってソフィアナちゃんを案内してあげて」
「えっと、わかった。メリー、ソフィー行くわよ」
「は、はいおねーさま」
「そう…ね」
そして、私達3人は部屋から出る。遅れてメリアナ達も出てきた。きっとお父様達はメリーたちの結果と私の今後についての話し合っているのだろう。
「メリアル悪いけど先にソフィー達を町に案内してあげて。私は少しお腹の調子が悪くて遅くなりそうだから」
「畏まりました。ではメリー様、外に行く為の服装に着替えますのでこちらへ」
「え…でもおねーさまが」
「ソフィアナ様も着替えないといけないのでこちらに」
「それよりもフローラの……ちょっと引っ張らないで」
二人はメリアル達に引っ張られる形で着替える為の部屋に移動して行く。
ひとまずはメリアル達が気を配ってくれたおかげて一人になれたのだし、自分の部屋で先程の鑑定結果について考えるとしましょう。
そういや私の部屋ってメリーの部屋でもあるから、メリーの服もそこにあるはずだけど連れて行った場所どう考えても私達の部屋の反対方向よね。
まぁ、それでゆっくりできるのならそれでいいか。
私は部屋に入り、いつもメリーと一緒に寝てるベッドに大の字で寝転がる。
さて、まずは何故全てなしの結果になったかよね。
Cクラスの結果が見えてたらまた違ったかもしれないけど非表示だったからな。
それの結果次第で答えが変わってくるだろうし。
まず、Cクラスも実はなしだった場合から考えましょうか。
それだと、隠蔽が原因か、私が強すぎて測定不能になったの2つぐらいしか浮かばないけど。
前者はほぼないでしょうね。隠蔽の効果を見直したけど魔道具の鑑定はやはり防げないみたいだし。
後者は……微妙かな。ただ持ってるスキルをクラス分けするだけの魔道具ですからね。そこに本人の強い弱いに左右されるとは思えない。
てことはCクラスには幾つかスキルが映ってたと考えていいかもね。そもそも私闇とか光の魔法スキルは持ってないから映っていると思うし。
けど、そうしたら何故持ってるスキルが映らないのか?ってはなしよね。鑑定結果見て慌ててこっそり自分のステータスを見たけどスキルはちゃんとあるし。クラリナお義母様の鑑定も隠蔽で隠せたから発動していない訳でもなし。
映らない条件って言ったらお父様がスキルレベルが無いものは映らないって言ってたっけ?
けどそれが実は間違ってたりしないかしら?
そう考えると1つの答えが見つかった。
「はぁー……。そんなことあるの?」
思わず溜め息とか出てしまったけど割とこれで合ってる気がしてしょうがない。
答えは単純で、私のスキルはレベル10だから映らなかったんだ。
お父様は、スキルレベルが無いモノは映らないと言ったが、正確にはスキルレベルが上がらないモノが映らないのだ。
スキルレベルは最大で10だから今の私が持ってるスキルをいくら鍛えようとも上がる事は無いからね。
まさか、前世で余命で死ぬまで暇だから今あるスキルレベルを全て10にしようとか考えた結果これって……。
努力したら無能になりましたとか洒落にもならいわよ。
「さて、この事を正直にお父様達に話すべきかだけど、それはそれでお父様達の頭痛の元になるしな……。いっそのことスキル無しで今後この世界を生きてみようかしら?」
確か、《手加減》のスキルを習得はしていたはず………あった!
えーと、自身の能力、スキルを自由に加減できるみたいだな。これで、スキル無し状態になれるな。
ひとまず魔法と戦闘に関するスキルは発動しないようにして、スキルレベルがあるやつもしとこうか。
あっ、流石に危険感知とかそういう感知スキルは発動にしておこう。貴族社会は暗殺とかあるのはよく聞く話だしな。
命は大事にしないとな。防御力関連とダメージ回復関連は発動にしとくか。まぁ防御系は単純にメリーの姉特効の威力を考えると消せれないからね。
あれ程の威力に対して防御系スキルを全て消したりしたら、ハグされた瞬間………考えるのはやめとこう。
後は……特に発動させたいモノは無い……かな。残り全部発動しないようにして…と。これでいいかな?
名前 フランロール・アビルノ・シューゲイト
年齢 4
種族 人間
スキル 《隠蔽》《物理・魔法攻撃9割減》《気配感知》
《魔力感知》《危険感知》《超速再生》その他の発動することにしたスキル沢山
うん、完全にタンクとかする為のスキル構成だよ。てか守りしかできないよね。攻撃する為のスキルゼロだし。
そういやこの状態で魔法使えるのかな? 暗器とか弓のスキルは武器を持ってないから後でやるとしよう。
試しに火魔法でロウソク位の火を出そうとしてみる。
すると、ボッ! という音と共に火が手のひらの上に出てくる。
ふむ……多分魔法は今まで通り、使えるとは思うけど、威力とか効果、魔力消費量はレベルによる補正が消える分圧倒的に劣ってると思う。
魔力消費量は多分練習でどうにかなると思うけど残りは無理かな。
他の魔法も試す為に部屋の中だと危険なのでベランダに出る。ベランダには小鳥が1羽いた……ってこの鳥ヤケに保有魔力多い気がする。その点以外は普通の鳥だけど……。
使い魔の可能性とかあるのか? この世界の鳥がどれもこんな感じならわかるけど、あんまりこの世界の動物とか見てないから分からないんだよね。
警戒して損はないよね。念入りにこの鳥に干渉のジャミングでもしておこう。
私は鳥に手をかざして、透明の魔法壁を造り鳥を覆う。これでこの鳥への干渉、その逆の鳥からの干渉も出来なくなったはずだ。
これで安心して魔法が使える。まずは簡単な球体でも造るか。
私は手を上に向けて、回復魔法と空間魔法以外を球状に出して維持してみる。
一応全部維持はできてるけど、風魔法に水魔法と火魔法の維持が少し難しい。この3つはある意味決まった形が無いから、同時に発動してる分イメージが不安定になっているのかな。
それと魔力の自動回復スキルオフにしてるから、魔力消費のスピードが早い。どれだけこれに助けられてるか実感するな……。
並列思考のスキルがあったらなーとか思ってたりもするが、今世ではスキルは使わないと決めたんだし、元男に二言はない!
そういや光魔法とか使ってないな。モノは試しにやってみるか。
まずはイメージしやすい雷から。
私は片手を前に出して球状の電気をイメージする。
「エレキボール!!」
魔法に詠唱は実際必要ないが初めてやるのでイメージ力を高める為にしておく。
すると、サッカーボールより少し小さい位の触れたら感電して黒焦げになるのではないかと言う程電気を帯びた球体がでてきた。
「おっ、できた!……けど、イメージより小さくなったな。まぁしかたない……『雷魔法Lv1を習得しました。魔力操作、魔法への補正スキル等より、雷魔法をレベル10になりました』っお!」
びっくりした! この世界でも天の声のやつがあるのね。
ステータスを見ると確かに雷魔法のスキルが表示されてる。
しかも一瞬にしてレベル10って……まぁ困る事は無いけどとりあえずこれも手加減で発動しないようにして……っと。
さて、多分光と闇も同じように手に入れることができるかm…バタン!! っという激しい音が急に聞こえた!
慌てて私は魔法を消して、音のした方を見るとそこには涙目で息を切らしたメリーがドアに少し持たれ掛けながら立っていた。
「おねーさま!! なにをしてますか!? おてあらいではなくわたしたちのへやで!!」
「あっ……、メリー私はそこまd『フローラさま! 申し訳ございません! メリー様が急に…』」
「大丈夫よメリアル。私も丁度体の調子が良くなったのよ。私も町に行くから着替えをお願いするわ。メリーの服を見る限り2人は着替えが終わってそうだし待つのが嫌なら先に町にに行ってもいいわよ。後で追いかける形で合流するから」
「いやです! まちます! ぜったいに!!」
「わかったわ。それじゃあメリアル着替えの部屋までの案内を頼みます」
「畏まりました」
私達は部屋から出て着替えのある部屋に向かう。
ふ〜危なかった。もし、メリーに魔法を使ってるのを見られたらこの後のお父様達との話し合いが起きる所だった。
別にスキル無しでも使えると言えば終わる事だと思うけど、メリーは聖女見たいな立ち位置になるから、それを我が物にしようとする輩が出たときに私を狙うようにしたいのよね。
ほら、私はメリーの姉でしかもスキル無しだから人質に一番適してるという話になると思うのよね。
そして狙って来た奴らを私が片っ端から根本まで叩くという事ができるってわけ。
単純だけど十分に実用的よね。
「その……おねーさま。わたしが……その……おねーさまを……支える……から。えっと……げんき……だして?」
うーんと、メリーは私を元気づけようとしてくれ……てる?
おそらく私の事についてメリアルたちから聞いたりしたのかな?単純に考えたら普通は私が落ち込んでるって事になるよね。誰も4歳児の私のスキルレベルが全10なんて答えに行き着ける筈がない。
これ以上心配掛けたくもないので何か返事をしないと。
「大丈夫よメリー。別にスキルが無いからって人生が終わるわけでもないのだから」
人生終わるわけじゃないけど、実際スキル無しの生活って地球なら出来るけど魔物とかいる異世界だと致命的な気もするけどね。
「ぐすっ……ホント……ですか? わたしのこと、うらやましいとか……ないですか?」
「メリーに嫉妬なんてしないわよ。逆に嫉妬させてみせるわよ」
「しっ……と? よくわからないけど、わかった! わたしおねーさまにしっとすればいいんだね!?」
「うん……えっと……程々にね」
「うん!」
そういや、4歳児に嫉妬なんて言葉を知る機会なんて無いとは言わないけどほぼゼロに近いと思う。よくよく考えるとメリーに嫉妬されるのはそれはそれでやだな……。
なんか会話がここで終わって無言になっちゃった。話題…話題え〜と……。
「メリアル。質問だけど、町の案内する場所は決まってたりするの?」
「はい。ソフィアナ様が来ることが決まった時に案内はする事が決まりましたので完璧な案内をしてみせます」
「それは楽しみね。私達も実際に町を歩くのは初めてだもの。行こうとしてもお父様かお母様達と一緒の馬車の中でしか見れなったし」
「それは旦那様達が心配性なだけですよ。ほら部屋に付きましたよ」
思った以上に直ぐ着いた。話題別に振らなくても良かったかな?まぁいいや。
そして部屋に入ると着替えの為のメイドさん達が私を着せ替え人形の様にコーディネートし始めたのだった。




