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アリとキリギリス

作者: 篠原司

 あまりに腹が立ったのでつい。

 要するに愚痴です。

 夏の間ヴァイオリンを弾いて歌っていたキリギリスは、冬になると食べるものがなくなり死んでしまったのでした。


 誰もが知ってるイソップ寓話の物語だ。夏の間遊んでいたキリギリスは、せっせと働くアリを馬鹿にし蔑んだ目を向ける。ところが冬になると一転、食料を求めてあれほど馬鹿にしていたアリに慈悲を乞う。


 物語は明解だ。勧善懲悪がはっきりとしている。正しいものには救いを、悪しきものには報いを。けれど、現実は得てしてそんなにうまいものではない。水戸の御隠居様が印籠を振りかざしたところで、素直に恐れ戦き畏まる悪人などいない。むしろ目撃者がいないを幸い、殺して埋めてしまうくらいのことは平気でやる。現実にはたった二人で多人数相手に無双できるKさんSさんなどいないのだ。正論で窘めにいっても、賄賂を多用しお上を味方に付けた悪代官(キリギリス)に詭弁で殴られる。結果、キリギリスはどこまでも付け上がり民草(アリ)から搾取し続ける。


 まあ、つまり。現実におけるキリギリスは冬に飢えたりなどしない。春だろうが夏だろうが秋だろうが冬だろうが、季節に関係なく好き勝手に歌って踊って遊び回り、食料がなくなればアリが積み上げた成果を恥も外聞もなく貪りにくる。労働はアリに、成果はキリギリスに。そんなことが平然と許される腐った世の中こそが現実だ。


 しばらく前からハラスメントという言葉が脚光を浴び、よく耳にするようになった。セクハラ、パワハラ、アルハラ、アカハラ……。例を挙げればきりがないし、正直なんでも「ハラ」を付ければいいものではないだろうとは思うが、論旨がずれるので今はやめておこう。

 被害にあわれた方を悪くいう意図はないし、ハラスメントを行った者をかばう意図もない。が、言わせてもらいたい。パワハラという言葉が、好き放題やっているキリギリスの言い訳に使われてやいまいかと。少しでも注意すればパワハラだと泣き喚き騒ぎ立てるキリギリスと、世間の風潮を気にしすぎて問題もみ消しに走る事なかれ主義のお偉方はもう如何ともしがたい。

 キリギリスが撒き散らす迷惑の一切は黙認され、被害を被るアリの抗議は詭弁によりパワハラ扱いされてしまう。ストレスで胃に穴が空きそうだ。


 詰まるところ言いたいのは――成すべきを成さないキリギリスに、やらないなら帰れと言ったらパワハラなのだろうか? ということだ。

 法律に詳しい方、ご教示のほど、どうかよろしくお願いいたします。

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