くつした・あろーん・こんぷれっくす
修正とお詫び
このお話は、活動報告の機能を使い書いていたものを、一部修正加筆して連載しています
そのため、連載版と活動報告版では、設定に異なる点があるのです、が
そのことを百パー忘れたまんま、前話である「第三話」分を、間違えて「活動報告版」のまんまぶっこんじゃいました
投稿してしばらくしてから読み直してて気が付いたんですが、思わず「やっちまったなぁ!!」って叫びましたよね
そんなわけで、まだ修正が効くはずだと自分に言い聞かせつつ、前話を取り急ぎ修正しました
前の話読むのダルイ、という人の為に簡単に何を修正したかというと、ストフレッドのお父さん生きてます
そう、活動報告版では死んでいたはずのお父さんは、生き残ったのです
やさしいせかい
作品を読んでいただく前にこんなくだらないことをご報告しなくてはいけなかったことを深く反省し、今後こんなことが無いといいな、って思います
無いように勤めるすぎると疲れるので、その辺は適度に天運に任せたいな、って思います
村長が禿げたっ!!
否!
正確には!!
禿げさせられたのである!!!
しかし、そのおかげで!
作物は育ち!
異常気象は回復し!
村を襲おうとした魔物は異性に「キモイ」と言われて心が折れ!
村人は禿げにくくなり!
村の近くで温泉が発見され!
村長は禿げた!!!
一体どんな感じに禿げたん?
多くの人々が、疑問に思っていることだろう!
まず、ふっさふさな髪の毛の人を想像していただきたい!
そこに、赤熱した十円玉を二十枚ほど握り込みっ!!
叩きつける!!!
村長の現在の髪型は、そんな感じだったのであるっ!!
「笑えよっ!! 笑えばいいだろっ!!」
「そんなこと言うなよ!」
「笑えるわけないだろっ! 皆のために禿げたその頭は、むしろ勲章ぶふー!!!」
「あっはっはっはっは!!」
「もうちょっとなんというか。手心的なものがあってもよかった気がぶっふふふぅ!!」
「ムリ、ちょ、これ、マジムリぃっふっふはっはっはっは!!」
「なにホントに笑ってんだよクッソムカつくぜってぇー許さねぇーからなお前らっ!!」
「なに遊んでんだいボケ共! さっさと雑草抜いてきなっ!!」
「「「はぁーい」」」
村の大人達は今日も元気であるっ!!
大人達が盛り上がっているのと、ちょうど同じころ!
ストフレッドとタップ!
それにいつも遊んでいる子供達は、村のとある場所にあつまっていたっ!!
「スーさんむりだよ! もうやめようって! こんなのよくないよっ!」
胸を掻きむしり、苦しみもがくストフレッド!
そんなストフレッドを止めようと、タップが縋りついた!
周りの子供達も、ストフレッドの蛮行を止めようと声を張り上げるっ!!
「バカなことはやめろよスーさん!」
「そうだよ! いくらなんでもこんなの、まちがってるよっ!」
「やめられるわけないじゃないかっ! ぼくのせいなんだよっ!? ぼくのスキルのせいで、そんちょうはあんな、あんな、その、ぶふっ!」
「ふふっ! やめてよスーさん。シリアスな顔して笑うの。つられちゃうじゃんかぶふっ! ははは!」
「いやぁー、あれはねぇ。わらっちゃわるいっていうか。ふっ」
「ひととしてまちがってるよ。むらのために、ぎせいになったひとをわらうなんてあははっはっはっは!」
笑っちゃだめだと思えば思うほど笑ってしまうっ!
その笑いの衝動たるや、まさに呪いの如くである!!
「だからっ! もうっ! とにかくだよ! ぼくは、スキルをせいちょうさせなくっちゃいけないんだっ!」
スキルの成長とはなんぞや!
様々な効果を持つスキルであるが、時に成長!
すなわち、強化されることがあった!
新たな機能の追加!
あるいは、弱点の克服!
場合によってどんな変化がもたらされるかは違うのだが、総じて扱いやすくなることが多かった!
「スキルをせいちょうさせて、そんちょうさんのあたまをどうにかするんだっ!」
「こころざしはすばらしいけど、そのいいかたやめてよスーさん」
「そうだよ。そんちょうのあたまがおかしいみたいじゃんか」
「たしかに、いまのそんちょうのあたまはおかしい・・・ちがう、へんなふうなかんじに・・・」
「なんだろう。なにいってもごへいがあるよ」
集まっている子供達の年齢は、上は八歳から下は四歳まで!
語彙力があまりないので、どうしても表現がアレげな感じになってしまうのである!!
「とにかく! このままじゃそんちょうさんにもうしわけないんだよ!」
ストフレッドは取り立てて頭がいいというタイプではない!
だが、村長をはじめ、村人達が自分のために頑張ってくれているということは分かっていた!
そんな村長の頭があんなことになったというのに、指をくわえてみているわけにはいかないのである!!
「おとうさんがいってた。しにかけたときに、あたらしいちからにめざめたんだって」
ストフレッドの父は、猟師であった!
いつも山の中に入って、村では貴重な肉をとってきてくれる、希少な人材である!
そんな父がいつものように狩りをしていたある日!
山の中でクマさんに出会ったのだっ!!
クマさんといっても、はちみつとか食ってる黄色いやつではない!!
山岳部などに出没する魔獣であり、その名もステキ!
タイラント・ジェノサイダー・ベア=エクセレントW5L!!
なにそれふざけてるの?
と思われるだろうが、正式な学名である!!
当時魔物の正式名称を編纂していた担当者が酔っぱらって提出したものに、まったく書類に目を通していなかった上役がサインをしてしまった!
悲しい事故の連続の末に生まれた、悲劇的な名前なのである!!
そんなアレそげな名前とは裏腹に、このタイラントベア(略称)はむやみに強かった!!
マスターランク装備ガチガチのプロハン四人がニ十分殴り続けて、ようやく討伐できるといえば、伝わる人には伝わるだろう!!
伝わらない人には普通のクマがレベル30ぐらいなら、タイラントベア(略称)はレベル300ぐらいだといえばわかるだろうか!
とにかく!
そんなクマに襲われたストフレッドの父は、爪の一撃を受けた瞬間死を覚悟した!
しかしっ!!!
その瞬間、父の頭に村長の言葉がよみがえったっ!!
「この村は皆が一人のために動くことができる。それは、一人が皆のために頑張ることができるからだ。一人一人の努力が、皆を支え。その結果、努力する一人をみんなが支える。わんふぉーおーる、おーるふぉあわん! それが、この村のすばらしさなんだとも!」
今ここで自分が倒れれば、タイラントベア(略称)は、村を襲うかもしれない!
そう思った時!
父のスキルは劇的な進化を遂げたっ!
そして、見事タイラントベア(略称)を撃退したのであるっ!!
ちなみに予定された運命では、この時に父はクマの餌となってしまうことになっていた!
だが、村長と村での思い出が、父に運命をぶち壊す力を与えたのだっ!!
父は今も元気に、現役最強猟師として腕を振るっているのである!!!
「だから、ぼくもしぬおもいをすれば、きっとスキルがせいちょうするはずなんだ。この、すー、はぁー・・・。この、じゅじゅちゅぶヴぉ ああああああああああ!!!」
「スーさぁーん!! だからもうやめなってじゅじゅつおうっていうおうとするの!!」
「すきあらばいおうとするぅー! またヤムァドさんにしかられるよ!」
「とにかくっ! しぬおもいをすれば、きっとぼくのスキルもレベルアップして、あたらしいのうりょくにめざめるんだっ! そしたらきっと、そんちょうのハゲをなおすこともできるっ!」
「だからって・・・こんな・・・こんなこと・・・! へたしたら、スーさんがしんじゃうよっ!」
タップが指さした先に合ったモノ!
それは!!
洗濯紐に吊るされた、靴下の群れであった!!!
「やまにはいって、みっかみばんはきつづけた、とうさんのくつしただよ。かあさんがせんたくしようとして、きぜつしたこともあった」
「いっしょにりょうにいったひとが、みっかみばん、あくむにうなされたってきいたよ」
「とんでたとりが、おちてきたって」
ストフレッドの父親は、タイラントベア(略称)から村を守った英雄であった!
と、同時に!!
足が死ぬほど臭いことでも、有名だったのであるっ!!!
「あれのにおいをかげば、しぬおもいをする。そうすれば、きっとぼくのスキルは、せいちょうするんだ!」
ストフレッドは、ガチガチのガチであった!
子供にとって靴下の死臭に自ら挑むというのは、大変な冒険である!
周りの子供達が思わずガチ引きするぐらいの危険行為なのだっ!!
「やめようよスーさん! くつしたでせいちょうしたスキルではげがなおったっていわれても、そんちょうもきっとびみょうなきもちになるよ!」
ストフレッドの動きが止まった!
それもそうだな、と思ってしまったのである!!
しかしっ!!!
「かみのけは、かみのけだよっ! 目的が手段を正当化することだってあるはずさ、時と場合に寄りにけりだよ!」
「スーさん、めちゃくちゃりゅうちょうになってるよ! そういうときはじぶんをごまかそうとしてるときじゃないかっ!」
親友であるタップの目は、誤魔化せなかったのである!
だが、それでも!
己が止まることを許さぬ覚悟と理由が!
ストフレッドにはあったのである!!
「うぉおおおおお!! この試練を乗り越えた先にこそ、光明があると見つけたり! 運命の神よ照覧あれ! このストフレッド、必ずや邪悪なる靴下を打ち破り、村長の呪われたハゲを打ち破って見せようぞ!」
「へんなやるきださないでよスーさぁーん!!」
疾走するストフレッド!
それを止めようと飛び出すタップ!
悲劇が起こったのは、まさにこの時であった!!
「あ」
タップは足元の石に、けつまづいた!
宙を泳ぐタップの身体!
そこは、ストフレッドの進路上であった!!
「あ」
激突っ!!!
弾き飛ばされるタップの身体!
その直線上にあるものは!!
ストフレッド父の靴下である!!!
「「「たっつぁーん!!!」」」
つかの間のスローモーション!
タップの目から一滴の涙がこぼれる!!
その涙の意味とはっ!!!
こうして!
タップのスキルは!!
新たな段階へと、成長したのである!!!