どんなスキルがあるか調べてみるだ
大人達がvs役人戦を終えた翌日!
「呪術王」のスキルを持つ少年「ストフレッド」は、無二の親友である「タップ」と一緒にいた!
「スーさんむりだよ! もうやめようって! こんなのよくないよっ!」
地面にうずくまるストフレッド!
それをタップは助け起こそうとする、がっ!
ストフレッドはその手を拒絶したっ!!
「やめられるわけ、ないじゃないかっ! ぼくのスキルなんだよ!? こんな、のろわれた、じゃあくなすきるでも! ぼくの一部なんだっ! なら、やるしかないじゃないかよっ!」
「だからってこんなむちゃなこと・・・! おとなだって、みんなやめろっていうよっ! きっとっ!」
「わかってるよ。この村の人たちは、みんなやさしいから。でも、だからってっ!」
「まさか、やめなってスーさん!」
何かを察したタップは、ストフレッドを止めようと手を伸ばす!
だがっ!!
時すでに遅し!!!
「じゅじゅちゅお ああああああ!」
「だからやめたほうがいいっていったのにぃいい! スーさんしたみじかいんだからじゅじゅつおうなんてぜったいいえないよぉ!」
「だってっ! じぶんのスキルなんだよ!? じぶんのなまえいえないみたいなかんじで、いやじゃんっ! ぼく、もう、ろくさいなのにっ!」
「としはかんけいないよっ! じぶんにできることを、できるはんいで、せいいっぱいやっていくのがたいせつなんだよっ!」
「そうだよっ! だから、ぼくはまだやれるっ! ぜったいにかっこいいかんじにいってみせるんだっ! じゅじゅちゅ あああああああ!」
「スーさーん!!!」
「なに!? 何なの!? 何が起きてるのこの状況!?」
ストフレッドにスキルの詳細を聞きに来た長老が登場!
子供二人が泣き崩れる状況に困惑する!!
事情を聴いた長老は、深いため息を吐いた!!!
「大丈夫だよそういうのは、ほら。大人になれば言えるようになるから」
「うう、おとなはいつだってそういうんだ」
「おとなってずるいよ。きっとカルピヌだって、みずでうすめないでのむんだ」
カルピヌとはっ!!
牛乳を何やかんや加工して作る甘い飲料であるっ!!
あまりに味が濃く甘すぎるので、通常は水で薄めて飲むものであった!!
濃ければ濃いほど甘いので、子供は皆直のみしてみたいと思うのである!
が!
実際にやると顎が外れるかと思うぐらい甘いので、けっしておすすめはしない!!!
「ずるいよ、ずるすぎるよそんなの。人が許容できる罪悪の範囲を逸脱してるよ」
「なんでそれが言えて呪術王が言えないのかちょっと村長わかんないんだけど、まぁ、そんなことはいいから。とりあえず、舌とか噛んだんなら診てもらってきなさい」
「「ええー」」
この村には、「特級治療魔法士」というスキルを持つ住民が居たっ!
おおよその怪我や病気を治療可能な能力なのではあるがっ!
しかしっ!!
「ヤムァドさんのまほう、めちゃくちゃいたいんだよなぁー」
「すんごいつかれるしさぁー」
特級治療魔法士の治療魔法は、当人の回復能力をフルに発揮させることで発動する種類のものなのであるっ!
当人の基礎体力が無ければ、その治療魔法に耐えることは出来ないっ!
もし治療に耐えうる体力が無ければ、怪我や病気は治っても死ぬことまである!
効果と代償!
諸刃の剣な魔法なのである!
「大丈夫。若いうちはまずそんなことにならないし、きちんと治せるかどうかヤムァドが確認できるから」
特級の特級たるところは、治療結果がどうなるか事前予測できるところにあったっ!
これがただの「治療魔法士」だと!
治したはいいけど、治療に耐えられずに死んじゃいましたっ!
なぁーんてことが、よくあったりするのだ!!
とりあえず噛みまくった口の中を治してもらったストフレッドは、ぐったりとしていたっ!!
「うう。ひどい、あまりにもひどい。こんな人を人とも思わない様な非道な振る舞いがこの世界で許されていいのか」
「だからなんでそんな滑らかにしゃべれるのに呪術王がいえないのよ。まあいいや。とにかく、聞きたいことがあるんだよ」
村長は緊張の面持ちで、息を呑んだっ!
この場に大人は村長しかいないように見えるが、さにあらずっ!
実際はスキルや大道具などを駆使して、多くの村の大人達がこの様子を見守っていた!
ちなみにマッチュンは前回のアレコレで「キモイ」って言われたのがショックで、寝込んでいるのだ!!!
「さて、ストフレッド。今日は君の能力でどんなことができるのか、聞きに来たんだ」
「うん。なんか、こののうりょくはすごくあぶないんだって、おとうさんとおかあさんがいってた」
「そうだな。かなり危ないやつが、過去にお前と同じ能力を持っていた」
「そうだよね。こどもにあおられてマジぎれしてしんじゃうなんて、あぶないよね」
「うん、そうね。それはまぁ、ほら。そうなんだけどさ。そういうんじゃなくて」
「スーさん、せかいをしゅちゅうにしようとしたとか、そっちけいでだよ」
「しゅ」
「タンマ!! 言わないほうがいいからねそれ! 絶対また舌噛むやつだからね、パターン的に! 兎に角よ! そういう危ない感じのスキルだから! どんなことができるか知っておきたいわけ!」
「そうだよね。抜き身の刃物をそれと知らずに子供が振り回すようなことがあったら危ないもんね」
「お前実は流暢にしゃべれるだろそれ絶対」
「ほんと!? じゅじゅちゅじゅぶる ああああああ!!!」
「スーさぁーん!!!」
「衛生兵! 衛生兵ぃいいい!!!!」
なんかバタバタしたが、何やかんや治療して話を元に戻したのであるっ!!!
「うう。いちにち、にかいもちりょうまほうなんて。いとも容易く行われるえげつない行為が過ぎるよぉ」
「で、スキルで何ができるかわかるの?」
「たしかめてみます。スキルウィンドウ!」
スキルにはさまざまな効果がある!
なのでうっかり自爆したりしないように、自分でスキルを確認できたりするのだ!
その便利な機能がスキルウィンドウ!
目の前に半透明のスクリーンが現れ、能力を確認できるのである!
ちなみに結構難しい文字とかが使われているので、ぶっちゃけ使えるけど読めないってやつは農村とかだと結構いたりするのだ!!
「ええっと」
「読めないようなら代わりに読んであげるから」
ちなみに、スキルウィンドウは他人にも見えるのである!!
「じゃあ、おねがいします」
「どれどれ」
早速村長は、ストフレッドのスキルウィンドウを覗き込んだ!!
スキル:呪術王
説明・あらゆる呪術を扱うことができる、呪術界のキング
使用制限・保持者の年齢、資質、使用条件などにより、現在使用できる能力に制限がかけられている 使用できる呪術は下記のとおりである
村長が禿げる呪い(代償として村の作物が元気に育つ)
村長が禿げる呪い(代償として異常気象を回復させることができる)
村長が禿げる呪い(代償として村を害そうとする魔獣とかの心が折れたりするイベントが多発し、村が守られる)
村長が禿げる呪い(代償としてほかの村民の頭髪が禿げにくくなる)
村長が禿げる呪い(代償として村の近くで温泉が発見される確率が五千兆倍あっぷする)
村長が禿げる呪い(代償として村長が禿げる)
現在使用可能な呪いは、以上である
「なんじゃいこりゃぁああああああああああああ!!!」
村長の叫びも!
もっともであった!!
そもそもスキルとは!
持ち主の性根を色濃く映し出す、精神の写し鏡であった!
成長するにつれて確かになっていく自我が、特殊能力となって発現するものなのである!
そしてそれはっ!
運命を管理する神々によって、事前に管理されていた!
つまりより正確に言うならば!
そのものの運命を見定めた神々が、そのものがそうなるであろう精神を見立てたうえで与えるギフトだったのである!!
本来!
ストフレッドはもっと不幸になるはずの少年であった!
酷い境遇に苦しみぬいた末、憎悪によって世界を滅ぼさんともくろむはずだったのであるっ!
しかしっ!!
そんなもん知るか!!
とばかりに、村人達が知らず知らずのうちにその運命のフラグを片っ端から圧し折っていた!!
ゆえに!
ストフレッドは本来持つべき歪んだ心を全く持ち合わせず!
かなり純朴な感じに仕上がりつつあった!
現在のスキルの状況は、「本来あるべき姿」と「現実の姿」のギャップによって生まれたものだったのであるっ!!
ギャップゆえに禿げるっ!!!
世界の真理といっても過言ではないだろう!!!
「ねぇ、これ、そんちょうはげたほうがいいんじゃない?」
「うん、はげたほうがいいとおもう」
「いやだぁあああああああああああああああ!!!!!!」
この後!
村長は村人会議に引っ立てられ!!
禿げるように説得されたりしたのである!!!