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社畜だった勇者にはぬるすぎる異世界だったようです

ほっほっほっ…

やあみんな ワシは神さまじゃ

ん?信用できん?ほっほっ じゃろうな

まっ そんなことはどうでもいいんじゃ

いま わしはある世界の様子を見ておるんじゃがこれが面白くてのぉ

おぬしらに見せようと思っての

ある青年が異世界に転生して魔王を倒しに行くようじゃ

ほれ 一緒に見ようではないか


「ふぁぁ~今日も客がこねぇなぁ~」

俺は サリア・エルク 勇者で旅行商人で宿屋のオーナーだ

転生者なんだが元の名前は覚えてない

社畜人生を真っ当していたんだ

そんな人生から解放されただけでもありがたい

そもそも勇者である俺がなんでこんなことをしているかと言うと…


「おお…勇者さま」

「はっ?勇者?俺が?」

「そうでございます 勇者さま どうか魔王を倒していただけないでしょうか…」

この時に俺は全てを察した

「わかった 魔王はどこにいる?」

「へっ?こ ここから見えるあそこの魔王城に…」

「よし 行ってくる」

そして…

「ほう…お前が勇者という奴か」

「あんたが魔王だな」

「いかにも 我を倒そうなどと片腹痛いわ!」

「そうか…じゃあ」

「ん?」

「あの世で片腹痛がってな」

俺渾身の右ストレートを魔王のち○こに

クリティカルで当ててやった

「おおおぐぅぅ!」

って悶えながらそのまま消えていった

見事魔王討伐である

そして…

王さまより

「よくぞ魔王を討伐してくれた 礼を言おう」

「どうも」

「お主の望むままの褒美をやろう!」

っていうから その場のなんとなくの思いで

「宿屋開きたいからその金と建物 あと大きめの馬車と俺が住むようの大きい家 以上」

「お…おお お主の要望を聞き受けよう」


というわけでなんとなくの感じでずるずる宿屋と旅行商してるわけだ

俺が旅行商に出てる間は家のメイドに任せてある

そして今は自分の露店を出してるって訳だ

「なぁ ちょっといいか?あんた旅商人なんだろ?」

「ん?いらっしゃい 何が欲しいんだ?」

「俺は防具屋なんだがいい素材を探しててな」

もちろんこういうお客のためにも…

「なら こんなのはどうだ…よっと」

「ん?なんだこれは?」

「【金剛竜の鱗】だ」

「金剛竜って…あの金剛竜か!?」

「そうだ 耐久 耐熱完璧の素材だぜ」

「ぜひ 売って欲しいところだが…」

「じゃあ あんたがどうしても欲しいってんなら 10個 30000ジルで売ってやるよ?」

※補足 1ジル→1円と考えてほしい

「あんちゃん 本気か!?1つ 100000ジルは下らないんだぞ!?」

「在庫なら沢山あるし金にも困ってない どうだ?買うか?」

「もちろん買わせてもらう!30個もらおう!」

「はいよ 毎度あり」

「あんちゃん 何者だ?」

俺は隠さずに答えた

「サリア・エルクだ」

「ああ… あんたが あの魔王討伐した勇者さまかい」

「驚かないんだな?」

ちょっと予想外だったかな

「こんな凄いもんをこんな安値で売ってくたんだ そっちのほうが俺には驚きだ」

まあこれが俺の商法なんでな

「そうか またこの街に来るだろうから贔屓にしてくれよ?」

「おう!こっちからも頼むぜ!あんちゃん!」

これでお得意様が一人増えたな


その後もそこそこに商品を捌いていた

客の中には武器や防具の調整を頼んでくるのもいた

それもそのはずだ

旅行商と言ってはいるがほとんど「何でも屋」のような感じだ

頼めば何でもやってくれる

そんな噂が街に流れたのだろう

いつしか俺の露店には行列が出来ていた

「これ全部捌ききるのにいつまでかかるんだよ…」

どうやらこっちの世界も楽ではないようだな


商品の売買、装備の調整、さらには装飾品の魔法付与まで頼んでくるものもいた

(冒頭の召喚で分かるかもしれないが魔法も存在している)

中には付き人にしてほしいというものまで現れた

…もちろん丁重にお断りさせてもらったが

そんなこんなで客を全て捌ききったのは日が傾いて半分といったところだった

この世界には時計といった時刻を知る物は存在していなく時を確認するには日の高さを目安にする他ない

(多分5時~6時くらいだろうな そろそろ宿屋に戻ろうか)

そんなことを考えていると…

「ああ 良かった!まだいたか!」

と背中から声をかけられた

「あんたはさっきの…」

「ガイルってよんでくれよあんちゃん」

「わかった それより何か用があったんじゃないのか?」

「おっと そうだった あんちゃんから買った鱗の武具が想像以上に売れてな 素材不足になっちまったんだが…」

「なら またあの鱗を…」

「いや 素材はいいんだ ただ…」

「なんだ?」

「二日に一回…いや三日に一回この街に来てくれないか?」

「なるほど そういうことか」

その方がガイルには都合が良いんだろう

「あんちゃんが無理ってんなら諦めるが…」

「わかった 三日に一回ならOKだ」

「本当か!?助かるぜ!」

「この街のお得意様第一号のお願いとあらばな」

「からかうんじゃねえよあんちゃん」

どうやらこの男とは馬があうようだ

「その代わりと言ってはなんだが…」

「おう!何でもいってくれ!」

「この街の旨いもん教えてくれよ」

「お安いご用だあんちゃん!」


俺はガイルに教えてもらった旨いもんを色々買いまくった

露店が出している料理も旨かった

(そのうち俺もちょっとした食い物出してみようかな…)

そして薄暗くなってきた頃にガイルと別れ馬車に乗って自分の宿屋のある街へ馬を出した

(すっかり遅くなっちまったな…これだと戻ったら真っ暗だな)

とぼんやり考えながらの帰路だった

何事もなく街の門を通って自分の宿屋に着いた

馬を馬小屋に戻して老を労うように頭を撫でてやった

(ボフゥと気持ち良さそうに鼻息をかけられた)

そして宿屋の大きな扉を開けた

メイドが一人出迎えてくれた

「お帰りなさいませご主人様」

営業時間が終わったせいかロビーや食堂はひっそりとしていた

「荷物をお持ちしますよご主人様」

「いや大丈夫だ それよりご主人様はやめてくれって」

「ふふっ わかりました旦那様」

「本当にわかってんだか…」

このメイドはリクス・ルナ うちで雇った最初のメイドだ

…なぜかよくからかってくるが

俺の宿屋は女性客が多い

もちろん男性客も普通に来るが他の宿屋に比べてということだ

まあ主な理由は温泉であろうが…

うちの温泉は美容、美肌効果があると街で有名になってる(らしい)

そしてこの宿屋の最大の特徴は宿泊数である

宿屋の宿泊数の上限は【∞】だ

客が何人来ようが魔法で部屋を増やしたり減らしたりしているため上限がない

…もっとも部屋はそこまで大きくないが

「屋敷に戻るか」

「そうですね」

俺の屋敷は宿屋と繋がっておりカウンターの裏の扉から屋敷に行けるようになっている

冒頭でも話した通り屋敷はそこそこデカイ

少なくともメイドや警備を含めた使用人が数十人暮らしても問題ない程度には大きい

「お帰りなさいませ!」

屋敷に着くと家の仕事をしていたメイドや使用人が出迎えてくれた

「ただいま いつもお疲れ様だ」

俺は女性陣に

「はい お土産 みんなで分けてくれ」

とお土産を渡すと

「ありがとうございます!」

と出迎えてくれた時より大きい声でお礼を言われた

そして期待している顔で待っている男性陣にも

「ほら お前達にもちゃんとあるから安心しろ」

とお土産を渡すと

「いつもありがとうございます兄貴!」

「兄貴はやめてくれって」

いつものやりとりを交わす

とまあこんな感じのゆる~い関係で屋敷や宿屋が成り立っている


「あー疲れがとれていくゥ~」

と風呂に入りながら明日の予定を考えていた

とは言っても明日は屋敷にこもって薬の調合や小物や武器の製作をする予定だ

もちろん全て商売で売るためのものだが

考え事をしていると手がふやけてきたのであがることにした

あがった時に下着姿のメイドと鉢合わせするというラノベ的な展開などは一切なく着替えてすぐに部屋に戻ってベッドに潜り込んだ

そして疲れのせいかすぐに意識は闇に溶けていった


目覚めたときには日はすでに高く上がっていた

(ん~寝過ぎたかな?感覚的には10時くらいか)

ぼんやり考えながら着替えて今日の仕事に取り掛かった

薬の生成、アクセサリーの製作を終えたあたりで少し休むためにリビングまで行くとメイドの一人が本を読んでいた

「何の本を読んでいるんだ?」

「あっ 申し訳ございません!仕事がおわり時間があまったので…」

「いや別に怒るつもりないし、むしろリラックス出来ててなによりだ」

俺もせっかく休んでるのを邪魔したくないしな

「ありがとうございます」

「それで何の本を読んでいたんだ?少し興味があるんだが…」

「ちょっとした料理本です 今夜の献立を考えるのにちょうど良いかと」

「仕事熱心で感心だ ゆっくり読むと良い」

「はい!ありがとうございます!」

(いい気分転換になったなぁ~ それにしても料理か~ 向こうではそこそこやってたけどこっちの世界に来てからは一度もやってないな)

「…久々にやってみるか」

と呟きながら残りの仕事に取り掛かった


「あー!やっと終わったー!」

今日の仕事を全て終わらせて伸びをしていた

(仕事の量は向こうの世界とあまり変わらないがやっぱりこっちのほうがやりがいを感じるな)

それもそのはず、向こうではデスマしかしていなくて、やる意味あるのかと自問自答していた

(明日の予定は…とりあえずメイド達より早く起きて朝飯作って、街で食材の調達してって感じで休んで良いよな…)

ちなみに普段はメイド達に朝食を任せてるため、このような試みは初めてである

「確かこの世界にも米はあるが…調味料がないのか 醤油に味噌…マヨネーズなんかもあったほうがいいな 明日は調味料を作ってみるか」

どうやら明日の予定は決定したようだ


次の日、俺は静かなキッチンで一人料理していた

「ふ~ 一人で数十人の朝飯を作るのって大変だな…」

俺がいま作ってるのは釜焚きのご飯とほうれん草(のような葉物の野菜)の胡麻和え、鮭(のような魚)の塩焼き

定番(なのか?)の日本食をイメージして作っている

胡麻和えを作るのに普通は醤油を使うが醤油がないのでその他の調味料をうまく合わせてごまかした

(やはり醤油はあったほうが良いな)

「誰かいるんですか?」

とメイドの一人が入ってきた

「おう おはよう 朝飯は俺が作ってるからみんなでテーブルについててくれ」

「い いけません!今お手伝いいたしま…」

「いや大丈夫だ それに初めて作るものだから勝手がわからないだろうし」

「しかし…」

メイドという仕事のせいか主人にはやらせてはいけないと考えているのだろう

「わかった それじゃ皿を準備してくれ さすがに俺も数十人の皿を準備するのはだるいからな」

「わかりました!」

と言いすぐに皿を出しに行った

どうやら彼女は何か仕事をしていないと落ちつかない性格のようだ

話をしているときより楽しそうに仕事をしてる

「よしできた!あっと…」

と、ここでこのメイドの名前がわからなくて困ってしまった

そんな俺の心をよんだのか

「アリナとお呼びくださいませ旦那様」

と笑顔で言ってくれた

「わかった 盛りつけるのを手伝ってくれないか?俺が先に盛りつけ方を見せるからそれを真似してくれ」

「わかりました!お任せください!」

いい従者を持ったものだ俺は


「こ これは一体…」

「よし みんな来たな」

「旦那様これはどうしたんですか?」

まあこの質問が来るよな…

「これは俺が前にいた世界で食べていた料理だ」

「はあ…」

「まあピンと来ないだろうから食べてみてくれ」

「じゃあ…」

「「「いただきます!」」」

メイドや使用人たちが日本食を食べ始めた

「美味しい…美味しいです!」

「なんだこれ!?旨すぎる!」

どうやら美味しく出来ていたようだ

「これはどうやって作るんですか!?」

「ん~秘密だ」

「えー!」

調味料が充実したら教える予定なのだが…


「「「ごちそうさまでした!」」」

日本食は受け入れてもらえそうだ

「旦那様 ごちそうさまでした」

「アリナか たまに作るから期待しててくれ」

「はい その時は教えてくださいね?」

「…はぁ わかった 次は俺に間に合うように早く起きろよ?」

「はい!よろしくお願いします!」

(少し使用人達のことを知らないとな せめて名前くらいは…)

アリナは察しが良かったからなんとかなったものの全員察しが良い訳ではないだろう

今回の事で身に染みてわかった

名前がわからなくては不便だし、なによりいかにメイドや使用人とはいえ失礼だろう

(どうにかみんなの名前を覚えよう…)

と密かに誓った俺であった


「さて…何から始めようか」

これから調味料(醤油や味噌)を作るのだが、─前に一度作ったことがある─

一人でやるため非常に手間がかかる

「どっちも豆を使うし、何より麹を使うからなぁ…」

そう 麹とは主にカビであるため湿度や室温が非常に重要になってくるのだが…

「ゴミひとつないこの家は厳しいか…」

メイドや使用人が隅々まで綺麗にしてくれるためカビはおろか塵ひとつ残らない

もちろんそんなところで麹が使えるわけがない

「仕方ない 魔法で部屋を作るか」

そう ないなら作れば良いじゃない

─マリーアントワネットかな─

と、いうわけでなんとか調味料作りが始まった


そんなこんなでガイルとの約束の三日後

「あ~…頭痛ぇ…」

俺は朝から頭痛に悩まされていた

主な理由はこうだ

先日麹の為の部屋を作った

→部屋の温度管理のためにニス(必要あるのかはしらん)を塗った

→臭いがヤバい(あの嫌いな人は吐きそうになるやつ)

→次の日に持ち越した

ということだ

「体調悪い訳じゃねぇのに吐きそうだ…」

ぶつぶつ言いながら着替えをする

その時

ガチャ…

「旦那様 朝食ができあがぁぁぁぁぁ!」

─語尾がおかしいのは俺がパンいちだからだろう─

「部屋に入るときはいい加減ノックしろって何度もいってるだろうがァ!このど阿呆メイドォ!」

「ももも申し訳ございません!」

この朝っぱらからやらかしてくれたメイドはミリア

俺が名前を覚えている数少ないメイドの一人なんだが…

「はぁ…もう良いぞ」

「はわわ…すいません」

「ミリア…お前には今日俺の手伝いをしてもらう」

「へっ?手伝い…ですか?」

こいつはバカだが…仕事は何をやらせても一流にうまい

だから今日の商売にこいつを連れていって少しでも楽…じゃなくて早く客を回そうと考えていた

「…なんか失礼なこと考えませんでした?旦那様」

「そんなことない…ぞ?」

「…わかりました 朝食が出来ているので早く行きますよ?」

バカのくせに勘のいいことだ…


「じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃいませ!どうかお気をつけて!」

大勢の使用人達に見送られて俺たちは出発した

しかしこの時の俺は知らなかった

出発した後の街に何が起きたのかは…

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