第八話;僕の覚悟!
「僕さ、真衣のこと大好きだよ。でもさ、僕が従妹としてみちゃうんだよ。
凄く可愛くてとても大切な従妹だって。だから出来ない。ごめん。」
「でも私はみいなちゃんのこと本気で好きだよ。だから私が買ってくる。覚悟決めてるって言う証拠に。」
真衣が薬局の中に入って行った。そして紙袋に入った四角い箱を持ってきた。
「私はみいなちゃんにしっかりと自分の覚悟を見せた真衣ちゃんは本当にえらいと思うわ!
みいなちゃん、あんたはどう思ってるの!
あそこまで女の子が覚悟を決めて、あんたに見せた。みいなちゃんはどうするの!
ちゃんとそう言うとこは自分で決めや!」
僕はどうしたらいいのだろう。
真衣の本当の気持ちを、真衣の覚悟を僕に見せた。
僕は、真衣のように覚悟が決まらない。
女みてえなやつだな!そうおもうだろう。
そうだ。僕は男の癖にこういうとき、どうしたらいいのかわからない。
僕は真衣のことが大好きだ。本当に凄く可愛くって笑顔も凄く可愛くて。
でも僕にとって本当に大切な従妹としてとしか真衣を見ていない。
従妹でとしか真衣をみていないんだよ・・・。
僕は夕ご飯を食べた。
僕の目の前には真衣がご飯を食べている。
ちらっと真衣をみる。
真衣は無口でご飯を食べている。
(今夜・・・。)
僕はその答えを出さなくてはいけないのだろうか。
僕に対して本当に素直な心で好きと言ってくれていた真衣。
「大好きだよ。」「うんとね、全部!」
真衣の言葉が僕の脳裏を横切る。
真衣。僕だって真衣の事、大好きだよ。
僕の心は決まっていた。でも・・・。
本当に従妹でなかったらどんなに良かったのだろう。
そしたら、僕は真衣のことを本気で愛し合えた。
真衣の事を本当に愛することができたのに。
従妹でなかったら・・・。
「みいなちゃん、どこか具合でも悪いの?全然ご飯を食べてないじゃないの。」
母の言葉がした。
「何処も悪くないよ。考え事をしてた。」
「何か悩み事があるの?」
僕はちらっと姉さんを見た。
姉さんは黙って食事をしていた。
「大丈夫、今夜中にちゃんとしっかりと答えをだすから。」
真衣の箸が止まった。
真衣の不安そうな顔が僕には見えた。
「今夜中に決めるって?」母が言うと、
「お母さんはいいから!みいなちゃんが自分で考えるって言ってるんだからほうっておきな!」
姉さんの一言で母はそれ以上言うことは無かった。
ご飯を食べ終わって、僕と真衣と姉さんは居間に行った。
「真衣ちゃん、これは遊びじゃない。本当に覚悟を決めたのか。お姉さんに教えてくれる?」
真衣はだまって考えていた。
そして、真衣はしっかりとうなずいた。
「お姉さんは何も反対はしない。逆に嬉しいよ。
本当に妹が出来るならね。でも真衣ちゃん自身の事だからね。ちゃんと決めなさい。」
「うん、お姉さん。判ってる。でもね。本当にみいなちゃんのことが本当に大好きなの・・・。」
「みいなちゃん、今の言葉、真衣ちゃんの本当の心だからね。しっかりと受け止める気はある?」
僕は目を瞑りおおきく深呼吸をして目を開けた。
そして心に決めて僕の本心を姉さんに言った。
「僕も真衣の事が大好きだよ。本当に凄く可愛いし、真衣の気持ちが本当に嬉しいと思う。」
「それなら、みいなちゃんも決めたんだね。」
僕の心はまだ決めかねていた。
「真衣はなんで従妹なんだよ・・・。」
僕は心の奥から言葉が出た。
本気で辛かった。本当に苦しかった。
「従妹であろうとなかろうと、人が人を好きになるってこれは素晴らしい事なんだよ。みいな。」
僕には人を好きになるという事がとても苦しくて辛く感じた。
「もうひとつ、みいなちゃんに言っておくことがある。真衣ちゃんはどういう関係か知ってる?」
「真衣の関係ってお母さんの姉さんの娘じゃない?」
「それは違う。母の妹の娘。恵子おばさんの娘だよ。」
恵子おばさん。僕が小さい時に叔母さんの家に行き、僕を育ててくれた母のような存在の人。
しかし中学二年の時に僕は自分の実の母のところに戻り、こっちの中学に転校した。
「ちょっとまって!僕が恵子おばさんのところに居たとき、真衣は居なかったよ。」
「私はその時にお母さんのお姉さんのところに行っていたの。」真衣が言った。
「だから、みいなちゃんは真衣ちゃんのことをお母さんのお姉さんの子供だと思っていたわけ。」
真衣が恵子おばさんの娘・・・。
それは僕はすごく重たくのしかかってきた。
「みいなちゃんにはちゃんと真実を知ってから真衣ちゃんとのこと考えて欲しかったから言った。」
お姉さんは僕の目をしっかりとみて語った。
「だからみいなちゃんにとって、真衣ちゃんはただの従妹というわけじゃないの。
みいなちゃんを育てた養親の実の娘を好きになったの。
このことをしっかりと頭に入れておきなさい。」
お姉さんの言葉がさらに僕を苦しめた。
「真衣ちゃん、みいなちゃんとのことは本気とおもって、
真衣ちゃん自身の覚悟が決まってるとおもって本当にいいのね。」
「はい。私は大丈夫です。」
「みいなちゃん、本当にあなた次第だからね。
後悔だけは絶対にしないようにちゃんと自分で考えなさい。」
「真衣ちゃん、先にお風呂に入ってきなさい。」
「はい。お姉さん、行ってきます。」
真衣が僕の顔を見て心配そうな顔をしてお風呂に入って行った。
「みいなちゃん、あなたの気持ちというか本音を教えてくれる?」
「ただの従妹じゃない、僕の養親の実の娘って本当のことなの?」
「事実だよ。」
僕はその事実を受け止めるしかなかった。
「でもね。みいなちゃん、従妹とかそう言うものは関係ないの。
みいなちゃんの本当の気持ちが凄く大切な事なの。
みいなちゃんが真衣ちゃん自身のことを本当にどう想っているのか。それだけなんだよ。
従妹だからって恋愛をしてはいけないってことは無いの。
男女の恋愛ってそう言うもので決めちゃいけないとおもうの。
真衣ちゃんのことが本当に好きなら覚悟を決めなさい。
駄目なら無理です。ごめんなさい。と真衣ちゃんにはっきりといいなさい。」
「お姉ちゃん、ありがとう。僕はしっかりとどうするか決めたよ。」
「その選択でみいなちゃんは絶対に後悔しない?」
「うん、絶対に後悔しない。お姉ちゃんありがとう。」
「わかった。しっかりと頑張って来なさい。」
お姉ちゃんとの話がすんだところで真衣がお風呂から出てきた。
「みいなちゃん、お風呂に入ってきな。」
僕はお風呂に入って行った。
髪を洗い、体を洗い、お風呂に浸かった。
(僕は真衣の事は本気で大好きだ。でも、恵子おばさんの娘・・・。)
僕は本気で考えていた。これから真衣に言う言葉。
そしてその後にどうなるかも考えてからお風呂を出た。
真衣はもう二階に行っているようだった。
僕は髪を乾かして二階に行った。
お姉さんが僕をじっと見ていた。
僕は部屋のドアを開けて部屋の中に入った。
真衣はベッドの上で正座をしていた。
僕の言葉をじっと待っているようだった。
僕もベッドの上に乗り、真衣の前に正座して座った。
「あのな真衣。」
僕が言うと真衣はびくっとした。
「僕は真衣のこと本当に好きだよ。とっても大好きだよ。でもね・・・。」
真衣は次の言葉が何を言うか予想して肩を落とした。
「真衣が恵子おばさんの娘って聞いて僕には無理だと思った。」
真衣は目を閉じて、こみ上げてくる感情を抑えようとしていた。
「真衣、これからは従妹としての真衣じゃなくて、僕の真衣でいて欲しい。
僕も真衣の事、本当に大好きだよ。真衣、愛してる。」
僕は真衣を強く抱きしめた。
真衣は僕の言葉に心の奥から嬉しさでいっぱいになっていった。
「みいなちゃん、私もみいなちゃんのこと愛しています。」
真衣も僕を強く抱きしめた。
そして僕たちは、お互いの心を確かめるようにキスをしてベッドに横たわり、
僕たちは結びあった。本当の愛をお互いに感じあっていた。
僕は真衣の愛を感じていた。
そして真衣を優しく抱いた。