第十五話;3つのファンクラブ!
「生徒会主催クラブ、先生風紀委員連合クラブ。
そして僕達の生徒運動部連合クラブということさ。」
「相沢、それって非常にやばくないか?」
「第二のみいな事件は学校全体が戦場になる。」
僕達は3つの勢力を知ることとなった。
1;生徒会主催のみいなファンクラブ。
中学みいなファンクラブの元メンバー。
僕を生徒会に入れるように働きかけてすべての案を成立させようと企む勢力。
2;教師風紀委員連合みいなファンクラブ。
僕を指導していき、学校内の規範とさせ風紀を正そうとする勢力。
3;相沢がいる生徒運動部連合みいなファンクラブ。
中学の元みいなちゃんと元彼を守ろう会のメンバー。
すべての勢力から僕を守っていく勢力だ。
僕は今までこのファンクラブに何度か助けてもらってきた。
僕達が恐れているのは中学2年生の時に起きた『みいな事件』の再発だった。
『みいな事件。』
これは偶然に偶然が重なった出来事といってよい。
僕は中学二年生のときに実家。今僕が住んでいる家ですが引っ越してきました。
僕は小学校3年の時から真衣の実母である恵子おばさんのところで生活をしていた。
ちょうど同じ時期には真衣は母の姉である順子おばさんのところで生活をしていた。
僕は中学二年生のときに実家に戻ることになり、引越しをし、学校も地元の中学校に転校した。
その時のクラスメート、相沢誠人に出会った。僕と相沢は友達になった。
僕が中学二年生のとき地元の中学校に転校した。
そして学校ではなにやらすごいことに大騒ぎになった。
「凄い可愛い女の子が転校してきた。」
クラスだけでなく全校生徒のほとんどが僕を見に来ると言う騒ぎになっていった。
靴箱や机には毎日のように大量の手紙が入っており、
手紙は男女問わずファンレターやラブレターなどであった。
男子の手紙のほうが圧倒的に多かったのだが・・・。
毎日のようにこのようなことが続くことに僕はイライラが募っていき、
ついに僕はキレてしまった。
そしてその場で大きな声で、「僕は男だ!」とはっきり言った。
全校生徒にその言葉が伝わるのは凄く早かった。
僕はこのような毎日がこれで終ってくれると信じていた。
ところが、うわさと言うものはそんなに都合のいいようには行ってくれなかった。
どういうわけか「僕は男だ!」という言葉が、伝言ゲームのように違う言葉になっていき、
「僕には男がいる!」という彼氏います発言に変わっていたのである。
もちろんこの変わっていった発言も全校生徒に驚異的な速さで伝わり、
「みいなはやっぱり女性であり、しかも彼氏がいる。」という噂にさらに変わって行った。
もちろんこのさらに変わって行った噂も全校生徒に瞬時に伝わっていき、
結局は、『みいなは女性である。』という振り出しに戻ってしまった。
そこで僕が次に取った行動は、長かった髪を思い切り短く切った。
完全にこれで男にしか見えないだろう!と僕はそう考えたのであった。
しかし、これが全校生徒の衝撃となってしまった。
そして「みいなが彼氏にフラれた。」という噂が、いつしか知らぬ間に一気に広まったのである。
この噂は学校中で大パニックに陥ったわけであった。
そこに登場してきたのが、当時の「中学みいなファンクラブ」だった。
いつの間にか出来ていたみいなファンクラブは全学年を回り、
僕をフッた相手を探し始めたわけである。
もちろん僕は、自分は男だという証明するために髪を切った。それだけである。
そういうことであるからして、付き合っていた相手なぞ居るわけも無い。
だからいくら探してもフッた相手は絶対に見つかるわけが無いのである。
居るはずの無い僕をフッた相手を探している、中学みいなファンクラブは、
なかなかフッた相手を見つけだすことが出来ず、ついには男女問わずに暴力まがいの行動に出た。
僕をフッた相手を見つけるためには容赦なく暴力に走ったわけであった。
そこでそれに対抗する勢力が現れたのである、「みいなちゃんと元彼を守ろう会」である。
その戦いは全校生徒すべてを巻き込むという前代未聞の暴力事件になってしまい、
学校側もこれを止める手段も無く、警察が介入してくると言う事態にまで発展していった。
学校内での暴力事件として大きく新聞やニュース、雑誌などで取り上げられ、
学校側の対応の悪さ、学校のあり方などの報道番組も出来たくらいであった。
この事件で実際に多くの逮捕者が出てしまったがすぐに無事に解放された。
しかし、この事件は『みいな事件』として多くの人々の心の中に残こす結果となったわけである。
今度はこの公立城北第二高校で、第二のみいな事件が起きようとしているのであった。
しかも今度は3つのみいなファンクラブの間で起きようとしている。
完全に全校生徒だけでなく先生や学校も参加すると言う形になろうとしているのであった。
これを絶対に阻止しなくてはいけない。
そこでみいな事件の元になる僕、西尾みいなを守ろうとして、
生徒運動部連合が存在しているのである。
しかし、そこに真衣が転校してきて僕の彼女になった。
ここであきらめてくれれば問題は無いのだがそうは思ってはいない。
絶対に真衣にも危害が及ぶと睨んだ生徒運動部連合は僕と真衣をクラブに呼び寄せた。
そして僕に真衣を絶対に守り抜くことという使命を与えたのである。
もちろん僕も自分の彼女である真衣には絶対に手出しを出させる気は無い。
危害を加えたやつを絶対に許さないと言う覚悟を僕は決めているのであった。
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今日もいつものように朝に相沢と会う。
「今日も真衣ちゃんはお休みか?」
「体調不良でお休みだよ。」
「女の子の日というのはいつまで続くんだ?」
「なったことが無いからわからん。」
「みいなもおあずけ食らっていてさぞかし辛かろうに。」
「しかも僕は寝場所も奪われた。」
「なんだそれ?」
「真衣のことを考えるとゆっくりと休ませてあげたくて僕は居間のソファーで寝てる。」
「毎月それをするんか?」
「どうするかは真衣が良くなったら話し合う予定。」
「良い解決方法が見つかるといいな。」
「見つかってくれないとソファーは寝心地が悪いから、僕の精神状態にひびいてくる。」
「それはご愁傷様。」
「今日も村木はいないようだな。」
僕と相沢は普通に校門を通り過ぎた。
「教師風紀委員連合がこのままおとなしくしていてくれればいいけどな。」
そして僕は靴箱を開けた。
今日の手紙の数は16通。
「昨日より多くなってないか?」
「日に日に多くなってるような気がする。」
「これは絶対に中身を確認したほうがよさそうだな。」
僕と相沢は教室に入っていった。
溝口と西川が僕を見るなりこっちこっちをしていた。
僕と相沢は何事だろうと2人のところに行った。
「どうした?溝口、西川。」
「今日も真衣ちゃんは休み?」「真衣ちゃんの具合はどう?」
「まだ体調が良くないから今日もお休みだよ。」
「生徒会がなにか動いたみたいだよ。」「今、職員室に入っているよ。」
「生徒会が?なにかの用事で入っただけじゃないの?」
「生徒会長と副会長が入っていったんだけどさ。」「話をしてるのが村木先生なんだよね。」
「生徒会が生活指導と話をするって言うのもおかしいね。」
「せやろ?だからおかしいんだよね。」「それで水戸君が探りに入っていった。」
「水戸が?だから今いないのか。」
「生徒会ってさ風紀委員も一応生徒会じゃろ?」「あの二つがくっつくと言うことはないかな?」
「ありえない話じゃないよね。僕が生徒会に入れば生徒の模範とさせることも出来るし。」
「方向性が似てればファンクラブとして大きくできる可能性ありって言うわけか。」
「学校を真っ二つに二分する勢力図にだけはなって欲しくないね。」
水戸が教室に戻ってきた。
僕たちはいっせいに水戸を見た。
「水戸君どうやった?」「変な動きはみつかった?」
「村木が生徒会長の斉藤を呼びだして話が始まったみたいだったよ。」
「おかしいなぁ。」「あそこの勢力は凄く小さいはずなのにね。」
「実際の勢力そのものの調査がおかしかったんじゃないか?」
「もういっかい全部の勢力を再調査したほうがいいってことか。」
僕達はとにかく第二のみいな事件をおこさないように最新の注意を払わ無ければいけなかった。
もう一度、ずべての勢力を確認するために僕達はすぐさま調査を開始した。