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第十話;みいなファンクラブ!

「みいなちゃん、真衣はみいなちゃんのこと本当に愛しています。」

僕は真衣の言葉が本当に嬉しかった。

「真衣・・・。僕も真衣のこと本気で愛してるよ。ありがとう。」


朝の出来事があり、教室中・・・、というより学校内が騒がしくなっていた。

「みいなちゃんだ。あの横に居るのが彼女?」

「みいなちゃん、僕と言うものがありながら。」

学校に入るなり、「みいな」「みいな」と騒がしいのである。


「なんか学校中でみいなちゃんのこと言ってるよ?」

「いつものことだから真衣も放っておきな。」

「みいなちゃんっていつもこうなの?」

「慣れたくないけど、ある程度はもう慣れた。」

「なんか凄く怖いね・・・。」

「真衣は俺の(そば)から離れなきゃいいよ。絶対に守ったるから。」

「うん・・・わかった。みいなちゃん。」

真衣は僕の横をぴったりとくっついた。

そのたびに空気が変わるので真衣はちょっと離れる。


靴箱を開けるとドサッと手紙の山が落ちてきた。

「それなに?」

「ファンレターとかラブレター。全部男からだけどな・・・。」

「いつもこんなに入ってるの?」

「いつもは4~5枚かな。」

「今日は10枚以上あるよ?」

「ったく。これには僕は凄くうんざりしてる。」

「みいなちゃんって聞いてはいたけど凄くもてるんだね。」

「男にモテても何にもうれしくない。」


真衣は落ちていた手紙を拾っていた。

「それなら女性からの手紙だったらうれしいの?」

「女性からの手紙?なにそれ?」

真衣は2枚の手紙を僕に渡した。

「名前、書いてないじゃん。」

「でもそれ。女性からだよ?」

「よくわかるな。」


僕は真衣は教室に入って自分の席に着いた。


「おっす、水戸!」

「水戸って誰だよ。ってあれ?」

「何、言ってんだ?」

「このパターンだから先読みしていたのに、そう言うときだけ普通に来るのな。」

「今日は何も考えずに普通に名前を呼んでみた。」

「こういうときくらい違う名前で呼べよ!」

「意味わかんねえじゃん!」


「最近思うんだよ。みいな。」

「何を?」

「俺の出番、すっごく少なくねえか?いくら脇役だといっても相沢と比べると俺の出番がないんだよ!」

「そうだっけ?」

「みいな、よく思い出してみろよ。俺の最後の出演は第五話だ。今日は何話目だ?」

「相沢!水戸が今日は何話目か?だってさ。」

「今日?今日は十話目だが。それがどうかしたのか?」

「水戸が自分の出番がないってほざいてるんだよ。」

「そりゃそうだろう。水戸はキャラ設定がまだ決まってないからな。」

「だってさ。水戸。」

「キャラ設定をちゃんとさせてから書けよ!」

「水戸。ここで作者を怒らせたらいけんぞ。明日から引っ越されてるかも知れん。」

「もっと出番をください。僕にもっと出番おぉぉぉ!!!」


「水戸は放っておいてさ。相沢、これどう思う?」

僕は手紙の束を見せた。

「今日はいつもより多くねえか?」

「だろ?それでさ、真衣が言うには、この二通が女性かららしい。」

「女というのは同性のにおいというものを嗅ぎ分けるらしいからな。」

「そうなのか?」

「スマホの中のメールのにおいまで嗅ぎ分ける力があるらしいと聞く。」

「相沢、おまえよく知ってるな。経験者か?」

「俺が経験しとる訳なかろうが!」

「ここだけの話だが、この作者の・・・。」


「なんの話してるの?」

真衣が話しに入ってきた。

「この作者は俺達のすべての会話を聞いてるぞ。ここで真衣ちゃんをよこすとは。」

「相沢、その『作者ネタ』そろそろ僕もウザく感じてきた。」


「真衣がさ。この二通が女性だってわかったということを話してた。」

「うん、それ女性からの手紙だよ。あれ?これも女性からだ。」

全部で合計4通の女性と呼ばれる人の手紙が出てきた。


「他の手紙は?」

「他は男性からじゃない?わかんないけど。」

「この4通が女性からという根拠はなんだ?真衣。」

僕が聞くと相沢も前かがみになって、理由を聞く気満々だった。


「え?だってさ。どう考えても女性だもん。」

「だからその理由を聞きたいんじゃ!」


「ここに名前書いてあるやん。」

手紙の裏に名前が書いてあるのではなく、表の左上に名前が本当に小さく書いてあった。

「なるほど、裏に名前が書いてあると言う心理を逆手に取ったか。なかなかやるな。」

「相沢、余計なことに関心せんでいい・・・。」


「えっと。溝口芙美(ふみ)、西川智代。」

「なにぃ!みいな、お前は麻衣ちゃんだけでなく溝口や西川まで手にかけようっていうんか!」

「手にかけるって誤解を招くようなこと言うな!」


「西川さん?溝口さん?」

真衣がだれ?という感じで聞いた。

「真衣、同じクラスメートだ。怖い声だすな。」


「みぞぐちぃ~! にしかわぁ~!」

僕は2人を呼んだ。

「みいなちゃん、なに?」と西川

「ほーい、みいなちゃん♪」と溝口が来た。


「真衣、こっちが溝口芙美(ふみ)、それでこっちが西川智代。」

僕は簡単に紹介した。

「あ!こんにちは、私は西尾真衣といいます。」

「うん、知ってるよぉ。みいなちゃんの彼女の真衣さんだよね。」

「今日の朝の告白、すっごく熱くって私までドキドキしたもん。」

真衣は顔を赤くした。

「朝の節はどうも申し訳なく・・・。」

「真衣。言葉がおかしい。」

真衣は僕をキッと(にら)んだ。

「真衣の事知ってるなら、手紙よこすなよ。」

「その手紙は土曜日に一緒に買い物付き合ってくれてありがとうのお手紙だよ。」

「みいなちゃんすっごく可愛くって、すっごく楽しかったからお礼の手紙だよ。」

それなら普通に話せばいいじゃん。

「話してもいいなら話すけど、彼女が居る前でありがとうって言いにくいじゃん。」

「だから手紙を書いて渡そうね。って2人で決めたの。ありがとね。みいなちゃん。」

「ほいほい。こちらこそあんがとな。」

「それじゃね。」

「ばいば~い♪」

溝口と西川が自分の席に戻っていった。


「みいな、溝口と西川って、すごいシンクロ率だったな。」

「シンクロ率ってなんだよ。」

「いや、こっちの話だ。すまん、みいな。」


「みいなちゃん。あのさ、聞いていいかな。」

真衣がすごい怖い声で聞いてきた。

「なんでしょう。真衣ちゃん・・・。」

「土曜日にあの子達とデートしてたの?」

「いえ。百貨店に入ったら本屋さんのところでばったりと会いまして、

 買い物に付き合っただけです。」

「それって普通にデートって言わんの?」

「まったく下心もなく、デートと言うそのような大層なものでもなく、

 クラスメートに百貨店で出逢ったというだけです。」

「みいなちゃん。信じていいんだよね?」

「はい。おもいっきり信じていただきたく思います。」


「へぇ。真衣ちゃんすごいね、ここまで旦那を従わせるって。本当にお似合いじゃん。」

「他人事のように言うな。真衣はマジで怒らせたらいかん。」

「真衣ちゃんはみいなちゃんだけのものだからだよね? ね。真衣ちゃん。」

「はい♪みいなちゃんにはちゃんと首に縄を付けておきなさい。とお姉さんに言われたので。」

「お姉ちゃんは何を真衣に吹きこんどるんだ。」


「それならそこの2通は誰と誰だ?」

僕たちは残り2通の女性の手紙をみた。

「えっと名前は栗原めぐみと、もう一人は波多野美咲。だれだこれ?」

「みいな、知らんのか?」

「聞いたこともない。」

「みいなちゃん、ちゃんと説明をしてよね?」

「だから真衣も聞いておったろうが!誰かしらんのだ!」

「本当に?信じていい?」

「うん、本当にマジにしらん。」

「クラスとか書いてないか?」

「何処にも書いとらん・・・。」

「中身読め!」

「何で読むんだ?相沢。」

「凄く興味がある。」


僕は手紙を全部片付けた。

「なにしとるんじゃ!」

「手紙を片付けとるんや。」

「興味があると言っただろうが!」

「知らんわ!」

「みいなファンクラブの人だって。」

「真衣!いつの間に手紙を持っていったんだよ!」

「いまさっき相沢さんが渡してくれた。」

「あいざわ~!」

「いいやん、真衣ちゃんも気になっとったよな?」

「うん。すっごく気になっとったわ。ありがとう相沢さん。」

「いえいえ、どういたしまして。」

「どういたしましてってちゃうやろ!相沢はどっちの味方じゃ!」

「話が面白くなるほうの味方だ。」

「てめえは・・・。」


「それで真衣ちゃんなんて書いてある?」

「みいなファンクラブに来て欲しいってさ。」

「それじゃ行きましょう。」

「俺は行かん。」

「みいな、せっかくのファンクラブへの招待を断るちゅうのか?」

「行ったら行ったで絶対に何かが起きそうな気がする・・・。」

「でもこのまま放っておくわけにもいかんでしょ。中学2年のこと思い出してみい?」


僕はあの時のことを思い出していた。

「思い出したか?どうじゃ思い出したか?みいな。」

「わかったわ!行く、行くわ!」

「それでこそ、みいなちゃんだ。」


放課後、僕はみいなファンクラブの活動部屋に行った。

相沢と真衣を連れて・・・。

「ってなんでお前らもいるんじゃ!」

「おもしろそうだから。」

「みいなちゃんが俺のそばを離れるなと言ったから。」


僕は活動部屋の扉を開けた。

「みいなちゃん!真衣ちゃん!いらっしゃ~い!」

「なんで俺と真衣が来ると知ってたんだ?」

「俺がファンクラブのやつとっ捕まえて今日行くって言っといた。」

「相沢・・・。何を余計なことしとるんじゃ!」


部屋の前に椅子が二つ並んでいた。

そこに僕と真衣を座らせた。


「私がみいなファンクラブ会長の栗原めぐみです。」

「私がみいなファンクラブ副会長の波多野美咲で~す!」

いきなりの自己紹介でびっくりした。

「あえ?ファンクラブの会長と副会長?ってしかも女?」


「このファンクラブは、みいなちゃんのことが大好きで、

 みんなでみいなちゃんを守ろうという会です。」

「僕を守る会?どういうこと?」

「実はもう一つみいなちゃんのファンクラブがあるんですよ~。」

「そこのファンクラブは、みいなちゃんを奪おうという人たちが集まっているクラブです。」

「この学校にファンクラブが二つもあるの?」

真衣が驚いて聞いた。

「うーんと、実際には3つのファンクラブがありま~す!」

「三つ目のファンクラブの目的は?」

「よくわかっていません。」


「最近、みいなちゃんと真衣さんに危険が迫っているので、ファンクラブ全員で守っているんです。」

「あの時の真衣の危険を知らせた手紙のことか?」

「それは私たちが入れたの。ごめんね。」といって2人の女の子が出てきた。

「溝口と西川!おまえらもこのファンクラブの会員か!」

「もう一人、みいなを近くで守っている人物の存在も忘れちゃいけないぜ?」

「え?相沢さんも、このファンクラブの人だったんですか?」

「俺は中学の時から、みいなを守ってきた功労者だよ。真衣ちゃん。」


「それで危険が迫ってるって一体なんだよ。」

「みいな、考えてみ。みいなちゃんを自分のものにしようと思ったらどうする?」

僕は真衣の顔を見た。

「正解。まず彼女をどうにかしようとするだろうな。」

「それで真衣に危険が迫っていると。」

「百貨店で一人でいるときも、他のファンクラブの人たちが居たの。」

「それで一人でいた僕のところに溝口と西川が来たと。」

「でも常に僕と真衣を見張ってるって不可能だろ?」

「だからここに呼んだんだよ。みいな。」

すべてが一つにつながったという感じがした。


「みいな、おまえの周りに変な人は居ないか?」

「相沢以外にか?」

「おまえな!こっちは本気で話とるちゅうに!」

「あとは水戸くらいじゃねえか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「わかったよ!みんなで沈黙して答えないでくれ!ボケた俺がつらいやろが!」


「あ!そういえばみいなちゃんのことずっと見て居る人が居た!」

「真衣ちゃん、旦那のことをしっかりと守ってるな。みいな、真衣ちゃんに感謝しろよ。」

「真衣、そんな人いたっけ?」

「村木先生とあと数人の男子生徒がいた!」

「男子生徒?だれ?」

「ここに来たばかりの私にきくか?」


「生徒会メンバー。」

「はい???」

「生徒会メンバーが主体のみいなちゃんファンクラブ。」

「生徒会がなんで僕のことみてるん?」

「みいなちゃんのファンだから。」

「はい?どういう意味?」

「だから生徒会メンバーがみいなのこと好きで好きで、ファンクラブつくっとるちゅうとんのじゃ!」

「だからなんでか?っていうとんのじゃ!」


「おまえ生徒会メンバーを見たことあるか?」

「よく覚えてん。」

「中学の時のみいなファンクラブのメンバーだよ。」

「んな?!」

「それで私たちは再度、みいなちゃん事件が起きないように、このファンクラブを作ったのです。」

「それで僕と真衣を見守っていたと。」

「ご名答、そういうこと。」

「それで俺は何すればいいんだ。」

「みいな、おまえは真衣ちゃんをしっかりと守ってやれ。」

「もちろん守るさ。絶対にな。」


「それでいい。今はな。」

「他に何か起きると?」

「起きなきゃ起きないほうがいい。当たり前のことだがな。」


僕と真衣は話を終えて部屋から出た。

「みいなちゃん、どうするの?」

「絶対に真衣を守ってやる。絶対に真衣には手出しを出させねえ。」

「うん、ありがと。みいなちゃん。」


僕と真衣は家に帰った。


「それで俺の出番は?作者さ~ん!もっと出番をプリーズ!」

水戸が教室で嘆いていた。



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