もぐらくんの子供の頃の話
「もぐらくんの子供の頃の話」
もぐらくんは、宝物を並べるのが好きです。
いつも、テーブルに順番に宝物を並べて遊んでいます。
一番右に、一番大切な宝物を置きます。
そして、右から大切な物順に宝物をテーブルに並べていました。
もぐらくんは、たくさん宝物を集めるのが好きです。
外で遊んでいる時に見つけてきた、もぐらくんの宝物はドンドンと増えていきました。
新しい宝物を見つけるたびに、一番右に置く宝物は古いものから新しいものに変わっていきます。
古くなった宝物は、ドンドン右側から左側に順番に押されていきます。
そして、だんだんと左側の順番になるのでした。
ある日、もぐらくんはいつものように宝物を並べて遊んでいました。
そして、あることに気付きました。
もぐらくんの宝物が減っているではありませんか。
それは、ドンドンと左の順番になったものから無くなっていきました。
不思議そうにもぐらくんは首を傾けます。
もぐらくんは、お母さんに聞きます。
「お母さん。ぼくの宝物を知らない?」
でも、お母さんは「知らないよ。」と言います。
もぐらくんは、お父さんに聞きます。
「お父さん。ぼくの宝物を知らない?」
でも、お父さんも「知らないよ。」と言います。
誰に聞いても知らないと言います。
もぐらくんは、やっぱり不思議でなりません。
そして、順番がドンドン下がり左に追いやられていた宝物が、もう無くなったことで、とても大切に思えて、もぐらくんは悲しくなってしまいました。
悲しくなったもぐらくんは、うつむきながらワンワンと泣き出してしまいます。
そして、うつむいている時に目を開けると、そこには無くした宝物たちがたくさんありました。
宝物はドンドン左に追いやられて、テーブルから落ちていただけでした。
もぐらくんは、喜んで、下に落ちていた宝物たちを、また右端から順番に並べました。
そして、左側の宝物が今度はテーブルから落ちないように目を離さないように並べました。
もぐらくんは、全部の宝物を並べてとても満足気です。
しばらくすると、お母さんの声が聞こえてきました。
「もぐらくん。ごはんだから片付けなさーい。」
もぐらくんは「はーい。」と返事をしました。
そして、部屋の一番右端にある台所にいつもいるお母さんにニコニコしながら駆け寄っていきました。