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閑話 日本転移後の地球

 本編は頭を抱えつつもゆっくりと書いています。

 見切り発車なので設定が矛盾だらけ、ストーリーも破綻していますけど、なーにクリスマスまでには終わるさ。

 釜山港、韓国最大にして世界有数の規模を誇る巨大な港湾はパンクしていた。

 米本土から続々と届く軍需物資をはじめ、世界各国からの支援物資の山が釜山港を埋め尽くしていた。

 かつて日本があったはずの場所は深い海が広がり、まるで日本など最初からなかったかのように、世界中が共同幻想を抱いていたか、陰謀論者の言う世界を陰から操る謎の組織が作り出した仮想の国家と言われても納得しかねない光景だ。


 日本が消えて以来、韓国や米国、中国、ロシアといった周辺国に限らず、世界各国は第三次世界大戦の危機を迎えていた。

 米大統領はキューバミサイル危機以来となるDEFCON2を米全軍に発令して、極東を中心にアジア全域、中東、オセアニア、欧州、米州、アフリカ、世界中で有事に備えていた。

 各国は日本に対する無制限の支援を約束し、続々と救援隊(・・・)を派遣しつつ、国連では満場一致での無制限の日本支援を求め、各国に軍事的な緊張を助長する行為を戒める決議案が可決されたりと各国は出来る限りこの危機を共に乗り切ろうという空気を作る努力を重ねている。

 だが、遠く離れた欧州でも予備役が招集され、軍隊がいざという事態に備えるなど、爆発物で満載の火薬庫内で花火大会をしているのが世界が今の状況だった。

 米軍は空母を各地から急行させて、生存者の捜索と救助、事態把握と究明に乗り出していたが、日本周辺で航行中の旅客機や船での二次被害による被害者以外に、今のところ日本の生存者の発見や救助は皆無であった。

 空母どころか国ごと消えるという事態に、米国上層部、ホワイトハウスやペンタゴンで同じ事態が再び発生したら?という疑念に駆られて、急行させた空母などの軍艦の多くを日本や日本領海から離れた位置に待機させていることも生存者の捜索と救助、事態把握と究明を妨害となっている。

 それに、米軍は日本支援に派遣していた艦船や軍用機、兵士を韓国防衛や欧州に戻す必要が出たことや派遣中の米軍も中露への睨みに割くなどで日本での救助に動員できる実動員数は大きく減っている。

 中国は日本支援(・・・・)を錦の旗に空母や原潜を太平洋に進出させ、日本があった位置よりも太平洋側に恒久的な拠点確保に向けて動き出していた。

 ロシアも中国や米軍の動きに連動しつつも、日本どころか北方領土まで失い、オホーツク海の聖域を失うという軍事的な危機に直面している分、より直接的な動きを見せていた。

 欧州方面でもロシア軍が動員するなど対岸の火事と感じていた欧州を当事国に感じさせる要因の一つとなっている。

 韓国防衛の頼みの綱だった米軍が後方拠点となる日本を失うという事態に、朝鮮半島では北朝鮮が軍隊を動員して南下の準備を始めたことで、韓国も予備役を動員して南下を阻止しようとしていた。米軍は韓国に増援と大量の軍需物資を送るが、当然のように中露もこの動きに呼応して軍隊を朝鮮半島周辺で動員していた。

 日本が消えるという特大の状況に、それに対応しようとして、さらなる問題を引き起こし、その対応がさらに問題を起こすという負の連鎖が引き起こされていた。


 経済面では日本国内に工業を置く日本企業や外国企業からの出荷が途絶え、円や日本国債、株価は暴落していた。これが日本円以外の米ドルや人民元、ルーブルといった外国通貨や外国国債が日本との関係の深さに比例して被害を受け、日本と直接取引していない企業も大きな悪影響を受けて株価を大きく下げている。

 サブプライムローンを大きく超えて、世界恐慌をも凌ぐ様相も見えつつあり、経済的な混乱が軍事的な緊張を加速させている。

 外国が保有中の日本の資産も問題だが、日本政府や日本企業、日本人が保有している外国資産も不安要因となっている。

 中国の太平洋進出を阻む壁、アジア各国の交通の要所、極東ロシアの喉元に突き刺さる棘といった表現ができる位置にいた世界第三位の経済大国の大国にして、米軍の戦略的な要所となっていた日本が消えたらどうなるかが今の世界だ。


 当面は台湾問題を棚上げにすることで米中が合意に達したのが今のところ唯一に近い良いニュースだ。

 米軍を台湾に派兵しないし、今以上の軍事的支援もしない、中国も台湾に対する軍事的行動や圧力を加えない。

 中国海軍は太平洋進出を阻んでいた壁がなくなり、念願の太平洋進出に成功して、ワシントンがこれ以上空母を失うことを恐れたことで、日本とその周辺への進出でも米軍よりも優位に立っていた。

 中国軍はこの勢いに乗ってこれ以上の功績を求めたが、北京は台湾への介入は今のこの状況だと第三次世界大戦への引き金になりかねないと最低限の理性が働き、戦争回避に向けた努力が実を結んだ。

 日本を失い、北朝鮮は南下の兆しを見せ、日本の代わりに生まれた海では中国海軍が幅を利かせている中、台湾に軍事行動を取れば、空母を大切にしているワシントンもそれ相応の覚悟で挑んでくる。

 米露中はいずれも第三次世界大戦を今は望んではいない。

 すでに太平洋進出を達成して、韓国に向かう米軍の輸送船も中国海軍の監視を受けているという特大の利益を享受したのだから、これ以上危ない橋は渡る必要は無いと考え、すでに得た利益を確定するのに注力するのが中国の方針となっていた。


 米太平洋軍は拠点となるハワイ、グアム、オーストラリアに空母を待機させ、中国海軍の東進を許していた。

 韓国には米陸軍を中心に各国軍の増援が続々と集まっていたが、敵に近すぎる立地から空母は韓国から離れるなどの米軍の後退が感じられた。

 米国政府もアジア圏での米軍の影響力の減退と中国の躍進に危機感を募らせ、太平洋軍に空母を極東に派遣して米軍の存在感を見せつけるように大統領からの命令が下された。

 親善訪問中で無事だった海上自衛隊の護衛艦とともに日本領海からの無害ではない通行を止めさせ、日米安保を根拠法にした日本の主権の維持への協力を目的に掲げていた。




----------第3の世界線----------




 全長458.45m。世界最大の船ノック・ネヴィスの全長だ。

 世界最大の軍艦であるジェラルド・R・フォード級航空母艦でも333m、世界最大の戦艦である大和型戦艦が263.4m、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルディングの443.2mよりも長いのだからその巨大さがよく分かる。

 では、東京スカイツリー634mよりも長い生物は何と表現できるだろうか。

 かつて日本があった位置に生まれた海の深くから全長およそ1㎞の巨大生物が猛スピードで浮上し、海上で航行中の052D型駆逐艦『廈門』を一口で両断して、海中に引きずり込んしまった。

 『廈門』は誰一人脱出できず、何が起きたのかも分からないまま巨大生物の養分となった。

 通信が取れなくなった『廈門』の捜索に向かった中国海軍が発見したのは船の残骸だけで生存者は皆無だった。

 中国海軍からしてみれば最新鋭のミサイル駆逐艦が一瞬にして失われたのだから、彼らの驚きとパニックは察するに余り有るが、混乱の次は原因と犯人捜しだ。

 まず、事故と事件の両面から捜査が始まった。

 今の日本とその周辺は米露中の艦船がそこら中に顔を突き合わせて警戒しあっている一触即発の状況だ。

 『廈門』は連絡したり、脱出する間も無いほどの一瞬に沈んだ。

 7000トンの船体を一瞬にして沈める、それも防空艦としてフェイズドアレイレーダーを搭載された船相手に、だ。

 当然、故意ならば容疑者リストの筆頭は米海軍、次点がロシア海軍、続いて、韓国、台湾と続く。

 疑われている側も事故の状況と己が能力、さらに相手国との関係から自分たちが疑われていることを理解して、疑いが確信に変わった場合に備える。

 その備えに中国海軍も疑いを深めていき、それが相手国にさらなる警戒を招くという連鎖の中、かねてより韓国派兵が報じられていた米空母CVN-75 USS Harry S. Trumanを旗艦とする空母打撃群が日本領海に入った。

 これに中国海軍も001A型航空母艦や多数の軍艦で出迎え、ロシア軍も両軍の動きを把握できる位置で艦艇を張り付かせていた。

 中露以外の各国も日本への救助隊(・・・)という名目で派遣中の部隊で監視していた。


 そんな注目を集めていた中、水中より現れた巨大な影が空母Harry S. Trumanを空に飛ばして、ひっくり返した。

 原子力空母だけあり一撃で真っ二つということは避けられたが、上下反転して一目で大破したと分かる見た目とそんなことをして見せた巨大生物にこの場に集った全ての勢力は言葉を失っていた。

 空母を護衛していた僚艦は反転した空母に再び噛みつき、海に浮かぶ乗務員ごと海中に引きずり込もうとされるに至って、ようやく現実を受け入れて反撃を開始した。

 中国海軍やロシア海軍は目の前で世界最強だと自他共に認められた米空母打撃群が餌にされているというフィクションみたいな光景に我を忘れていたが、米軍が反撃して巨大生物の注意を引いている隙に周囲にいた艦艇はできる限り遠くに退避を始めた。


 米海軍は空母と多数の艦艇を失いつつも巨大生物をどうにか退かせることには成功し、残存艦艇で周囲に浮かんでいる生存者の救助を行った後、ハワイまで帰投していった。

 5,000人を超える乗員の空母を含めた複数の艦艇が沈んだにも関わらず、残存艦艇に収納できる程度の生存者しかいなかった。

 巨大生物は生きの良い餌から受けた思わぬ反撃に食事を途中で切り止めて、手頃な大きさで食いごたえがありそうな別の餌に狙いを変えた。

 複数国に跨る大規模な損害に、その後の世界的な混乱で正確な被害規模はよく分からずじまいだったが、この時を境にロシア太平洋艦隊が書類上の存在となり、中国の空母が洋上に姿を見せることは二度となくなった。


 その後も全長1kmの巨大生物はその巨体に見合った暴威を世界に見せつけた。

 ハワイに現れた際には、大統領からハワイ接近阻止を厳命された米太陽艦隊が打ち破られるも、ハワイの要塞砲と記念館となっていたミズーリまで引っ張り出した米陸海空軍による投入可能な全力の迎撃で空母Harry S. Trumanの敵討ちに成功した。

 しかし、米インド太平洋軍は空母を含めた在日米軍を失い、ハワイ防衛で残存の太平洋艦隊の主力艦艇も漁礁となり、陸空軍も全滅判定と相成った。

 軍だけでなくハワイ州はホノルル港、真珠湾は全壊、州都ホノルルも復興の見通しが立たないほどの大損害を被った。

 巨大生物ほどではないが数百メートルはある巨大イカなどの巨大生物とは別種の生物が見つかり、当初は日本周辺を中心に太平洋に限定されていた生息域は世界中に拡大し、各国の海で脅威となっていった。

 それどころか、1km級の超巨大生物も一匹だけでは無いと分かった。

 米国もシーレーンを脅かされているのが太平洋だけでなく七つの海にまで広がり、米本土の海岸部でも巨大生物が目撃され始めたことで、本土でも襲撃リスクが高まり防衛の必要に迫られていた。

 これらの要因から、米政府はハワイから全住民の強制的な退去を命令し、軍事施設を含めた全政府機関も閉鎖して本土への移転が実行された。

 ハワイ防衛にこそ成功したが、ハワイの放棄という苦渋の決断を強いられた。

 米本土でも海岸部から住民がより安全な内陸部へと移住する動きがあり、ニューヨーク、カリフォルニア、ロサンゼルスといった大都市でも都市人口の急速な減少が止まらなかった。

 この動きはハワイだけでなく、各地の在外米軍でも本土帰還が相次ぎ、空輸困難な重装備類は現地に残して無償提供となった。

 在欧米軍などは維持され、米国は世界最大の軍事力を世界に示しているが、かつての世界規模の展開能力は失われた。


 米国ですら海上貿易路の防衛を放棄した現状、世界は陸上貿易のみが世界貿易となり、大陸間の貿易は事実上失われた。

 国際情勢、世界経済、各国の政治や技術水準は数世紀分の後退を余儀なくされ、中世さながらの自給自足の現物取引に回帰する国家も現れた。

ロシア「東洋の雰囲気をデリバリー中。東洋から遠く離れたあなたも我が身のことのように感じれること間違いなしの逸品です。でもお高いんでしょ?というお声に応えて今ならタダで、東洋の雰囲気が手に入るチャンスです。しかも、今なら送料無料で、即日配達、世界中に配達可能。でもロシア語は喋れない、わざわざ注文するのはだるい、今は欲しくない、という我儘にもお応えして注文しなくても無料でお届けするサービスも実施中です。ご注文は直接ロシア政府まで、ご注文頂けなくてもタダでこちらから迅速丁寧にロシア軍があなたのお国までお送りいたします。(ただし、受け取り拒否は許さない。)」

 なお、アジア方面を中心に中国も同様の通信販売を実施中。

 米国はそんな両国の真摯な商売に共感して世界中で返礼を届けている模様。

 仮に、地球に戻れたとしても綱渡りのような外交にしくじれば、復興どころか、この混乱の全責任を取らされかねない立ち位置になるし、日本にとって帰還が(外交的に)難しい状況になってしまった。


 巨大生物に対抗して世界中が一致団結して、巨大ロボットを作って巨大生物と肉弾戦、超ド級戦艦が巨大生物相手に至近距離での砲撃をしている世界という第3の世界線もありますと言いたい。

 本編にはあんな主食は米空母打撃群、おやつは戦略原潜です、米強襲揚陸艦はジャンクフードと言いたそうなつよーい生物はいません。

 大型水上戦闘艦が一口で食べられる巨大水生生物がいる異世界、ただし、現地の技術水準は産業革命以前で、日本は島国のまま、大陸とは最短でも千キロは海で離れているとする。

 こんな異世界に送られたら糞設定だと怒られて、日本衰退待ったなしです。

 だから、後半の第三の世界線設定は本編とは関係のないIF設定です。

 しかし、こんな世界観でも人類はなんだかんだと順応して生き残るのだからしぶとい。

 ちなみに、この話を書いているときはとある洋画を見た後です。

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