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第3話

二日に一回が守れず、更新が遅れるかもしれません。

プロットも無しにスタートしたので、ここからどう進めるかで悩んでいます。


あらすじで書いた主人公の存在を忘れていたことを前回の投降をした後に思い出しました。

あらすじに登場した主人公が最後まで登場しないのは流石に駄目だよね。

 ラヴィンフォートに逃げ延びたマダカス一行だったが、敵に包囲されても助かった神に愛された信徒たちという宣伝で逃げたことを誤魔化したが、その日のうちに、モスフォード候から労いの言葉と共に療養という名目で領外の寂れた港町に飛ばされた。

「血に飢えた野蛮人めが、人間族が一致団結せねばならぬこの一大事に、我らを追い出すことを優先するとは、耄碌しおったか」

 カベン至高教大聖堂でマダカスがモスフォードへの怨みを吐き捨てていた。マダカスが左遷されてから毎日のことで、出世の目も無くなったことから高位神官たちは誰一人気にも留めていなかった。

 カベンには療養の名目でやってきたが、モスフォードが至高教総本部に働きかけ、寂れていたが、古くからあった神殿に神に愛された信徒たちが赴任すれば、神の威光が大海の向こうにまで届くという名目で正式な辞令を出させ、カベン大聖堂への改名とストロングフォート大聖堂以上の格式に格上げされたことで栄転ということになった。

 名目では栄転だが、カベンには昔から常駐の神官はおらず、大聖堂とは名ばかりの青空聖堂であり、神官用の雨風を防げるだけの宿泊施設はあったが、住むための宿舎は無かった。

 神官の身の回りの雑事をこなす小僧もいない、高位神官だけしかいないという前代未聞の大聖堂であった。


 モスフォードがマダカスらにここまでの仕打ちをしたのには、ストロングフォートから逃げ出したことも理由であったが、もっと根本的な理由があった。

 至高教には大きく三つの派閥があった。

 マダカスやハイドロが参加しているのが至高教内でも最大派閥であり、多種族は人間族が栄えるために神が地上に遣わせた道具である、というのが教義であり、融和派と呼ばれた。

 しかし、モスフォードが参加する派閥の教義は、多種族は神が人間族のために作ったこの世界を妬み、奪おうとしている盗人である、一人も生かしてはならない、という考えであった。この派閥は原理派と呼ばれ、モスフォードは原理派至高教の熱心な信徒であった。

 三つ目が異端派といい、人間族も異種族も対等であり、神がこの世界を人間族のために作った後に、人間族を補完して世界の調和を整えるために異種族を作り、両者合わせて人類という枠組みにした、というのが教義であった。当然、融和派からも、原理派からも敵対視され、発見次第殺すべし、という扱いであった。

 モスフォードはこの機会に融和派の大物マダカスの排除を図り、融和派内にも大物ゆえに敵が多かったマダカスは、モスフォードからの多額の運動費もあって左遷となったのであった。

 特にモスフォードは名将と名高く、人間族の戦線がラヴィンフォートまで後退した今となっては替えの利かない最重要人物であった。そんな人物からの提案とあっては至高教総本部も無視は出来なかった。


 将来の教皇とまで期待されたマダカスはカベンで老い衰えてその生を終えると誰もが思っていた。

 この日、轟音を響かせて高速で飛来する物体がカベンの真上を通り過ぎなければ、そうなっていたのは間違いなかった。

 いつものようにモスフォードと原理派、モスフォードに屈した総本部、裏切った融和派、などなど思いつく限りの存在に呪詛を唱えていたマダカスのもとに、部下が駆け寄ってきた。

「マダカス様、有翼人どもが攻めてまいりました」

 マダカスは慌てる部下たちとともに胡乱げな目で応えた。

「有翼人どもがどうやって攻めてくるんだ。あいつらの住処はここらには無いのだぞ。攻めてきたとしてもどうしてこんな辺鄙な場所を攻める。ワシを謀るならもっとマシな嘘をつけ」

 部下を叱責して、飲みかけのワインを杯ごと投げつける。

 有翼人というのは人並みかそれ以上の大きさの鳥に手足を付けて、人語を喋れるくらい脳みそを増やした種族であった。空を飛べるという強大なアドバンテージを持っていながら、人間族にさえ負け続け、人間族の勢力範囲からは駆逐済みであった。このため有翼人は奴隷くらいでしか見る機会は無い種族であった。

 部下を叱り付けて多少は落ち着きを取り戻したマダカスの耳に外から異音が聞こえてきた。

 カベン大聖堂の壁は穴だらけであり、扉と壁のひびの区別すら付かない有様であった。マダカスは聞こえてきた方角の壁のひびから顔を出して、外を見渡す。

 大海に面した方角であったが、海はいつもと変わらず、特に変化は無かった。しかし、異音は海の方角から聞こえていた。困惑しているマダカスにハイロドが近づき、異音の正体を教える。

「空の上です」

 その言葉と共に手している単眼鏡をマダカスに手渡す。手渡された単眼鏡を覗き、異音の発生源を見つける。

「有翼人ではないな。何だあれは?」

 かつては飛ぶ鳥を落とす権勢を誇り、次期教皇筆頭候補とまで目されたマダカスである。己の知識にない未知と遭遇しても慌てず、己を取り戻していた。

「ドワーフの新技術という可能性も考えましたが」

 そう言いつつも首を横に振るハイドロにマダカスも以前のように覇気を感じさせる物言いで応じる。

「当たり前だ。モグラどもが空を飛ぶわけ無かろう。それにアレは雲の上を飛んでおる。ハイエルフが隠し持っている邪悪な代物でも無理であろう」

「雲の上を飛ぶなど、大トカゲの畜生どもでも年月を重ねた強者か、遥かなる天空におわす神にしか無理な御業です」

 マダカスはハイドロの意見を聞きつつ、とあることに気付いで叫ぶのだった。

「アレはどこに向かっておる?急いで地図と方位計を持って来い」

 マダカスの命令で弾かれたように動き出して、急いで地図と方位計、筆記用具、机の準備を整える。

「アレの位置は単眼鏡では方角しか掴めん。ハイドロ、お前はアレを監視しつつ、方角を逐次教えろ」

 地図を広げ、見えた方角と現在位置を書き込んでいく。

「こっちに近づいているように見えますが、見えている方角に変化はありません」

 ハイドロの言葉で、逐次地図に情報を書いていく。

「アレが何であれ、我らにとっては至高神からのお導きである。我らにここで燻らず、新たなる使命を授けてくださる。誰ぞ、早馬の準備と旅支度を整えろ。総本部の裏切り者どもに至高神の御意思を邪魔させてはならんぞ」

 マダカスの宣言で誰もが理解した。飛来する物体が何だったとしても、都に舞い戻り、出世コースに戻れる千載一遇のチャンスであることを理解した。理解してしまえば、誰もが疑問や異議を口に出さず、率先してマダカスの命令に応え、動いていく。


「うん?」

「何事だ、アレに何かあったのか?」

 ハイドロの疑問の声にマダカスが素早く応じる。海から飛来した謎の飛翔体がカベンに信じられない速度で向かっているのは分かっていた。このまま飛行した場合、人間族の勢力範囲、その中の一国である、モスフォードも仕える、マランギ王国の王都に向かっていた。

「徐々に高さが落ちています。このままでは海か陸に落ちるのではないでしょうか」

「何だと、単眼鏡を貸せ、ワシがこの目で確認してくれる」

 単眼鏡を奪って、謎の飛行物体を見つめるマダカスだったが、確かに高度が徐々に低下していた。既にそのころには単眼鏡を使わずともハッキリと見えるようになっていた。

 高度を落とした謎の物体に慌てて逃げ出す神官たちだったが、謎の物体はカベンの上空を何度も旋回してから、王都への方角に飛行していった。

「何だったのでしょうか?」

 ハイドロとマダカスは逃げ出さず、謎の物体の動きを見つめ続けていた。

「ハッキリとは分からんが、こちらの様子を探っていたのではないか。あそこまで近づいた上で、長く留まってくれるとよく分かったが、あの大きさでは大トカゲでも小型の部類だ。単独では王都の守りは突破できんし、誰かが乗っていても少数だ。アレは偵察か何かであろう」

「偵察ということは本隊が近くに?」

 ハイドロは慌てて、海の方角を睨むように見つめるが、そこにはここに左遷されてから変わらない風景があるだけだった。

「あの速さを見たであろう。本隊はこの近くにいるとは思えん」

 ハイドロの疑問に答えてから、逃げ出した神官たちを呼び集め、急いで王都に向かう準備を整える。マダカスは謎の物体が落ちてきても逃げずに留まった神官を王都と総本部への使者に任命し送り出した。


「よいな、現場責任者の立場を捨てるな。王都と総本部の能無しどもが何を言っても突っぱねろ。この周囲で最も格式が高く、上位にいるのはカベン大聖堂だと言って権限を確保して来い」

 王都への使者を送り出してからは、逃げ出した者たちを集めて、周囲の聖堂などへの使者を任せていく。

「貴様らはこの周辺の聖堂や領主に、カベン大聖堂の支配下に入るように取りまとめてこい。こんな田舎に飛ばされる間抜けや腰抜け領主どもはこんな事態で右往左往するだけで、責任も取りたくないはずだから楽な交渉のはずだ。いいな、王都や大領主どもが介入する前に既成事実を作らねばならん。遅れたらカベンからまた別の辺境に飛ばされるぞ」

異端派は基本的に隠れキリシタンのように、隠れています。

だから、この世界には魔女裁判のような異端裁判があります。

拷問されて殺されていますがストロングフォートのルドルフ侯爵が異端派でした。

人間以外のどの種族も度合いは違っても、大体こんな感じで、自分たちが至高という考えです。

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