会話中
レイ(姉さん、長いなあ…。)
…私はゆっくり祈りを…
『待ちなさい!祈りを止めないで!その姿勢でいてくれないと会話続けられないの!』
尚も幻聴が聞こえてくる。ふう…、私、相当疲れているみたい…。
『幻聴じゃないの!』
幻聴が幻聴を否定してくる。だって麗奈のはずないじゃない。彼女は優秀である以外、普通の友達だったはず。
ていうか、祈り止められないんだけど。体が…こう…金縛りにあっている感じ?ふん!えい!…全然ダメ。
『ちょっと!抵抗しないで!話を聞いて!』
どうやら幻聴の…テレパシーの主の仕業らしい。そっちこそ、麗奈詐欺を止めなさい。
『麗奈詐欺って何!?嘘じゃないの!この国で奉られている女神フレイと藤原麗奈は同一人物なの!』
ほら、やっぱり嘘じゃない。女神像と麗奈では胸の大きさが違うもの。
『…この世界の昔の偉人の前では魔法で少し盛ってたの。』
少し?やっぱり嘘…
『ごめんなさい!かなり盛りました!』
う~ん、このノリは完全に麗奈ではあるんだけど…。まあ、百歩譲って信じましょう。 じゃあ、聞くけど麗奈…いやフレイ?
『結愛には麗奈って呼んでほしい。本名はフレイだけど。』
じゃあ、麗奈。貴女は人間なの?女神なの?
『実は女神なの。神というのはね、人々の信仰心によって力をつけることができるの。だから、いろんな世界に自分を広める必要がある。そして、これから地球にも広めようとしていたの。』
どうして人間のふりをしていたの?
『世界によって常識、ルールが違う。世界に住む人々への理解なくして信仰は得られない。だから、勉強するために人間のふりをしていたの。その勉強している最中に貴女と会ったのよね。魔法で中学生サイズになってる私に。』
…あれ?じゃあ、私って女神に勉強教えてもらっていたの?それも別のことを勉強している最中の。
『フフ、気にしなくてもいいわ。ルールが違うといってもある程度共通点もあるから。積んできた知識は私の方が上。』
次は…貴女は私の転生に関わってる?
『関わってるわ。』
そうなのね…。私って何で死んだの?
『ヒ・ミ・ツ!』
………さて、祈りを…
『ごめんなさい!でも、言えないの!』
どんな死に方したのよ…。この際、魔法が存在する世界に転生してその魔法の才能が規格外なのも貴女のせいだとする。何で私って喋られないの?
『だって結愛って思ったことをすぐに口に出しちゃうでしょ?それはもう病気レベルで。声以外にも伝達手段はいくらでもある、って思って。』
病気…レベル…。これ以上聞くと致命的ダメージを受けそう…。でも最後に…私の心は汚れたの?
『というより調整ね。この世界では地球に比べると命が軽いから私達がそれに照準を定めて合わせたのよ。』
そう…、調整…ね…。じゃあ、もう戻してほしいなんて思わない。…ん?私達?
『そうそう、結愛はこの世界でどんなことをしても、助けてあげるからね。そうだ、一つプレゼントをあげる。私の槍よ。』
神の武器?いらない。
『私の槍はね、どんなものでも焼き尽くすことができるの。よく神界の何処かに落とすから予備があるわ。』
そんなものを落とさないでよ…。しかも、予備って…。説明すれば、いらない発言を撤回してくれると思ったのか麗奈は熱弁を続ける。でも、いらない。ホントいらない。マジでいらない。
『何でよ!』
だって、私、槍なんて使えないし。仮に武器が使えるようになっても刀があるから間に合ってる。
『じゃあ、魔法で私の経験を叩き込んであげる!えい!』
…?…!?んにゃあああ!?頭が焼ける!どんどん知らない映像が流れ込んでくる!?体も何かメキメキ言ってる!?
『これで知識も入ったし、体もそれを覚えた。更に、これからは何処で祈っても私と連絡がとれるわよ!たまに連絡してきてね!』
最後はどっちでも良かったけど、槍なんて本当いらないんだけど!?
『じゃあ、結愛の空間魔法の中に入れておくわね。光と闇で空間魔法よ。私からは、おしまい!結愛から何かある?』
…槍を返却…
『却下。』
…特にないわ。そう伝えるとやっと体が動くようになった。体中が痛い…。
「姉さん、ぐすっ!…長かったね。」
よく見るとレイが半泣き。何で!?
「姉さんがそんなに悩んでいたなんて…知らなくて…ごめんなさい。」
ああ、そういうこと?
『レイが思っているほど溜め込んでないわ。解決したかったことは一つだけだったから。』
そう言うと安心したのか、涙を拭い徐々に表情が明るくなってきた。そして、私達二人は家に帰った。
フレイ(あっ、刀へし折っておけばよかった…。)




