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アサシン・エムブレム  作者: 銭田さん
4/6

ようやく状況理解

 俺はこのコスプレ少女に拉致されたようだ。というアホな妄想は昨日の出来事を完全に思い出すことで打ち砕かれた。

 昨日誰かに助けられてその人のまたはその人に親しい人の家で看病を受けている。そして、その家の人は何かの理由でコスプレをしている。それが今考えられるこの光景の意味することだった。


 俺はもう一度、ベットに横になるとうめき声をあげながら起きる。少女もそれに気づきこちらを振り向く。


 少女は俺の予想の上を行く美少女だった。


 その顔は薄いピンクの髪がよく似合う幼さを残した顔でどこか不安そうな瞳をしている。男子の本能で目線が下に行く・・・失礼ではあるが胸がそこまであるようには見えない、俺の握りこぶし位の大きさか。しかしこれはこれで有りだと思う。

 減点ポイントは一つだけそれは少女が疲れた顔をしていることだった。


 沈黙が耐えられなくなったか少女が口を開こうとする。芸能人のような白い歯だった。


 「えっと、初めまして私があのえっと、グォイの妹のシンです。よろしくお願いします。」


  状況がさっぱり理解できない。グォイって誰だ。


 「こっ、こちらこそよろしくお願いします。」


 やっぱり年下っぽい女子とでも話をしようとするとおかしくなるなぁ。俺恋愛なんて一生出来ないかも。


 俺の話し方が変だったのか少女(シンらしい)は心底不思議な目で俺を見てくる。やだー。いや、しかしいつもなら陰キャラだと思われて軽蔑の目で見てくるのに今回はそんな感じがしない。


 「なぜ、私なんかに敬語を使われるのですか?」


 はあーーーー!?

どういうことだ。さっぱり分からない。介抱して貰った人より俺の方が立場が上ってどういうことだよ。あれだよな、年下に何で敬語とかそういう意味だよな。


 返事に戸惑っていると、トントンというドアをノックする音が聞こえる。


 「お客さんでしょうか」

 

 少女(シンらしい)は用心深くそちらに行きゆっくりとドアを開く。そしてゆっくりと外の人物を見ると少女(シンらしい)は恐怖の表情を浮かべその表情のままこちらにゆっくりと帰ってくる。

 少女(シンらしい)は俺に小声で話しかける。


 「入れって言ってください」


 どういうことだろう?何でこの家のお客さんより俺の方が立場が上なのだろうか。しかし少女(シンらしい)は目がマジだったので言ってみることにする。

 

 「入れ」


 「失礼します」


 男が入ってきた。身長は190は優にあろうかという男で茶色いコートを着ている。そうだ、あの時の俺を助けてくれた人だ。


 「いろいろ困惑されているようですね。こちらも時間がなかったもので申し訳ありません。」


 男の言っている事はさっぱり分からない。男が少女(シンらしい)の方を向く。


 「シン、これから大事な話があるんだ。少し眠っていてくれ。」


 シンは分かりましたお兄様と言うと近くにあった椅子に座り目を閉じた。驚くことにシンは本当に眠っていた。


 「さて、まずここがどこか説明します。ここはあなたのいた世界とは別の世界なのです。」


 「ヘッ?」


 これまでの状況は謎だらけだったが今日一番の謎発言だよ、いやまってうん、落ち着け冷静に考えろ・・・・・・・・・・・・・

そういうことか妹のコスプレといいこいつらは頭がおかしい奴等なんだ。

 

 「まあ、そんなこと言われても頭がおかしいとしか思われないでしょう。とりあえずこれをご覧ください」


 男の手から炎が上がる。そのまま炎は渦を巻き始める。


 うひゃぁと声を出して後ろに仰け反ってしまった。それを見て男が少し笑顔になる。


 「いや失礼しました。」

 

 男は俺に手を貸す。


 「やはり魔法よりも外を見た方が良さそうですね。付いてきてください。」

 

 頭のおかしい奴に下手に逆らうとさっきの何かの装置で造られた炎で焼かれるかもしれない。しょうがないついて行こう。


 



 外に出た俺は今自分がとんでもない状況にいることを思い知らされた。外は見たこともない植物で溢れかえっていた。


 まず一番最初に目に入ったのは遠くにある渦を巻いたようにできている巨大な樹そして辺りを埋め尽くす緑の草。空は俺のよく知るしかし都会では絶対に見ることのできない澄み切った青空だった。



 「下をご覧ください。」


 指示に従い地面を見ると恐ろしい者が見える。アリみたいなサイズの牛、そう牧場などで見るあの白黒の牛が小さくなって草を食べていた。


 「これで理解していただけましたか?」


 「・・・はい、十分理解しました。・・・・」


 いや、全く理解はできてないんだけどここが異世界だという常識外れな状況に俺がいることは理解した。


 「次期教主、まだまだやることが残っています。では家に戻り講義を受けていただきましょう。」


 「・・・はい、よろしくお願いします。」



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