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プロローグ

「ああ、この世界も飽きた。……否、飽いた」

 透き通るガラスで出来たような神殿に一人たたずむ1人の男。

 体全体を包むコートを身につけたその姿は、魔術師といわれるか変質者といわれるだろう。

「この世界を創造し那由他の時を過ごしたが、あまりにも退屈すぎて詰まらない……」

「なぜ、人は同種族で戦い続ける? 権力などというくだらない理由でなぜ私利私欲のままに動き続ける? なぜ己の戦いに他者を巻き込む? なぜ原因を潰しても別の存在が争いを続ける? 何故私に救いを求め、己で動こうとしない?」

 男が目を下に向けると神殿の下に、一つの世界が存在していた。

 昔は自然で囲まれた美しい世界だった。

 しかし、人々が争いを続けたことで森は消え、海は汚され、青いそらは灰色になっていた。

「幾度も原因を潰しても同じことの繰り返し、誰もが違うことをしようとしない。もう飽きてしまった……」

「今を懸命に生きている者たちには可哀想なことをしてしまうが、この世界は消さねばならない。もうここまでくればその先に待っているのは絶望だ」

 男は悲しそうな顔をすると、視界を下に向けたまま手をかざす。

『滅びよ』

 かざしてた手を握る。

 すると、世界は光に包まれ消えていった。

「懸命に生きようとした愛し子達よ。君たちのこれからの人生にささやかな幸福を送ろう。そして私利私欲に走った愚族どもよ。君たちは未来永劫、地獄の苦痛を与え、二度と幸福が訪れると思わないことだ」

 男はそうなるように、魔法を使い今消え去った命に処置を施した。

「さて、何も無くなってしまった。また新たな世界を創ってもよいが、それだとつまらない。同じことの繰り返しが起きてしまう」

 あれこれ考えていた男だったが、急に何か思いついたような顔をした。

「そうだ。既に存在している私が知らない異世界なるところにいけばよいだけの話ではないか」

 自分が傍観していた世界でも異世界の人物を召喚していたことを思い出す。それとは逆の方法で異世界にいけばいいのではないかと思いついたのである。

「そうと決まったら探すとしよう!」

 男はパチンと指を鳴らし、鏡を出現させる。

 そして鏡に手を当て世界を探す。

「数多の世界を映す鏡よ、私が楽しめそうな世界を映せ」

 出来れば魔法が存在しない世界がいい、最も贅沢をいうならば争いがない世界だが……。

 そう思いを込めて鏡に願う。そして鏡の光がさらに増した。

「ふむ、さすがに争いがない世界はないか……。ん? 魔法がない世界がある! 魔法という概念は存在せずカガクなるもので発達した世界か、素晴らしい。そうと決まればすぐにいこう!」

「焦点はよし、いつでもいけるな。では未知なる世界よ、私をあなたはどう楽しませてくれる?」

『転移』

 呪文を唱え、男は姿を消した。

 彼の名はクレアートル。

 森羅万象を統べ、世界を見通してきた造物主である。

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