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復讐という名の物語  作者: 笑わない猫
復讐再戦
9/24

第二章 ―1 危険な取引

更新遅くてすいません。






「ありがとうございました」

 ホテルの従業員が出て行くキリアたちにあいさつする。

 今はちょうど午前零時。

 太陽が一番高く上がる時。

 が、残年ながら太陽は雲にさえぎられ、うす暗い光しか地上に落せてはいない。

 雨もぽつぽつとはふるものの、傘が必要と言うわけではない。

 キリアは空を仰いだ。

「雲行きが怪しいな、すぐ向かうぞ」

「うん」

「了解」

 クレアとリーフもそれに続く。

 雨が降っているせいか、大通りに人気は余りない。

 前のように人の海に入る心配はなさそうだ。

 キリアは、クレアの居場所を教えてくれた情報屋の元に急ぎ足で向かった。


 

 二人の旅人が幼い警備兵ディリングの横を過ぎ去る。

 幼い警備兵ディリングはその旅人に視線を向け、後をつけ始めた。



「で、キリアの旅の目的ってのは一体なんなんだ??」

 リーフが歩くキリアに向かって問う。

 キリアは何も答えず、ただ情報屋の元に向かっている。

「…? 内緒ってことか??」

 リーフは少し苛立った声を出した。

 その様子にクレアは何とか場の雰囲気を治めようと言葉を紡いだ。

「人探ししてるの」

「人探し?? なんで?」

「それは……その…お礼を言いたいからだって」

 必死に言葉を探し出した。

 リーフはそうなのか?とキリアに再度聞いた。

 するとキリアはクレアのフォローを消し去るように吐き捨てた。

「そいつを探し出して、殺すためだ」

 しばらくの沈黙。

 リーフはため息をつき、首を左右に振った。

「ふーん。聞いて悪かったな」

「別に構わない」

 明らかに許していないであろう。

 場の雰囲気は悪くなる一方である。

 クレアはオロオロするも、何も言い出せず……。

 三人は沈黙を続け、歩いた。

 

 情報屋はそこまで遠くにあったわけではなかった。

 実はキリアがベルフェリングに来て最初に立ち寄った酒場の二階だったりした。

 そのことは絶対にキリアはクレアたちに口外しないことだろう。

 酒場の横にある階段。

 この上に情報屋がいる。

 中は薄暗く、天井から吊るされたランプが唯一の足場の便りとなる。

 キリア達はゆっくり階段を上り、その先にあったドアのぶに手をかけた。

「なんか気味が悪い……」

 クレアはキリアの服袖を握る。

 リーフは機嫌の悪いキリアにどう対処すべきか頭を悩ませっぱなし。

 気持ちが団結しない旅人達である。

 ドアが静かに開く。

 中から、一人の男の声が響く。

「来て下さると思っていましたよ」

 その声には僅かに笑みの色があった。



 二人の旅人は立ち止まり、地面にじゃがみ込む。

 その光景を幼い警備兵ディリングは目にしっかり焼き付けた。




 キリア達は軋む床を歩き情報屋……ディナード・モスキーナの目の前に行く。

「先日は助かった」

「いえいえ……。ああ言うのも私の仕事ですから……。で、ここに来たのはお礼だけでは無いでしょう?」

 ディナードは不敵に笑った。

 キリアは話が早くて助かると思い、言葉を発した。

「人探しをしてる」

「どなたでしょうか?? 有名な方ではないと、わかりませんよ」

 ディナードは立ち上がり、資料が詰め込まれているタンスをあける。

「クレイモア・ディスタンス」

「…!! あの…クレイモアですか」

 ディナードは呟き、タンスの奥の方からひとつのファイルを取り出す。

 慣れた手つきでファイルを捲っていく。

 開かれたページには、一人の青年の写真と身分、情報がぎっしりと書き込まれている。

 さすがは、情報屋。

 キリアは知らぬ間に口を緩めていた。

「クレイモア・ディスタンス。ビンゴブックS級の重犯罪者ですね。何故……この方を?」

「色々あってな」

「言えない事情ですか……。まぁ、構いませんが」

「で、どこにいる?」

「残念ながら、どこにいるかはわかりません」

 ちっとキリアは舌打ちする。

「ですが、検討ならつきます」

「どこだ??」

覚醒集団アブノーマルです」

「なっ!?」

 目を見開くキリア。

 なんの話か理解できていないのか、クレアやリーフは違う話で盛り上がっている。

「そいつらはどこにいる??」

「そうですね……。ひとつ提案があります」

「なんだ?」

「見た所、後ろにいらっしゃるお二方は覚醒者なようで」

「だったらなんだ?」

 キリアは刀の柄に手を回す。

 もし、警備兵ディリングに引き渡すなどという取引を言うのなら、この場でディナードを切りつける。

 その意思表示でもあった。

 ディナードは、笑みを浮かべ手をひらひらと振る。

「大丈夫ですよ。警備兵ディリングに引き渡すなんていいませんから」

「では、なんだ?」

「あなた方にウラウ鍾乳洞からの結晶石採取を取引としようと思いまして」

 ディナードはここにきて、ウラウ鍾乳洞の話を切り出した。

 キリアは目を細め、怪訝な顔をする。

「あそこは、侵入禁止区域のはず」

「だから、お願いするのです。覚醒集団アブノーマルの情報を流すという犯罪を人に負わせるのですから」



 ディナードは、ウラウ鍾乳洞への地図を一枚取り出し、キリアに差し出した。




 幼い警備兵ディリングは二人の旅人がしゃがみ込んだ場所を

 くまなく調べ始めた。



 


 

 

 三人は復讐の物語を創造していく。

 生きる意味と存在の答えを求めながら、

 繋げられた因果を伝い、どこまでも続く闇に向かい……。

 

 復讐という名の物語を創っていく。



                       To Be Continued




 

 

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