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復讐という名の物語  作者: 笑わない猫
復讐再戦
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プロローグ&第二章




―――――――プロローグ―――――――



 純白に彩られた大部屋。

 だがその大部屋を照らすのは天井から吊るされた杯の上に灯る青い炎のみ。

 純白の部屋も青白く光るだけ。

 その中で青い炎に影を遊ばせながら一人の少女と一人の男が『作戦』について話し合っていた。

での魔力吸収の方が手っ取り早い」

「明らかに警備兵ディリングに感づかれるぞ」

 少女の提案を男は却下する。

 少女は頬を膨らませ反抗する。

「じゃあを使わずにどうするって言うのよ」

「別にの発動を反対しているのではなく、ベルフェリングでするのはどうかと言っている」

「一番集まるじゃない」

「絶対ベルフェリングでなくとも良いだろう。空気中の魔力も微量だしな」

「うるさ~~い!! リーダーの命令は絶対なの!!」

 少女はムキになってる。

 顔は真っ赤に染まり、犬歯をむき出し、うぅぅ~と唸っている。

 可愛くも見えるかもしれないが、見ようによってはものすごい怖い顔だ。

「絶対! 絶対! 絶対! 絶対ぃぃぃ!!!」

「分かった。分かったから、落ち着け」

 頑固というか我侭というか……いまいち分からない反応に男は仕方なく折れ、なだめた。

「ふぅぅ~~。なら早く行くわよ」

 獣が吐き出しそうな呻き声を漏らしながら少女は『作戦』の実行のためそばの大鎌を持った。

 それを肩にかけ、歩き始める。

 男は少女を追う。

 少女が純白のドアの前に行くと勝手にドアが開く。

 それと同時に杯の炎が消える。

「さぁ、いきましょ! レデント」

 少女は男の名を呼んだ。

「了解。スレイディッシュ」

 男も少女の名を呼ぶ。

「違うでしょ! 私は……」

「あ~はいはい。すいませんね、レイ」

「そうそう」

 スレイディッシュとレデントは大都市ベルフェリングに向かい、研究所を出た。

 


―――――――第二章―――――――



 キリアはゆっくりベットの上で体を起こした。

 真っ暗な部屋だが、窓から差し込む月の光で中は薄暗い。

 覚束ない意識の中、視線を隣のクレアのベットに向ける。

 ベットの上には散らかり状態の布団だけが散乱している。

 その光景を目にし、キリアは前にもこんなことがあったのを思い出す。

(そういえば、前は俺のベットに潜り込んでいたんだったな)

 視線を下ろすと目の前に眠っているクレアの姿があった。

 安らかな寝息をたてて眠っている。

(そんな顔して寝られたら、たたき起こすことも出来やしない)

 キリアは静かにベットから出て、窓際に向かう。

 外の月はまん丸で凛々と輝いている。

(なにか、不吉な輝きだ)

 なぜかキリアにはそう感じた。

(きっと何かが起こる)

 胸騒ぎがするわけでもない。

 ただただ、思っただけ。

 だけど、この予感が当たりそうな気がしてならなかった。

「どうしたの? キリア?」

 キリアが振り返った先には一人の少年が立っていた。

 少年は前回、キリアと戦った。

 負けた後、クレアの誘い?によりキリアの復讐劇の仲間となった。名はリーフ・クレイディア。

「いや、ただ月を見てただけだ」

 キリアは自分の感じたものを隠し、リーフに言った。

「月?」

 リーフはキリアの横に行き、一緒に月を見上げる。

 リーフが重く口を開いた。

「嫌な月だな」

「お前もそう思うか」

「キリアも?」

「あぁ」

 二人はいつも以上・・・・・に輝く月を見上げ、眉間にしわを寄せた。






 幼い警備兵ディリングが夜明けの街を歩いていた。





「起きてよ~~。朝だよ」

 クレアが部屋の中に響き渡るほどの大声を張り上げた。

 この声には流石にビックリ。

 リーフとキリアはベットから転げ落ちた。

「焦る~。ビックリするだろ」

 リーフが後頭部を抑えながら立ち上がる。

「……ったく」

 キリアはため息を吐く。

 昨晩、月の異常な輝きが気になり、夜明けまで眠れなかった二人は正直な所、眠いのだった。

「チェックアウトまでまだ時間がある。もう少し寝かしてくれ」

 チェックアウトは正午。

 だが、今の時計の短い針は左斜めを指している。

 二度寝したとしても十分間に合う。

「私、暇だよ」

「テレビでも見てろ」

 キリアはそう言うと、ノソノソと布団に潜った。

 クレアは頬を膨らませながら寝転ぶキリアに近寄り、体を擦った。

「ねぇ、ねぇってば」

「~~。リーフ、相手してやってくれ」

 キリアは文字に出来ないうめき声を出しながら、リーフに頼んだ。

(ホントに眠いんだな)

 キリアのうなだれようを見て、リーフは言った。

「分かったよ」

「頼んだ……」

 すでに布団の中からは寝息が聞こえている。

 クレアは不機嫌真っ盛りで顔を真っ赤にしている。

 リーフは不安を背負いながらクレアに近づき言った。

「とりあえず、顔……元に戻せよ。スッゲーブサイクだぞ。その表情」

 後、リーフは右頬に真っ赤な痣をつけたまま、クレアと時間を潰した。






 その警備兵ディリングは街の中で時々立ち止まると地面にしゃがみ込み、また立ち上がり歩き出す。

 何かを探すように、幾度としゃがみ込み、立ち上がり、しゃがみ込む。

 幼い警備兵ディリングの少女は立ち上がるたび、歯を軋ませていた。






 三人は復讐の物語を創造していく。

 生きる意味と存在の答えを求めながら、

 繋げられた因果を伝い、どこまでも続く闇に向かい……。

 

 復讐という名の物語を創っていく。



                       To Be Continued





 

 


 

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