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復讐という名の物語  作者: 笑わない猫
復讐再戦
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第二章 ―5 対決、偽りの心






 刃が交じり、火花を散らす。

 一見、同等の戦いに見えるが、実の所クレイモアは一歩も動いていない。

 それどころか、攻撃すらしていないのだ。

 全て、防御に回りキリアの斬撃を止めるだけ。

 明らかにキリアが劣っていた。

「どうした? そんな物か?」

「……くそ」

 キリアは刃を切り払い、体勢を立て直す為にまた距離を取る。

 瞬間。

 クレイモアが地面を蹴り、一気にキリアに近づいた。

 不意をつかれたキリアはどうすることも出来ず、刀をただ自分と水平に立てるだけ。

 その刀をかいくぐったクレイモアの蹴りがキリアの横腹に命中する。

「ぐっ……」

 よろめいたときを逃さずクレイモアは体勢を崩したキリアに追撃。

 見えない鋭い刃を誇る相竜‘不知火’の峰をキリアの腹に叩き込む。

 振り切られた刀にキリアは抵抗なく飛ばされ、土の壁に激突。

 吐血を漏らす。

「……がは……はぁはぁ」

 キリアは両手と両膝をつき、口から血を全て吐き出す。

 その光景を見ながら、クレイモアはキリアに近づきながら話す。

「その程度か……。呆れたな」

「はぁはぁはぁ」

 クレイモアは動きを止める。

 その動きを見逃さず、クレアは岩陰から飛び出し言い放つ。

衝撃閃光エリクサ!!」

 右手の人差し指から放たれた閃光は動きを止めたクレイモアに一直線に向かう。

 が、クレイモアはその閃光に対し、不知火を振り、真っ二つに切り裂き、上下に分散させた。

「え……?」

「……お前は……!」

 クレイモアは一瞬目を見開かせてから、すぐにクレアに近づく。

 魔法か否か、地面を蹴って進む速さは常人とはかけ離れていた。

 その速さに、今まで常人であったクレアは対処できず、クレイモアに首根っこを掴まれる。

「ううっ……!」

 締め上げたまま持ち上げる。

 クレアは嗚咽を漏らしながら、自分の首を掴んでいるクレイモアの手首を両手で掴み、足をばたつかせる。

 だが、振りほどける訳もなく。

「……貴様は……もしやクレア・パトラディッシュか?」

 え? と声に出したいが出せないクレアは目を見開く。

 その反応を見たクレイモアはクレアの首から手を離す。

 その瞬間。

 魔法陣が現れ、黄金の結界が地面に倒れたクレアを守るようにドーム状に展開される。

 それを見たクレイモアはすぐに地面を蹴り、今居た場所から遠のく。

 その半秒後。

 さきほどまでクレイモアが居た場所に魔法陣が組まれ、魔法が発動していた。

「まだ、いるのか」

 クレイモアが周りを見渡そうと首を横に振った瞬間。

 目の前にキリアが現れる。

 それと同時に迫る刀。

 キリアのいきなりの現れに、不知火での反応が遅れ、本能のみで体を横にずらし避ける。

「くそっ」

 勢いに乗ったキリアの攻撃が空を切り、体が先進したのをクレイモアは見逃さず、すかさずカウンターの膝打ちが腹に入る。

 宙に浮いたキリアにクレイモアは一回転のまわし蹴りを入れる。

 また、飛ばされ今度は地面に激突。

 受身も取れず、うつぶせになる。

「くそっ……」

 クレイモアは第三者、つまりリーフからの魔法陣に気を配りながら、歩を進め結晶石に触れる。

 手の平サイズに割れた結晶石を懐に沈め、出口へ歩き出す。

 その後ろから、気配を魔法陣で消したリーフが走りこみ、クレイモアの背中に向かい、ナイフを切り下ろそうとした瞬間、クレイモアの姿が消える。

「まさか……瞬間歩法テリュード!?」

「その通りだ」

 背後からの声に反応し、リーフが後ろに振り向く前に首筋に強烈なひじ打ちが入る。

 そのままうつぶせに倒れこみ、体の神経が麻痺する。

「ふん……。まだまだだな。それでも俺直属の部下か??」

「……黙れ……」

 小さなキリアの声にクレイモアはため息を漏らし、出口に向いた。


「クレア・パトラディッシュに出会えたのか……。それでも、お前は記憶が戻らないのだな。哀れな……。やはり、俺が力を貸さなければならないか? キリア・パトラディッシュ・・・・・・・・


 クレイモアの小さなつぶやきはキリアたちには届かない。

 ただ、足元に倒れる少年を除いては……。







 三人は復讐の物語を創造していく。

 生きる意味と存在の答えを求めながら、

 繋げられた因果を伝い、どこまでも続く闇に向かい……。

 

 復讐という名の物語を創っていく。



                       To Be Continued



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