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レストランの煌びやかな照明が、つやのあるダリアの胸元を照らした。
見ちゃだめだ! 見ちゃだめだ! と思うと気になってしまう。
いや、自分にないものって意味で!
タートルネックの衣装を提案してみたら怒られるかな……。
俺はローハンとダリアと共にテーブルに着いた。
「俺はやっぱり魚料理にしようかな。ここのシーフード美味しいらしいから」と俺が言うと、ローハンはにっこりと笑った。
「サラダも捨てがたい。この国の野菜は本当に新鮮だ」
ダリアは少し考えた後、「ステーキ、大きめで頼むわ」と決めた。
僧侶ってベジタリアンじゃないのか……。
THE 肉食系女子を裏切らないダリア。
修道院出身って言ってたけど、苦労していくうちにこんな感じになったのかなあ……。
やがて料理が運ばれてきた。
彩り鮮やかな魚の盛り合わせ、瑞々しい野菜、ジューシーなステーキがそれぞれの前に並んだ。
自然と腹が鳴る。
料理をほおばって、しばらくした頃、事件は起きた。
料理を楽しんでいたその時、レストランの扉が静かに開かれた。
全員の視線が一斉にその方向に向けられる中、その人物が現れた。
少年の姿は、まるで夢の中から抜け出てきたような美しさだった。
茶色の髪は柔らかな光に包まれ、微かな波が流れるようにして額に落ちていた。
その髪はろうそくの光を受けると、金色に輝き、まるで夕暮れの風に揺れる木の葉のように見えた。
瞳は透き通り、深い感情が宿っているかのようだ。蜂蜜色の瞳を見て、レストランのウエイトレスが、ほうとため息をつく。
肌は滑らかで透明感があり、まるで芸術的に作り上げられたようなものだった。
健康的な輝き。
ほんのりと色づいた頬。可愛らしさと品のある色気を併せ持っている。
妖精のような風貌は、周囲にいる人々を虜にする魔法のようなものだった。
この世界にも、あんな美少年がいるんだな~。
「お待たせしました、勇者さ……あ、えっと。ルクス、さん」
「ん!?」
俺はポーチドフィッシュをほおばりながら二度見する。
美少年が俺に話しかけている。
え、誰!?
ダリアが叫んだ。
「その声……もしかして、カランなの!?」
ローハンは驚きの表情を浮かべて立ち上がった。
カランは照れくさそうに笑みを浮かべながら、その反応を受け入れていた。
「本当にカランなのか。見違えたな」とローハンが言い、ダリアも
「まさかこんな美少年になるなんて。君がいるだけで華やかさが増すわ」
と笑顔で話しかけた。
カランは恥ずかしそうに笑いながら、
「ありがとうございます、みなさん。少し自信がついたかもしれない」
と、言って頭をかいた。
うわー、これ、俺すごいんじゃない。
プロデュースの才能あるんじゃない。
と、美容室にまるまかせだったことを棚に上げて、俺は悦に入った。
にやにやしていた俺に、カランは直立不動から90度の角度で礼をした。
「ルクスさんには感謝してもしきれません」
「えっ? 俺?」
「僕を廃墟から拾ってくれただけでなく、こんなに良くしてくれて。どうやって恩を返したらいいか」
俺の過去の悪行や暴言を忘れてるのかな、この子……。
こんなにチョロいのに美少年だったらまずくない?
変な大人に連れていかれたりしない?
お兄さん心配だわ……。
「いいかな、カラン。君はもっと自信を持つべきだ。もう俺たちのパーティーの仲間なんだから。家族と思ってくれていい」
「家族」
カランの瞳から、じわりと涙がにじみ出た。
あー……まるで輝く朝日のような透明な涙です。
お見事。
カランの涙はレストランの微かな光を受けて煌めいていた。
心の奥深くに秘めた感情が溢れ出るような涙は、これまでの葛藤とこれからの希望が交錯しているようで、見るものの心を打つ。
カランはそっと息を吸い込んだ。
「ありがとうございます、本当に……ありがとうございます。僕、みんなにふさわしいような自分になれるように、もっと一生懸命成長します」
「ほーら。早く座りなよ。おなかすいたでしょう」
ダリアが椅子をひいて促すと、カランは涙をぬぐいながら微笑んだ。
カランはそのまま風になびかれて消えていくような儚さと同時に、新たな希望にあふれていた。
レストランの給仕さんたちが一斉にもらい泣きしている。
や、これ、ほんと、ビジュアルだけみたらもう完全に君が勇者だよカランくん。
美少年半端ない。
あっ、もしかしてこれが開花ってやつか!?
確かに、このイメチェンだけでも大きな変化だ。
カランの潜在能力の高さに驚きつつ、夜は更けていった。