表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪徳勇者の悪あがき  作者: 丹空 舞
9/11

10

レストランの煌びやかな照明が、つやのあるダリアの胸元を照らした。


見ちゃだめだ! 見ちゃだめだ! と思うと気になってしまう。

いや、自分にないものって意味で!


タートルネックの衣装を提案してみたら怒られるかな……。


俺はローハンとダリアと共にテーブルに着いた。


「俺はやっぱり魚料理にしようかな。ここのシーフード美味しいらしいから」と俺が言うと、ローハンはにっこりと笑った。


「サラダも捨てがたい。この国の野菜は本当に新鮮だ」


ダリアは少し考えた後、「ステーキ、大きめで頼むわ」と決めた。


僧侶ってベジタリアンじゃないのか……。

THE 肉食系女子を裏切らないダリア。

修道院出身って言ってたけど、苦労していくうちにこんな感じになったのかなあ……。


やがて料理が運ばれてきた。

彩り鮮やかな魚の盛り合わせ、瑞々しい野菜、ジューシーなステーキがそれぞれの前に並んだ。

自然と腹が鳴る。


料理をほおばって、しばらくした頃、事件は起きた。


料理を楽しんでいたその時、レストランの扉が静かに開かれた。


全員の視線が一斉にその方向に向けられる中、その人物が現れた。


少年の姿は、まるで夢の中から抜け出てきたような美しさだった。

茶色の髪は柔らかな光に包まれ、微かな波が流れるようにして額に落ちていた。

その髪はろうそくの光を受けると、金色に輝き、まるで夕暮れの風に揺れる木の葉のように見えた。


瞳は透き通り、深い感情が宿っているかのようだ。蜂蜜色の瞳を見て、レストランのウエイトレスが、ほうとため息をつく。

肌は滑らかで透明感があり、まるで芸術的に作り上げられたようなものだった。

健康的な輝き。

ほんのりと色づいた頬。可愛らしさと品のある色気を併せ持っている。

妖精のような風貌は、周囲にいる人々を虜にする魔法のようなものだった。


この世界にも、あんな美少年がいるんだな~。


「お待たせしました、勇者さ……あ、えっと。ルクス、さん」


「ん!?」


俺はポーチドフィッシュをほおばりながら二度見する。

美少年が俺に話しかけている。

え、誰!?


ダリアが叫んだ。

「その声……もしかして、カランなの!?」


ローハンは驚きの表情を浮かべて立ち上がった。

カランは照れくさそうに笑みを浮かべながら、その反応を受け入れていた。


「本当にカランなのか。見違えたな」とローハンが言い、ダリアも

「まさかこんな美少年になるなんて。君がいるだけで華やかさが増すわ」

と笑顔で話しかけた。


カランは恥ずかしそうに笑いながら、

「ありがとうございます、みなさん。少し自信がついたかもしれない」

と、言って頭をかいた。


うわー、これ、俺すごいんじゃない。


プロデュースの才能あるんじゃない。

と、美容室にまるまかせだったことを棚に上げて、俺は悦に入った。


にやにやしていた俺に、カランは直立不動から90度の角度で礼をした。


「ルクスさんには感謝してもしきれません」

「えっ? 俺?」

「僕を廃墟から拾ってくれただけでなく、こんなに良くしてくれて。どうやって恩を返したらいいか」


俺の過去の悪行や暴言を忘れてるのかな、この子……。


こんなにチョロいのに美少年だったらまずくない?

変な大人に連れていかれたりしない?

お兄さん心配だわ……。


「いいかな、カラン。君はもっと自信を持つべきだ。もう俺たちのパーティーの仲間なんだから。家族と思ってくれていい」

「家族」


カランの瞳から、じわりと涙がにじみ出た。


あー……まるで輝く朝日のような透明な涙です。

お見事。


カランの涙はレストランの微かな光を受けて煌めいていた。

心の奥深くに秘めた感情が溢れ出るような涙は、これまでの葛藤とこれからの希望が交錯しているようで、見るものの心を打つ。


カランはそっと息を吸い込んだ。


「ありがとうございます、本当に……ありがとうございます。僕、みんなにふさわしいような自分になれるように、もっと一生懸命成長します」

「ほーら。早く座りなよ。おなかすいたでしょう」

ダリアが椅子をひいて促すと、カランは涙をぬぐいながら微笑んだ。


カランはそのまま風になびかれて消えていくような儚さと同時に、新たな希望にあふれていた。


レストランの給仕さんたちが一斉にもらい泣きしている。


や、これ、ほんと、ビジュアルだけみたらもう完全に君が勇者だよカランくん。


美少年半端ない。


あっ、もしかしてこれが開花ってやつか!?



確かに、このイメチェンだけでも大きな変化だ。

カランの潜在能力の高さに驚きつつ、夜は更けていった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ