序章 僕の想い人
初投稿作品です。ミスや不自然な点があると思いますが大目に見てください。
それは、ある熱帯夜のことだった───────
僕は、宵暮果南。
田舎でも都会でもないよくある街に住む、何の変哲もない高校2年生。この街で、ドラッグストアのアルバイトに勤しんでいる。
そんなバイト馬鹿の僕も、一応1人の男子高校生。青春真っ只中、密かに想いを寄せている人がいる。
黒霧透夏。
身長は少し低め、黒髪ボブに白いピンをつけた、いかにも清楚な出で立ち。
何を考えているのか分からない、どこかをうっとり見つめるような、茶色がかった綺麗な目。
そして、まるで母かと思わせる、温かく、やさしい声。
……はっきり言って好みすぎる。びっくりするくらいに。
彼女は別の高校の同級生で、バイトの同期でもある。バイト初日に真っ先に絡みに来てくれたり、帰り道を一緒に歩いたり、僕のミスを手際よくカバーしてくれたり、何故かとても良くしてもらっている。
彼女はファンタジー小説が好きだそうで、よく好きな作家やおすすめしたい本について、熱く語ってくれる。
そんな彼女が愛おしく、また彼女の口も達者で、僕は勧められた本は気になって、よく図書館に読みに行く。暇な時間はたっぷりあるからね。
だが、そんな非の打ち所がない彼女でも、僕はある理由で、信用しきってはいない。というか、してはいけないと思っている。
今、彼女に抱いている感情が、恋愛感情でないと言ったら嘘になる。ただ、これは純粋な愛情ではない。
……しかし、そんなことも忘れさせるくらい魅力的な彼女は、僕にとって、欠けてはならない、人生のキーパーツなのだ。
これはそんな、果南と透夏の、青春の1ページを描いた、少し暗い物語である。