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第七話

天文十八年 (一五四九年) 六月 加賀国 小松 前川 第三者目線


 朝倉軍は、一週間ほど毎日、軍を川の前で整列させたり、偵察隊に渡河地点を探させたりした。それに対して、本願寺軍は、最初こそ真面目に対処していたが、同じ事を毎日繰り返している内に、動きがおざなりになっていた。

 そして、朝倉軍が動いたのは風と雨が降り荒れる夜だった。朝倉宗滴は軍を三千と一万二千に分け、三千の軍を陣に置いて、一万二千の軍勢を自ら率いて、約一里と九町(五キロ)先の上流から渡河を開始した。


天文十八年 (一五四九年) 六月 加賀国 小松 前川上流 朝倉宗滴 


「うわー!助けてくれー!」

「ゴホゴホ、溺れてしまう!」


 まさに、ここは地獄の様な状況だった。


「...宗滴殿。かなりの被害が出ております。一度此処は、日を改めては如何ですか?」


 印牧能信がそう言って、話しかけて来た。


「ならん。なんとしてでも渡り切り、敵に奇襲を行わねばならん。その為ならば、多少の損害には目をつむる。」 


 何とか、全軍渡り切る事ができたが、渡河中に出た損害は千にも上る。予定より死者が多く出たが、仕方がない。戦が終われば、供養しよう。

 さて、渡り切るのに思ったより時間が掛かって、夜が明け始めた。急いで敵のいる場所に向かうとするか。


天文十八年 (一五四九年) 五月 加賀国 小松 前川 朝倉宗滴


 四半刻ほどしてから伝令が来た。


「伝令!伝令!敵軍千の部隊が、こちらに近づいております。」


「そうか。」


「宗滴殿、敵に気づかれたのでは?」


「安心せい、三千の軍を陣に置いて来たであろう。その軍を、いつものように川の前で整列させておる。儂の鎧を着た将が、指揮しながらな。」


「なるほど。ならば、敵はこの軍に気付いたとしても主力とは、思いますまい。」


「そのとうりだ。とは言え、敵軍千を見逃す訳にはいかんがな。...騎兵五百を正面から突撃させろ!敵がその騎兵と戦っている内に、騎兵千が回り込んで、左右から突撃を仕掛けろ!」


「はっ!」


 四半刻をしない内に敵は崩れ、壊滅した。


「圧倒的で御座いますね。」


「河合殿、そうですな。ですが、油断は禁物ですぞ。」


「ええ、分かっております。」


 そこから、半刻が経った。

 そこには、驚嘆している宗滴の姿があった。それもその筈である。何故なら、意表を突いたはずなのに、本願寺軍の大軍が整然と布陣していたからである。


「...本願寺軍の総大将下間頼照、只者ではないな。...敵に攻撃される前に、急ぎ布陣せよ!」


「「「はっ!」」」


 次々と布陣して行く自軍を横目に、宗滴は静かにこう言った。


「...下間頼照、朝倉家の為にお前をこの地で沈めてやる。」




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